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【自由研究】続・透明なミルクティーを作ってみました「量産編」

以前、やかんの注ぎ口に急須を被せて簡易的な蒸留をしてみる記事を投稿させていただきました。

予想を遥かに超える多くの方々に読んでいただくことができました。
自分の記事ではないのではないかと思うぐらいのスピードで閲覧数が増えていき、貴重な体験をさせていただきました。

スキを押していただいた皆様、読んでいただいた皆様ありがとうございました。

また、いつも読んでいただいている皆様、コメントをくださる皆様にこの場にて御礼申し上げます。いつも皆様に支えていただいております。
ありがとうございます。

さて、本題に入って参ります。

【前回までのお話と道具について】

前回のやり方だと簡単に始められるのですが、蒸気に逃げ場が多くてなかなか効率よく蒸留できません。

簡単にできる分、効率があまり
良くないことが伸びしろです。

なんとか効率の良い蒸留装置を作りたいと思っていました。
できれば家族でチャレンジしたりして、
「本当にミルクティーの味がするね!」「ほんとだね!」みたいな感想を共有できるぐらいの量を割と簡単にかつ安全に作れることが理想です。

「できるだけ既に持っているものを組み合わせて作る」
「持っていなくてもできるだけ安価で手に入れやすいものを用いて作る」
というテーマは変えずに作りたい。

そこで、お鍋を使った方法で蒸留してみます。

この図だと蓋としてボウルを想定していますが、
きっちり蓋ができて、上から冷やせるものなら
なんでも大丈夫です。

現在台所にあるものを組み合わせてもなかなかしっくりこない中、キャンプ道具のクッカーセットの大鍋がとてもいいサイズでした。
(ユニフレームさんのクッカーセットのものです。)

もしボウルを使うこと場合は、
鍋もある程度高いと
やりやすいかもしれません。
シルエットのイメージは
パスタを茹でる鍋でいいと思います。
平たいフライパンはあまりオススメできません。
ただ、やり方次第ではできるかもしれません。
方法が一つではないところが面白いなと感じます。

この鍋と家にあったボウルがシンデレラフィットしました。
やかんの時よりもロスが少ないです。
(蓋を冷やしているのもあると思うのですが・・・。)

運命なの?というぐらいの
シンデレラフィットでした。
ただ、ボウルのサイズが大きいので
下のスペースが狭くなります。
蒸し器を使わないのであれば
受け皿については慎重な検討が必要です。

ボウルと受け皿がくっついてしまうとボウルに冷やされた蒸留液が外に垂れてしまう可能性もあります。
多くの場合、ボウルの直径が大きくなれば深さも大きくなりますよね。
ボウルと受け皿は干渉しないようにした方が良さそうです。

受け皿に関してはこんなものがいいかなと考えます。
(蒸し器を使わない場合=下駄を履かせない場合)
※ただ、この場合は受け皿の中に泡立った牛乳などが入りやすくなるので透明な蒸留液を作る際には注意が必要です。

○ある程度の重みがあること
(沸騰した時にも安定していられる。ただ、思い切って軽くして水に浮かべるのもあり?かもしれません。)
○口が広いこと
(ボウルで冷やされた蒸留液をキャッチするのに守備範囲が広い方が良い)
○液体が沸騰して泡状になっても皿の中に入ってこないような深さ(高さ)があること


※ちょうどいい蒸し器や下に敷くものがあれば
その組み合わせで調整してもいいと思います。

家に以前ダイソーさんで買った蒸し器があったのでそれを使ってみます。

真ん中の棒は取り外せます。
この蒸し器ダイソーさんで330円でした。
これでなくてももちろん大丈夫です。

蒸し器を使うと受け皿として利用できるお皿には幅が出てきそうです。

鍋とボウルと受け皿を組み合わせて簡単で効率的に蒸留できそうになってきました。

蓋としてボウルを使用できると紹介させていただいたのですが、透明なガラスの蓋があったので、「中を観察できる!!」と考えいきなりですが、ガラス蓋に変更しさせていただきました。(ボウルでもできます◎)

