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腸が語ること

潰瘍性大腸炎が再燃しました。20代半ばから何度も経験してきたことです。それでも、毎回同じように心と体がすり減らされる感覚は変わりません。そして今回は、どうしても「何もする気が起きない」という重い気分が心を覆っています。実際は「何もできない」という表現の方が正しいのかもしれません。そう考えると、少し自分を許せる気もします。

みなさんもご存じの通り、腸はただ食べ物を消化するだけの器官ではありません。私たちの体の中で、セロトニンという神経伝達物質の約90%が腸で作られているといいます。セロトニンは、気分や感情を安定させる役割を持つ物質であるため、腸の調子が悪いとき、心まで引きずられるように落ち込むのは理屈として納得がいきます。

ただ、腸で作られたセロトニンが直接脳に届くわけではないそうです。でも、腸と脳は「腸脳相関」という深い繋がりを持っているらしく、腸の炎症が脳に間接的に影響を与える可能性があるのだとか。特に、潰瘍性大腸炎のような慢性的な炎症が続く状態では、体内の「サイトカイン」という物質が増えます。このサイトカインが脳に影響し、うつや気分の低下を引き起こすことがあるという話を、私自身も医師から聞いたことがあります。

再燃期の体調は、常に私に「立ち止まれ」と強く訴えかけてきます。腸の痛みや不快感、栄養吸収の不良からくるだるさは、どんな意志の強さでも乗り越えられるものではありません。こういう時、「何もできない」自分にがっかりするのではなく、「何もできない状態を受け入れる」ことが大切なのだと思うようにしています。腸が炎症を起こしている今、私にできることはただ一つ。休むこと。それだけです。

これまでにも、何度も潰瘍性大腸炎の再燃を乗り越えてきた経験があります。そのたびに、「これで終わりにしてほしい」と祈る気持ちと、「またやってきたなら仕方ない」と受け入れる気持ちが混じり合いました。今回も同じです。絶望視していない自分がいる一方で、「辛い」という感情だけは消えることがありません。

でも、私は知っています。この状態は永遠ではありません。そして、この苦しい時間を「耐えた」という事実が、いつか私の力になるということも。腸が回復する日がまたやってくることを信じながら、今はただ、体を横たえます。自分のために休むことを、これ以上ないほど大切な「何か」として受け止めながら。

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