心を整える黒戸尾根/南アルプス甲斐駒ヶ岳_毎日新聞
毎日新聞朝刊に隔月連載している「わくわく山歩き」(2019年1月~)は、日本の山のなかから毎回1座選び、紹介するエッセイです。その山にまつわる私個人の思い出や、登ったときの印象も織り込んであります。
noteでは、各回の編集後記のようなもの、本編の紹介を記していきます。
2019年6月19日の「わくわく山歩き」は、南アルプス北部に位置する甲斐駒ヶ岳でした。甲斐の国(山梨県)では甲斐駒ヶ岳と呼ばれていますが、信州(長野県)では、東駒ヶ岳という呼び名もあります。中央アルプスの駒ケ岳が西駒ヶ岳、南アルプスは東駒ヶ岳と呼ぶのは、まさに中央アルプスと南アルプスにはさまれた伊那谷らしい呼び名ですね。
当時、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根によく登る機会があったこともあり、取り上げました。黒戸尾根は、大学生の冬に初めて登り、以来積雪期しか登ったことがありませんでしたが、このときは季節問わず登っていました。
紙面には、登山口から山頂まで標高差約2300mある黒戸尾根の、その自然の豊かさについて書きました。標高差があるということは、気候が変わり、気温が変わり、ときには風が変わり、植生が変わり、棲む動物や虫が変わる。1日の間に色んな自然環境があったり、ふたつの季節が在るときもある。そんなことを書きました。
また、どんなときでも、どんな天気でも、どんな日でも、黒戸尾根を登ることによって「心が整う」と思う話も書きました。
けれど、いま書くとなったらまったく違う話を書くと思います。というのは、そのあと、私は友人の堀内美津子さんのおかげで、甲斐駒ヶ岳の登拝と出会うから。2021年夏、甲斐駒ヶ岳の開山の道である黒戸尾根を登拝する機会をいただきました。
それまで何度も登った山のはずが、まったく初めて登る山、尾根のようでした。その新鮮さに、ともかく驚きました。それは、心が救われるような出来事でした。この夏以来、年2回の登拝や麓での活動を続けています。
そして、登拝を通じて大切なかけがえの無い仲間に出会うことができました。
この話は、別の機会に書きます。
登拝、山岳信仰というのは登るという行為をもって信ずる心を深めます。私が自然と感じていた「心が整う」というのは、登拝にも通ずるものがあるなあと思っています。
記事の書きだしは、特急「あずさ」のD席について。D席は甲斐駒ヶ岳の展望がよく、お勧めです。紙面には「断然D席派」と書いたけれど、反対側のA席もお勧めです。八ヶ岳や奥秩父連峰の眺めがよいですね!
新聞記事(本編)「甲斐駒ケ岳 重量感、存在感ある姿」は、コチラで読んでいただけます。
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