あとは実戦あるのみです。

【使ったもの】

深めの鍋、蒸し器、ガラスの蓋(取っ手を逆にした)、陶器のお皿(受け皿として)、水、茶葉、牛乳、氷、デジタルはかり、透明なグラス2つ(蒸留液を入れる)+α、
※掃除の時にセスキ(炭酸ソーダ)とお湯、洗剤、スポンジ

【紅茶の蒸留液を作る】

紅茶は強く加熱しても泡立ち辛いと思うので水を600mlお鍋にいれてみました。
もう最初から茶葉も混ぜちゃいます。

紅茶を蒸留していきます。

※蒸留した後の紅茶も後ほど出てくる牛乳の残りと共に取っておきます。

透明なガラスの蓋はやっぱり中を観察できるのでいいかもしれません。実験がやりやすいです。


ネジを外して取っ手を反対側に
つけてみました。

ガラスの蓋の上に氷を乗せて蓋を冷やしていきます。

人生で初めてみる光景です。


加熱していくとみるみる氷が溶けていきます。
また、蓋の内側についた蒸留液もするすると真ん中に集まっていき下の受け皿に入っていきます。

ガラス蓋の内側についた蒸留液が真ん中から
受け皿にポタポタと落ちていきます。
氷がすっかり溶けてきました。

ひとまず10分蒸留作業をしてみました。
(前回は20分でした。)

10分で約104ml蒸留することが出来ました。

ちなみ前回は20分でほんの少し…

前回集めた紅茶の蒸留液です。
量は計っていないのですが
20ml、30mlぐらいでしょうか?

時間は半分で、量は5倍ほど。
蒸留の効率を約10倍良くすることができました。

【牛乳の蒸留液を作る】

続いて、紅茶の蒸留液を得た方法で同じように牛乳を蒸留していきます。

泡立って蒸留液に色が
ついてしまわないように
牛乳は少なめにします。


蒸留液に牛乳が混ざらないように牛乳の量を300mlに抑えてみました。
(紅茶の蒸留液を作る時は600mlの水を入れていました。恐らく牛乳が多すぎると泡立って蒸留液が濁ってしまう可能性が高くなるのではないかと予想しています。)
かつ、火加減には細心の注意を払って調整していきます。

火が強すぎると泡立ってきます。
泡立ってしまってもし受け皿に入ってしまったら透明なミルクティーを作ることができなくなってしまいます。(実は前回の実験で失敗しているのでかなり警戒していました。)

まるで包囲されたお城のようでした。
(四面楚歌の状態ですが…)
絶対に本丸は落とさせない。
そんな気持ちで火加減を調節していきました。

牛乳は想像以上に泡立ちやすいので、透明な蒸留液を作るためには弱火が良いかと思います。

時間はかかりますが、コンタミを起こして
蒸留液を濁らせないように
弱火でじっくり加熱していきます。

透明なガラス蓋だと牛乳が泡立っていないか簡単にチェックできるのでオススメです。

※残った牛乳は、先ほどの蒸留の時にとっておいた紅茶と混ぜて本物のミルクティーを作ってみると味を比較することができるのでオススメです。

10分でこれだけ蒸留できました。

もう10分やってみると牛乳の蒸留液を約81ml確保することができました。

20分蒸留すると大体81mlの
蒸留液を確保することができました。

【両者を比較してみる】

左が紅茶の蒸留液、
右が牛乳の蒸留液です。

家族で山分けするには少ないかもしれませんがなかなか確保できました。

参考までに前回は20分かけて下記の状態でした。

左が紅茶の蒸留液、
右が牛乳の蒸留液です。


牛乳の蒸留に関しても効率が上がりました。
(しかも濁っていない…)

ミルクティーを作るときの黄金比はどれぐらいなのだろうと調べてみると
大体、紅茶とミルクが2:1とのことだったので
2:1で混ぜて作ってみました。

試飲用に紅茶の蒸留液と
牛乳の蒸留液を混ぜてみました。

おおよそ紅茶の蒸留液20mlと牛乳の蒸留液10mlを混ぜてみました。

なかなかの透明度になりました。
この量があれば何口か飲むことができます。


両親に試飲をしてもらいましたが、両親共に「ミルクティー」だと認識してもらえました。
透明度、味、どちらの面でも今回は成功と言えそうです。


やっぱり味は本家のミルクティーの方が
コクが深くて濃厚ですが、
透明な方もちゃんと風味がしてミルクティーでした。
改めてヒトの味覚は匂いに大いに
左右されるということがわかります。

