不十分な水分補給は,パフォーマンスを6%低下させる
📖 文献情報 と 抄録和訳
運動誘発性低水分症は温帯条件下での3kmトレッドミル走のパフォーマンスを損なう
[背景・目的] 温帯環境におけるランニングパフォーマンスに対する運動誘発性低水分補給を評価した研究は少ない。ランニングは体重負荷が大きいため、低水分補給の悪影響は、水分バランスがマイナスになることによる体重減少によって相殺される可能性がある。そこで本研究では、温帯環境下における運動誘発性低水分化がランニングパフォーマンスに及ぼす影響について検討した。
[方法] 17名の間欠的ゲーム選手(年齢22±1歳;VO2peak 52.5±4.1mL・kg-1・min-1)が、予備試技と慣熟試技、および6分間のランニング(VO2peak 65%;前負荷)を12ブロック行い、その間に1分間の受動的休息をはさみ、その後3kmのタイムトライアルを行う2つの実験試技を行った。前負荷の間、被験者は少量-水分補給を誘発するために最小限の水分(60mL)を摂取し、または適度量-水分補給(1622±343mL;EUH)のために水を摂取した。
[結果] 少量では、前負荷終了時までに、体重減少(適度量-0.5±0.3%;少量-2.2±0.4%;P<0.001)、および血清浸透圧の上昇、心拍数、口渇感、血漿量の減少(P≦0.022)など低水和を示すその他の変化が明らかになった。タイムトライアルのパフォーマンスは少量で約6%遅かった(適度量 900 ± 87秒;少量 955 ± 110秒;P < 0.001)。
[結論] 運動誘発性の低水分症は、温和な環境において3km走のTTパフォーマンスを低下させた。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
毎年、選手たちには気温が上がってきた時に水分補給の必要性について、改めて説明する。
その中で、感じてきたことがある。
それは、『求める行動 (水分補給)は1つでも、その理由 (必要性)はたくさんの種類がある』ということ。
そして、選手一人一人の中にある鍵穴にフィットした理由とともに提示された行動だけが、実行に移されるということ。
僕たちが、どんな理由とともに、その行動を提示するかによって、その後の行動が変わるのだ。
さて、アスリートの心の鍵穴を考えてみる。
彼らが興味があるのは、身に危険が及ぶことだろうか。
それもそうだろう、だがもっと強烈な興味を持っている領域があると思う。
それは、『パフォーマンス』である。
たった1秒でも、1km/hでも、1mmでも早く, 強く!
そのために、日夜努力を惜しまない彼らである。
パフォーマンスへのアンテナの感度が最も高くて当然であろう。
そこで、今回の研究である。
不十分な水分補給が『パフォーマンス』を6%落とす、ということを対応ある実験で明らかにした。
今後は、この研究を引用して、
「不十分な水分補給は、パフォーマンスを6%も落とします」
と説明に付け加えられる。
6%パフォーマンスを上げるには、どれだけの歳月を必要とするだろう。
それを、当日の水分補給1つで、活かしも殺しもする。
水分補給とは、心から疎かにできないものだと思う。
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