食への距離感は人それぞれ
食欲は三大欲求の1つであり、世界がどう変わろうとも「食べる」という行為が変わることはない。とは言え全く変化がないわけではなく、生存欲求を満たす"動物的行為"に付随して、食を楽しむという"文化的行為"の側面が重要視されるようになった。これは時代の変化にも依るし、大人になるにつれて生まれる心理的な変化でもある。
何にせよ私たちに普遍的であることに変わりはなく、人間である限り関わらなければならない身近なものだからこそ、それぞれが持つ食へのスタンスが個性として見えてくるのだと思う。
私のnote「口福について」を読んでくれている友人がオススメしてくれたスズキナオさんのエッセイは私の表現する食体験とは違い、新しい食の楽しみ方・描き方を学べたので紹介したい。
私の好きな平野紗季子さんが食を生活からクローズアップしてスポットライトを当てるとすれば、スズキナオさんのエッセイは食を日常に溶け込ませるのが特徴。特別なものを食べるわけではないし、味の感想もシンプルなことが多いけれど、それこそが日常的な感覚であって共感できる部分。食べた感想を細かく言うのも良いけれど、ただ一言「おいしい」と表現することが一番伝わるのではと思わされる。
何か特別なものを食べに行くわけでもなく、ふらっと散歩した先で辿り着いた喫茶店。食べログにも載っていないような年季の入った定食屋。この本を読んでいなかったら見逃してしまいそうな魅力に気付かされる一冊だった。
最後に、面白く読んだテーマをいくつか挙げておくことにする。自分でも考えて、実践して見たくなる、わくわくする文章がたくさん詰まっていた。
気になった人は是非読んでみて欲しい。冒険が好きな人、自分だけの場所を見つけたい人、都会よりも下町の雰囲気が好きな人にはとても相性が良い本だと思う。
P.S.
他にも読むべきフードエッセイをご存じの方は教えてください。気になったものは読了後、こちらに感想を書かせていただくかもしれません!
noteを始めるきっかけになった本の紹介↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?