ちいさなおはなしたち。「えりまきとかげのえりまきやさん。」
あめが たくさんふる もりのなかに
えりまきとかげが すんでいました。
えりまきとかげは えりまきやさんでした。
えりまきとかげの おみせには
じぶんに にあう えりまきをさがしに
たくさんの おきゃくさんが やってきます。
いろんないろのえりまき
さっぱりとしたいろあいのえりまき
ながい みじかい
ねじねじ ふわふわ
どんなふくにも あう えりまき
おきゃくさんは かがみをのぞきこみ
じぶんに にあう えりまきをみつけ
うれしそうに かえっていきます。
えりまきとかげは まいにち まいにち
えりまきを つくります。
えりまきを つくっていると しあわせなのです。
えりまきをまいた ひとたちの
しあわせそうな かおが すきなのです。
きょうも えりまきやさんに おきゃくさんがきました。
おおきな ぴんくいろの カバでした。
カバは おみせのなかを きょろきょろと
みまわすと おおきなからだには にあわない ちいさな ためいきをつきました。
えりまきとかげは そっと
カバにちかづくと ききました。
「どんな えりまきをおさがしですか?」
カバは えりまきとかげを よこめでちらりとみると
また ちいさな ためいきをつきました。
そして かるくいきをすいこむと いいました。
「わたしが さがしているものは ここには ないようです。」
「えりまきなら なんでもそろっていますよ。もし ここにあるものが おきにめさないのであれば、おつくりしましょうか。」
カバは じっと えりまきとかげのかおをみると また ちいさなためいきを つきました。
「・・・わたしが ほしいのは えりまきではないんです。」
「?! ここは えりまきやです。あなたがほしいのものは えりまきではないのですか?」
「わたしは、 みずのなかに いつもつかっています。」
カバは おおきなからだには にあわない ちいさなこえで いいます。
えりまきとかげは カバが みずにつかっているところを おもいうかべました。
どっぷりして どうどうとして
いいかんじ。
そう おもいました。
「ゆうゆうとして すてきですね。」
えりまきとかげがそういうと、
カバは すこしうれそうに ゆっくりと くちのはしを もちあげました。
「それはありがとう。でもね・・・」
「でも?」
「・・・おなかが、ひえるんです。」
カバは おなかがひえて こまっていたのです。
「そうですか、そうですか。それなら あなたに ぴったりのおみせを ごしょうかいしましょう。」
カバが えりまきとかげに しょうかいされて むかったおみせには、
こんな かんばんが かかっていました。
おすきないろで
おすきなおおきさ
ふわふわ
ほわほわ
いつでもあったか
けんこうのきほんは おなかから
はらまきとかげのはらまきや
カバは ぴんくのおおきなからだに そらいろのはらまきをして
おみせからでてきました。
かるいあしどりで あるいてかえる
おおきなうしろすがたは そのまま そらにうかんでしまいそうでした。
おしまい。
トップ画像のエリマキトカゲを長男が作ったのは年長組、6歳くらいだったでしょうか。
エリマキトカゲを作ったと思ったら、お隣には、エリマキトカゲではない誰かがいます。
尋ねると、
「ハラマキトカゲだよ。」
なるほど、腹巻きをしています。
エリマキトカゲとハラマキトカゲは、お茶飲み友達。
そんなところからできた
ちいさなおはなしでした。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。