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上海ロックダウン食料配給大全

4月1日より開始された4日間限定の上海ロックダウンが、本日で21日目に突入した。意味が分からないと思うがそういうことだ。

ゼロコロナを目指したい上海市だったが、4日間で感染者が減少するどころか粉塵爆発のごとく一日あたり数万人規模で感染が拡大した。こりゃ4日間限定なんて言ってられない。この臨機応変さが中国のウリ。行き当たりばったりとも言うが言ってはいけない。言うなら小声でこっそりだ。

この記事を書いている4月21日時点で隔離生活21日目、今後いつ解除されるかも分からないが、始まったのが4月1日なので国を挙げたちょっと規模の大きいエイプリルフールだと思えば大したことはない。「ドッキリでした」と言ってくれる日がいつかやって来るだろう。

そうは言っても長期間の自宅隔離状態のため、食料や水分、日用品のストックはどうするのか疑問に感じると思われる。そこで登場するのが各世帯への配給システム。今回は、私の家に届けられた食料配給を一気に公開しようと思う。家庭の事情が丸見えだけどかまわない、我が身を呈して喜んでいただく出川哲郎スタイルだ。

当初の上海東西対抗ロックダウン予定





1回目:4月2日(土)

いきなりチョイスが酒飲み

冷凍エビ
冷凍エビワンタン
ドイツウィンナー

隔離開始二日目にして初回の食糧配給が到着した。野菜がどっさり届けられるのかと思ったが、お父さんが喜びそうなチョイスで私が喜んでいる。ドイツウィンナーは山東省の青島産。あの青島ビールで有名な都市だ。歴史的背景もあるためビールやウィンナーなどドイツ文化が根付いており、全国のお父さんが喜びそうな都市である。

冷凍エビで寿司を握ってみた


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2回目:4月5日(火)

バランスの良さ

冷凍鶏手羽肉
ミニ白菜
ジャガイモ
キャベツ
ズッキーニ
大根
人参

ザ・食料配給といった感じのバランスの良さ。キャベツは外側が傷んでいたのか、大幅にカットされて小さくなっていた。アパートが騒がしくなるとPCR検査か配給品到着の本前兆となり、慣れてくると耳だけで配給を察知できるようになる。

ざっくりいってる
アパートが沸き立つと登場の合図


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3回目:4月10日(日)

炭水化物のお出ましだ

米5kg
乾麺900g

肉、野菜ときたら次は炭水化物だ。栄養バランスが素晴らしいが糖質制限中なので複雑な気分だ。食べるけど。問題は麺に対するスープが無い。焼うどんにしたら美味しかったので、中国の乾麺の素晴らしさを再認識。

せめてビールは糖質ゼロ


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4回目:4月11日(月)

待望の卵が登場

キュウリ
人参キャベツ
玉ねぎ
ブロッコリー

丸鶏
豚肉
みかん
乾燥椎茸
乾燥キクラゲ

卵、果物、乾物など新たなメンバーが登場した。それより驚きなのが丸鶏。豚肉のかたまりですら扱いは容易ではないが、そんなもの霞んでしまう存在感。翌日は素人ながらにバラし、塩コショウでシンプルに焼いてみたら予想以上に美味しかった。これからは丸鶏の時代だ。

安らか
手羽、足、胸肉、ささみ、首肉が取れた
こりゃ美味しい


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5回目:4月15日(金)

充実感がすごい

チンゲンサイ
ピーマン
大根
人参
ジャガイモ
ズッキーニ
ショウガ
ニンニク
白しめじ
豆腐
干し豆腐
スパム
生麺
肉まん
牛乳

ここに来て内容が一気にグレードアップした。豆腐や牛乳に加えて、生麺や肉まんなど中国らしい加工食材が登場した。どうやら「清美」という食品ブランドの提供らしく、スーパーマーケットも展開しているので、自社製品や生鮮品など彩り豊かな組み合わせで配給された。ただし、麺や肉まんは賞味期限が三日間なので、急いで大食いするか冷凍保存するなど、早急な対応を求められる。鮮度という善意を無駄にしてはいけない。

急いで食べろ


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6回目:4月17日(日)

常温保存という現代技術

牛乳
粉ミルク

牛乳の賞味期限は一般的に冷蔵保存で一週間だが、常温保存60日間という便利な牛乳が到着した。高カルシウム低脂肪粉ミルクもセットだ。上海光明乳業という地元ブランドの応援だろうか、地元バンザイ。
そしてこの日から配給ラッシュが始まる。


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7回目:4月18日(月)

