マガジンのカバー画像

短歌連作

6
鈴木えての作った短歌の連作をまとめました。
運営しているクリエイター

記事一覧

[短歌25首連作]鳥(たち)のRITUAL

そのときは空っぽみたいに懺悔して手の施しようもなく歌って

アルファケンタウリに移住したvtuberからクリスマスにもらいたてのプレゼント

人口の2割がフライング・ワームに連れ去られた経験を持ちます

黎明兆す神謡に振り向けば左耳だけパーリーナイト

楽市楽座の向かいに住んでいてときどき托卵されるのも仕方ない

ART is good. NFTの鳥が蝶が集う我がランゲルハンス島

手伝ってくれる

もっとみる

[短歌50首連作]ホログラム

うつくしい神とひととの口約束として光の三原色は

祝福は触れたらわかる 黄砂舞う春陽の中に指を反らして

歩行者天国 手の触れ合ったよろこびは花火のように遅れてとどく

木漏れ日だろうあなたをなぞらえるならば 噴水が湧き上がりまひるま

理由なく好きでいいからはつなつにくまなく触れて ゆっくりでいい

恋が愛に変わるあいだに付け替えた千の電球一面に光る

わたしより先に暑がることさえも滲むいのちの

もっとみる

[短歌30首連作]言葉を継ぐ

晩秋を旅するならば崇敬を冬を旅するならば誓いを

魂の水位が下がるのがわかる薄い詩集をなくしたときに

感情の比喩ばかり言う 生理的な涙ばかりを右目がこぼす

葉を落とす木立の影の深さを言うこの唇に色は乗せない

静寂よりことばが世界を創るときすれ違うために生まれてしまう

花のない水盤のように身じろぎもせず黙り込んだ記憶 なみだつ

黒真珠のピアス外せば膿汁はわたしが嵐の海であるから

精神に宿

もっとみる
[短歌1首]2021/8/22

[短歌1首]2021/8/22

火をつけるまたはつけないはつなつの今またはつかなつかの間の水

[短歌3首連作]ふれる

雫落つ 我を鉋と言ひしきみの我にやさしくきみに冷たく

百日紅のかげより人ら湧き出でて花、生殖のうつはたること

目の裏に雪が止まぬと泣いてゐて冷たくなつてしまつた 九月

[短歌20首連作]The Biology of Neon Babies

[短歌20首連作]The Biology of Neon Babies

夜光虫も白うさぎも売っておりまして清潔な管理区域へようこそ

うっすらと人間の冒涜 観覧車から美しい人だけ探す

石畳にバービー人形落ちていて踏まずに拾い上げずに いたみ

(I don’t know how to speak to him. I don’t know how to speak to her.) 驕って

黙殺を覚える 牛乳寒天の甘さに慣らされていくように

めいそうし/んけいはん

もっとみる