コンパウンドスタートアップとTalentX
こんにちは、TalentX代表の鈴木です。
本日はTalentXがなぜ、今面白いのか?について、コンパウンドスタートアップ・SaaSの観点でお話したいと思います。
コンパウンドスタートアップについては、ALL STAR SAAS FUNDの神前さんや、LayerX福島さんのブログで非常に示唆に富む記事を書いていただいているので、ここではわかりやすいように、シンプルに記載します。
そもそもコンパウンドスタートアップとは
コンパウンドスタートアップとは、米国のスタートアップ「Rippling」CEO であるパーカー・コンラッド氏が提唱しているスタートアップの新たな競争戦略です。
これは、シングルプロダクトではなく、コンパウンド(複合的)プロダクト構想を初期から考えて戦略的な自社のポジショニングを築きにいくアプローチです。
そもそも、ビジネスの世界はアンバンドルとバンドルを繰り返すものです。
アンバンドリング戦略とは、一体となって販売していたモノやサービスを分解し、顧客の欲する部分のみを提供することで、顧客が不要な部分を購入せずに、顧客受容性と業務効率を高めるビジネスモデルであり、簡単に言うと、下記のような定食屋の焼き魚を切り分けてプライシングを高くして販売するようなイメージです。
類似のビジネスモデルで言うと、例えばQBハウスは、シャンプーやシェービングなどのサービスは一切省き、カットを1000円という安価で提供するアンバンドリング戦略を推進しています。
ソフトウェアの歴史はまさに、このアンバンドルとバンドルを繰り返す歴史であり、アンバンドルという言葉自体も元をたどると、ハードウェアとソフトウェアを一体販売していたIBMが、1969年にこれらをバラバラに売ることを決定し、これをアンバンドリング・ポリシーと呼んだことに由来します。
スタートアップのような挑戦者は、大企業の巨大資本に勝てないため、ある特定の領域の価値をアンバンドル化し、領域特化プロダクトで競合優位性を見出し、そのまま突き抜けるというアプローチが一般的でした。
一方で、コンラッド氏は、これからのソフトウェアビジネスをグロースするためには、「焦点を絞った」アプローチが時代遅れである可能性がある理由を説明しています。
TalentXとコンパウンドSaaS
我々TalentXも、スタートアップにおいて長らくスタンダードであった、シングルプロダクトのみで事業を急成長させIPOまで持っていくという通説ではなく、複数のソフトウェアの集合体でPMFさせに行くコンパウンドSaaSとしてのアプローチをとっています。
▼株式会社TalentXがMyシリーズとして共通基盤提供を発表
コンパウンドSaaSは、複数の異なるSaaSアプリケーションを統合して提供するモデルです。つまり、1つのプラットフォーム上で複数のSaaSアプリケーションが統合され、ユーザーは1つのアカウントやインターフェースからこれらのアプリケーションにアクセスできるようになるということです。
利用するエンドユーザーからすると、複数のアプリケーションを個別に購入したり管理したりする必要がなく、1つのアカウントからアクセスできるため、作業効率が向上し、作業フローがスムーズになります。
これは上述の焼き魚定食の例のように、それぞれのSaaSアプリケーションに価値を持ちますが、コンパウンドSaaSとして繋がることで、統合されてシームレスなユーザーエクスペリエンスを提供します。
弊社は、プラットフォーム構想を念頭にリファラル採用SaaS MyReferを創業事業としてスタートし、採用CRMのMyTalent、アルムナイ採用(卒業生の人脈を生かした採用)のMyTalent | Alumniなど、複数事業でシナジーを発揮する採用マーケティングのプラットフォーム、コンパウンドSaaSとして進化を遂げてきました。
同マーケティング領域で言うと、営業マーケティング領域のコンパウンドSaaSである『HubSpot』がこれに当たります。
HubSpotは、大きなポジショニングの元、MAツールからスタートし、今やマーケティング、営業、顧客サービスなどのさまざまな機能を提供する総合的なソフトウェアプラットフォームに進化してきました。
売上高は2010年から年間成長50%を続けており、現在では売上高2,000億円、従業員数7,000名を超えています。
HubSpotは、単一のプラットフォーム内で複数のアプリケーションを統合して提供しています。たとえば、CRM(顧客関係管理)ツール、マーケティングオートメーション、セールスツール、カスタマーサービスツールなどが統合されています。これにより、マーケティングから販売、サービスまでの一連のプロセスを管理することができます。
今や、時価総額も3兆円を超えているというのが驚きです。
弊社のビジネスは、利益創出と成長投資を両立させながら、利益の複利成長を実現し、企業価値が向上し続けるスパイラルを目指しています。
実際にMyReferから創業した当社ですが、MyTalentという採用MAサービスをローンチしてから、ROASが150%成長しています。
現在Myシリーズは、それぞれのプロダクトが独立して存在しているのではなく、シングルIDでつながり、シナジーを創出しながらプラットフォームを形成しています。
これらは、顧客観点だけではなく、事業開発観点でも大きなベネフィットがあります。
一方で、これは非常に難しいです。そしてその難しさが魅力でもあります。
なぜ、今TalentXが面白いのか?