清美様の再登場

肉まん
緑豆春雨
とうもろこし麺
スパム
コーン油
醤油
砂糖

清美は気合が入っている。ダンボールには「恐れるな、共にゆこう、必ず勝つ!」という少年ジャンプのような激アツスローガンが入っている。キヨミという清楚な名前とは裏腹にバトル漫画のような物騒さがある。

週刊少年清美集団


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8回目:4月19日(火)

紙製品に大喜び

トイレットペーパー
ティッシュペーパー
シャンプー
ボディーソープ
ハンドソープ
石鹸
ハミガキ
洗濯洗剤

日用品が初登場。トイレットペーパーとティッシュペーパーのストックが心配だったので、このタイミングでの紙製品の登場は大助かりだ。隔離生活の最低必須項目は食材・水分・紙製品、サブ的に調味料や嗜好品が挙げられるが、その中の紙製品の登場で不安要素が全て解消された。「大便はシャワーを浴びる直前に行うこと」という悲しい家訓を設けていたが、これにて解除しようではないか。

ハンドソープ、シャンプー、ボディーソープ、石鹸はリッチに輝くLUXだ。漢方配合育毛シャンプーを愛用している私には、こんなキラキラした物は出番がなさそう。全身から女のにおいがして眠れなくなりそうだが、LUXは中国語で「力士」。汗と男のどすこいな世界である。ごっつぁんです。

金色とお花がまぶしい


トイレットペーパーも金パッケージ。贅沢な4層タイプでお尻にやさしいが、古いアパートの配管には紙が分厚過ぎてトイレがつまりそうだ。金持ちが贅沢品を選ぶのではない、贅沢品が人間を選ぶのだ。

紙の分際でまぶしい


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9回目:4月20日(水)

野菜を食べなさい

キャベツ
レタス
チンゲンサイ
キュウリ
セロリ
茎レタス
みかん
洋梨
りんご

なんと4日連続の配給である。写真内一番右の見慣れないものは莴笋ウォースンという野菜で、日本では「茎レタス」という名で流通している。この莴笋が各エリアの配給品に入っているので、上海在住日本人の間でちょっとしたトレンドとなっている。


市場の様相

今回は発泡スチロールで届けられた。生鮮品の可能性が濃厚で、肉や卵や加工・冷凍食品などタンパク質を期待していたが、肉ゼロだった。でもありがたい。頂き物なのであれこれ要望ばかり言うのは大変失礼だが、猫が私の心を現すかのような表情をしていた。

野菜をジッと見つめる
虚無
新台入替で負けた人の顔
負けを店のせいにする人の顔


さすがに一人では食べきれず、冷蔵庫のスペースにも限界が来たので、調理や保存方法に頭をフル回転させるが、とにかく野菜がでかい。なんでもでかいのが中国サイズだ。

脅威の43cm
大人の肘から指先まである
中国では食品の魅せ方は腕だ





拡がる配給格差

配給品は各区をさらにエリアで区切った街道ごとで管理されている。街道とは日本でいう町会を大きくしたようなものだろうか。この区や街道の購買・調達力で配給内容や回数が決定される。

そこに清美集団や光明乳業のように企業や、他の都市から提供の配給も加わり、数日間連日で食材が到着する現象が起こるように思われる。

清美集団熱血段ボール

その中でも私のエリアはかなり恵まれている方だ。噂によればエリア内に共産党幹部など偉い人がいるため、調達に注力する街道や企業の気遣いなどが幸いし、これほど多くの配給が行われている話もある。

ただ、中にはまだ一度も配給されていないエリアや、支給品が貧弱なアパート群もある。その格差は市の中心部より郊外に行くほど大きくなる。


日本の報道では「飢えに苦しむ上海」「食糧を奪い合い衝突する市民」など辛い映像を目にすると思うが、それは全体のごく一部で、大部分の市民に不満はあるものの実際にはそこまでの過激さはない。窓の外でたまに罵り合いを目にするが、それはロックダウン以前からの日常の光景だ。たまに血の気が多いぐらいがデフォルトなのだ。

ニュース番組はニュースになる映像を流すのが仕事、ネットニュースやSNSでは過激でネガティブな掲載のほうがプレビューを稼げるので、日本にいれば目にする情報が偏るのも無理はない。

現時点で終わりの見えないロックダウンが続く上海だが、私のようにのほほんと暮らしている日本人がいることも覚えていただければありがたい。この国家を挙げた壮大なエイプリルフールは一生の思い出になるだろう。


お肉が食べたい

10〜19回目の配給はこちら


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