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【時を刻む】自己紹介その5 コンサルティングファームでの思考統合

 さて、前回の「自己紹介その4」では、設計事務所卒業後のPMCM会社への転職、そしてコンサル会社への転職の序章、それに関わったヘッドハンターによる自己キャリアの客観的視点の重要性とメンターとの対話によって得た俯瞰力、ミクロ・マクロの自己指針と自己理解について書きました。改めて、「仕事やキャリアの不安より、自分が納得していない時間を過ごす不安(自己への不誠実)の方がキツイ!」と気付けたことはよかったと感じています。今回は、ここから真新しいコンサルティング業界へ進出する話をしたいと思います。


いざ、コンサルティング業界へ

 PMCM会社から、コンサルティング会社へ転職が決まった当時37歳の私。所属は、金融セクターの中の「不動産とホスピタリティ」というチーム。数名の先輩、後輩コンサルタントも皆さん転職組。金融機関や事業会社、不動産会社、ホテル会社など、さまざまなキャリアから転職してきていた。しかし「一級建築士を持つコンサルタント」はこの会社でも初めてのようで、名刺に「一級建築士」と記載するとき、総務の方から「この記載は初めてです」と言われた。入社後1週間は研修の日々。周囲の転職組はみんな20代で、コ眩しいくらい目が輝いていた。そんな状況の中で私は、37歳にして「新しい学び」があった。それは「材料工学、設計技術、施工技術」ではなく「論理的思考力、調査・分析力、コミュニケーション/プレゼンテーションスキル」など、設計事務所では教わらないことばかりだった。

工学的アプローチから戦略的アプローチへ

 コンサル会社での研修は、なんじゃこりゃ!?の連続。「MECE、SWOT分析、3C分析、4P分析、ロジックツリー(構造化)」横文字いっぱいのコンサルフレームワークをとことん学んだ。設計事務所での学びとは「デザイン、エンジニアリング、都市計画、建築/消防法務」。それらは、都市計画法・建築基準法・消防法の中にある法文解釈の中で工学的に安全で快適な空間をつくる=「工学的アプローチ」だったと考えている。

一方でコンサルティングは、その建築がそこに必要か?とか、市場調査的なマーケティングリサーチ、事業スキームや事業収支計画などを検討するフィージビリティスタディ、顧客的体験は、時代のニーズや未来のニーズに合致しているのか?などのブランディング構築までを検討する「戦略的アプローチ」。非常に多岐に渡る調査と分析、アイデア・思考の発散、収束と洗練、事業・ファイナンススキーム、それぞれの方針を検討し、統合的な意思決定を伴走するのである。

毎月100人入社して、100人退社する世界

 と、カッコイイことを書いているが、しっかり「ノルマ」がある世界。各個人には売上目標の数字XXXX万円を掲げられており、非常に高い目標に向けて、自ら営業、自ら提案、自ら受託しなくてはいけない。常にプレッシャーと隣り合わせ、そして、常にさまざまなスキル(コミュニケーション+コンサルスキル)も成長させ続けなければいけない。さらに社内戦略も必要で、人を踏み台にする方々もザラ。個人でしっかり結果を残す必要がある、ということ。やはり、向き不向きもあるし、このプレッシャーやハードワークに耐えられない人も沢山いる。なのでこの会社は、毎月1日が「New Joiner」を迎え入れる日となっており、約100人くらい入っている。と同時に、前日の月末には「退職のご挨拶」というメールが大量に届く世界なのだ。聞くと、各2年、4大ファーム(EY、Deloitte、PwC、KPMG)を巡礼するようなキャリアデザインもあると聞いた。恐ろしい…!

目まぐるしい成果と思考の統合

 そんな中、相も変わらず「バイタリティの塊」のような私は、その環境を心から楽しむのである。自らの部署だけに留まらず、Strategy&(戦略特殊チーム)や他チーム(製造、通信、医療)、さらには、監査、アドバイザリー会社(関係会社)にまで顔を出しては知見を増やし、仕事の機会を伺いまくる。その成果もあり順調に売上を伸ばし、チーム内に新サービスを生み出し、2年目には目標売上を早々に達成していた。しかし、売上以上に自分にとって良かったことは「事業というものの性質やその理解」と「事業背景にあるリスク・財務への理解」を深められたことであった。今までの設計事務所では、その事業者が売上拡大するために必要な建物の設計をしていたのだが、その事業者も常に課題を持ち続けていて、事業方針の変更や推進撤退などさまざまな意思決定をしている。その意思決定のために「コンサル会社」は「助言・方針」をつくっているという現実。

 そしてこの時代、世の中では行政も企業も政治も団体も、このコンサル会社に頼っている。なにやら、これまでモヤモヤしていたものが晴れた気がした。正直、設計事務所時代やPMCM時代に、こ巨大な血税を降り注いでこんな事業やる意味あるの?これは誰のため?なんのため?未来100年後もそれは必要か?など、誰にも答えられない「空虚感」。その根本を見つけられた気がした。コンサルティングとは、未来創造をする仕事。だからこそ、取り扱いに気をつけなければならない。

この世の中は、矛盾と思惑に溢れている。

次回の自己紹介その6は、順風満帆に見えるコンサル会社での経験。一方で、企業との伴走でしかなく、自らの実態としてどれもカタチにならないジレンマ。そして、早々のコンサル会社からの卒業独立編。お楽しみに!

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