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困ったちゃん参上!(外国のお人No.2)

夕の刻。
30代とおぼしきスラリとした女性。
のっけから中国語で話しかけてきた。
(おいおいおーい、それはないでしょうょ)
広東語?北京語?なんだか分からないから
中国語ということで。

(これはねぇ、どうにもならないなぁ…
スタートから、一語の日本語もないオール中国語じゃあさぁ…)

発売中のクジが店頭に貼ってある。
指でさしながら『どれですか?これ?こっち?』と聞いてみるも通じてない。
(どーしたもんよ…)
女性はずっと何かを質問している模様。
買おうとしてくれていることだけはわかる。
(だけど、どーしたらいいの…)

1つのクジ見本を指でコツコツ叩きながら何やら質問しているようだけど分からない。
(それが買いたいってことだよね?けど、そのクジには、連番とバラってのがあって、この状況じゃ説明の仕様が… あー困ったなぁ)

女性の訴えをなんとか汲み取ろうと頑張る!
『これですか?なに?こっちの方?値段のことかな?1枚?これは200円よ!』
まったく意思疎通ができてない。
女性はイライラしてきている。
口調が激しくなってきた。
(お嬢さん、私の声もイライラで大きくなってきているのをお気付きかい?)

そしてとうとう。
友達から指摘され、封印していた私の悪癖。
舌打ちが出てしまった。

(いかんいかん。スマイル!スマイル!
お仕事中だよ!)

海外で、言葉は話せないけど買いものをしたい場合、方法としては、まず買いたいものを指で差す。
数は指を立てて示す。そうするよねぇ?
これを、、何個、、買う!って指でやればいいじゃーん!

次のお客さんが来たので、そちらを優先させてもらう。
やり取りを見ていたおじさんが、『お姉さんも大変だねぇ』と苦笑いしていた。

第二幕。
ほぼ同じことの繰り返し。
埒があかない。
イライラ+オコ vs   疲れ+声高
中国語 vs   日本語
スマイルを顔にくっつけて『ごめんなさいね、もう無理よ、わからないわ〜すみません、無理』通じないのを承知で言った。

私の気持ち切り替え後の、日本人的曖昧スマイルが、余計火を注いでしまったのか、女性はガラスを指でぐっぐっと押しながら、声を張り上げてなにやら言った後、イラつきながらバッグからスマホを取り出した。
(そうよ!翻訳アプリとかでしょ?最初からそれ出してくれたらよかったのに)
なにやら打ち込んで画面を見せてきた。

画面には「200円使って」とだけ、文字が出ている。
(200円分買いたいのね?了解!)

『200円のものは、これと、これと、これだけど、どれにしますか?』
女性はスマホをガラス越しに掲げ、画面を指している。

(だーかーらー、200円使うのはわかった!どれを買うの?って聞いてるんだってばぁ)

『さっき指差してたこれでいいですか?これ?何枚?1枚?』
クジ券を出して見せてみた。
が、首を左右に振り、違う違う!と言っているようだ。
なおも中国語だけでなにかを言い続ける女性。
もうカオス。

女性が大きなため息をついて、静かになった。
頭を振りながら呟いている。
『もういいよ、まったく』とでも言っているのだろうか。
呆れ顔でバッグにスマホをしまった。
そしてこの顛末の締めくくりに、バッグでガラスを叩いた。
鬼の形相。

『ウ''ーーーーッ』
言葉にならない言葉が私の口から漏れる。

『1階の上層部〜!、アリーナの偉い人達〜!
お給料アップお願〜い!』





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