結論、非常に難しいお題にチャレンジしているからに他なりません。
マルチプロダクトとコンパウンドSaaSは、事業開発、組織開発の観点で大きく異なります。
それぞれのプロダクトが独立して存在するマルチプロダクトの場合、新規事業の開発効率がよく、リーンスタートアップに部分最適に進められる一方で、今後立ち上げるプロダクトと機能が重複する点や、事業全体でのシナジー効果は少なくなります。
コンパウンドSaaSの場合、一つの機能を開発するにしても、全体最適を意識したUIUXの設計や、アーキテクチャの設計が必要になるため、難易度が段違いに高くなります。
つまり、従来の新規事業と比較して、「同時に多くの複雑な問題を解かないとスタートできない」という問題があるということです。
複数のプロダクトが合わさった集合体でPMFを目指すのか、モジュール分割された単体でPMFを目指すのか、技術的意思決定もさることながら、営業、マーケティング、カスタマーサクセスの体制なども影響します。
開発の速度を担保する前にアーキテクトに対して適切に意思決定をしていくスキルが必須になりますし、合わせて組織を考えないといけない。つまり、技術的な意思決定と事業的な意思決定を一致させながらも事業をスケールさせるケイパビリティが求められます。
こんな難易度の高い挑戦だからこそ、今、TalentXが面白いと個人的に思っています。
コンパウンドスタートアップの特徴は、複数プロダクトの運営です。次々とプロダクトが生まれていきます。当社TalentXも、年間少なくとも数個の新規事業を立ち上げられるスピード感を目指しています。
Myシリーズは今や国内で800社を超える導入実績があり、その大半が従業員数1000名を超えるエンタープライズです。『小さく始めて大きく投資する』がリーンスタートアップのあるべきですが、コンパウンドSaaSとしては、既存のアセットである顧客資産や営業網を活用し、市場にインパクトのある新規事業を大規模に推進していくことになります。
一方で、これらを実現するには、ものすごいエネルギー量と人材が必要です。
0から1を生み出すだけでもエネルギー量がいるにも関わらず、全体合理を意識しながら個別合理でもPMFが成立する世界観を目指すということは、複数プロダクトの知識キャッチアップや育成の仕組みしかり、企業カルチャーレベルで変革と実行が備わっていないといけません。
私たちは、『人と組織のポテンシャルを解放する社会の創造』をパーパスに掲げ、日本のHR市場の歴史を塗り替えることを目指しています。
だからこそ、創業期から『激しく変化しながら成長する』ことをポリシーとして事業運営しており、変革と実行を企業文化の中心として、10個の行動指針のもと組織運営をしています。
圧倒的成長意欲の高い仲間、求む。
現在、TalentXでは、未来を担う新規事業”Myシリーズ”のグロースを実現する将来の事業責任者候補(BizDev)を複数名募集します。
0→1フェーズの新規事業企画を経営直下で推進する他、今後新たに立ち上がる事業へのアサイン、またご自身で新たに事業を立ち上げるなど、様々なキャリアパスを描けるポジションとなっています。
こういった志をお持ちの方のご連絡をお待ちしています。
最後に
少しでもTalentXに興味を持っていただいた方、難易度の高いチャレンジをしたい、最速で成長したいと思っていただいた方は、ざっくばらんにお話しましょう。
TalentXでは毎月、弊社メンバーとカジュアルに語れるオンラインパーティを実施しています。お気軽にご参加ください。(カジュアルなDMも歓迎です)
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TalentX 鈴木貴史