色が全然違いますね。同じ方向性の飲み物とは思えない色の違いです。

【結果】

「紅茶の蒸留」
600mlの水に茶葉を入れ、10分間の蒸留で約104mlの紅茶の蒸留液を得られました。

「牛乳の蒸留」
300mlの牛乳を加熱し、10分間の蒸留で約47mlの蒸留液を得られました。
その後追加で10分ほど蒸留して合計で約81mlの牛乳の蒸留液を得られました。

※牛乳は泡立って蒸留液を濁らせることが無いように少なめに入れ、弱火で加熱をおすすめします。
※空焚きにならないように火加減を調節してください。

【片付け】これで楽に掃除ができます。


実験をして片付けをするまでが一連のセットです。

牛乳を加熱しているので、洗剤で洗ってもタンパク汚れがなかなか落ちません…。
この汚れはかなり頑固です。

鍋の淵についたタンパク質、
蒸し器の細かいところに入ってしまったタンパク質。
洗剤にスポンジをつけて強めに
擦ったぐらいじゃ落ちません…。
全部スポンジでこそぎ落とそうとしたら
一体何時間かかってしまうのか…。

一時、絶望感に打ちひしがれますが大丈夫です。

お鍋の材質にも寄るのですが、自分はステンレスの鍋と蒸し器を使ったので
セスキ(炭酸ソーダ)で煮込んでみました。
これは焦げをとるときにも有効です。

※必ずお鍋の材質を確認するようにしてください。
アルミの場合はクエン酸が良いと思います。
重曹だとアルミの酸化皮膜がとれて黒ずみの原因になってしまいます!!

重曹でもよかったのですが、重曹がなかったので家にあったセスキで代用です。
タンパク汚れをアルカリ性のお湯で剥がしていきます。

強火で加熱していると泡立ってくるので
お気を付けください。

https://youtu.be/YZAtVdGlY6k

しばらく煮て、仕上げに洗剤をつけたスポンジで擦るともうピカピカです。
(真ん中にちょっと残ってますね・・・)

写真を撮り忘れたのですが、
煮る前は牛乳のタンパク汚れがついていて
絶望的でした…

ということで、絶望的だったタンパク汚れもスッキリ落とせました。
※繰り返しになりますが、アルミに重曹は使わないでください。
アルミに使うとしたらクエン酸か、お酢がいいと思います。
お酢は加熱すると臭いが強烈なので換気を行ってください。

全体を通してやけどに気をつけて蒸留を行うようにしてください。

どれだけ蒸留液を確保するかにも寄りますが、片付けも含めて1時間ちょっとで今回は終了することができました。

【最後に】

サントリーさんの透明なミルクティーを初めて見てからもう4、5年ぐらい経つでしょうか。
初めてみた時は衝撃的でした。本当なの?不思議だなと思っていて仕組みを知って、なるほどなと感じていました。
「なるほどな」で止まっていた自分はこの情報を「知識」として持っていたのだと思います。

今回、蒸留という経験とこの知識をかけ合わせて透明なミルクティーを作るという「経験」をすることができました。

この実験と経験が本当に生きてくるのは、いつか自分が「知恵」として蒸留を使いこなせた時だろうなと感じています。

培った経験や知識を組み合わせて少しずつ「知恵」を増やしていけたらどんなに人生が楽しくなるでしょうか。
いつどこで知識が経験になるかわかりません。いつどこで知識や経験から知恵になるかもわかりません。

タイミングがわからないから準備をしないのではなく、いつそのタイミングが来てもいいように自分をアップデートをしておくことが、人生を少しでも楽しんだり豊かなものにすることに繋がる要素の一つなのかな?と今回の実験からヒントを頂けた気がします。

とても楽しい時間でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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Suzuki Takeshi
サポートしていただけたら、実験用具を買うか、実験用の薬品を買うかまだ決めていませんが、生徒さんたちと授業のために使いたいと考えています。

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