探究学習で悩む生徒への声かけ。グループワークを活発にする【3つのポイント】
こんにちは!リディラバ教育旅行チームです。
探究学習では、グループワークを通じて生徒同士で議論する機会も多いと思いますが、その議論の過程には、生徒同士の普段の関係性が大いに影響を与えていると感じる先生方も多いのではないでしょうか。
しかし、教員や第三者が生徒と同じ目線で入り込むことが多い探究の場は、普段の関係性を乗り越えて、グループ全員で意見を導き出せる良いチャンスです!
私たちリディラバで行っている「SDGs/社会問題スタディツアー」のプログラムでは、実際に社会課題の現場を訪れた後、4~5人のグループをつくり社会課題の解決方法について議論をするワークショップを実施しています。
私たちは日頃の生徒同士の関係性をほとんど知らない中、生徒さんに1日限りのサポートをさせていただくのですが、
「この子はどんな性格の子なんだろう」「普段はどういう授業態度の子なんだろうか」と想像力を働かせて、接するよう心がけています。
今回は、私たちが年間8,000人以上の生徒さんとご一緒する中で心掛けている「日頃活発な生徒もおとなしい生徒ものめり込める、グループワーク時の声かけ方法」についてご紹介していきたいと思います。
日頃から活発な生徒ばかり発言。参加できていない生徒がいる…
普段の授業でもなかなか積極的に発言できない生徒が、探究の場では活躍している!ということは、実はよくみられる光景です。先生にとっても、自分に合った学びの方法を見つけてくれることは嬉しいことだと思います。
特定の生徒ばかり発言していて、なかなか発言ができていない生徒がいるグループを見つけた場合、以下の【3つのポイント】を確認してみてください!
①全員が議論に集中できる空間になっているか
例えば、模造紙を囲んだときに実は反対側だから見づらくて議論に参加できない、模造紙を囲む人の輪に入れていないなど、空間として参加しづらい環境になっていることが原因であることが多々あります。
生徒たちは議論に夢中になるあまり、空間設計については意識がいかないことがほとんどなので、そのようなときは
「模造紙をこの向きで置いてみようか」
「みんな立ってこちら側に来てみて!」
など、空間設計をし直すための声かけが有効です。
私たちは実際に、立ち位置を変えただけで議論がより盛り上がるという場面を何度も目にしてきました。
このような声かけを実現させるために、会場やツールも検討の必要があります。
まずグループワークはある程度広さのある会場で実施することも重要かもしれません。
また最近では、タブレットなどを探究の時間で活用するという学校さんも少なくないですが、生徒がツールを使いこなせていないと、慣れていない生徒が置いていかれがちというような現象も起こります。
ICT活用も非常に重要ですが、その時々で達成したい目的を鑑みて使用ツールを検討したり、ICTを日頃から積極的に活用して生徒に慣れてもらう必要があります。
②「グループ」で1つの結論を出すことが伝わっているか
議論が白熱してくると、自分の意見を班の中で通すことばかりで頭の中がいっぱいになってしまう生徒も。それだけ熱中して議論に取り組めているのはいいことですが、他の生徒の意見を丁寧に聞くという雰囲気ではなくなってしまうため、結果として普段おとなしい生徒の発言機会が少なくなってしまいます。
そのため、時間配分などを見ながら生徒の意識を合意形成に向けてあげることもタイミングによっては重要です。
グループ全体に対して
「これはこのグループ全体の意見になっている?」
「どういう経緯でこの意見になったの?」
と、合意形成に意識を向けつつ、結論に至るまでの経緯を言語化してあげるための声かけをしていきます。
時に、時間との兼ね合いで多数決で議論の結論を導き出そうとする班も出てくると思います。
しかし、きちんと全員の意見に耳を傾けて、お互いに妥協点を探りながら1つの結論を出していくことは重要な経験だということをメンバー全員に実感してもらい、発言を躊躇ってしまう生徒さんの声をグループ内で自然に拾っていく姿勢を作り上げることは大事なポイントです。
③全ての生徒が何らかの形でグループに貢献できているか
グループへの貢献の仕方は、必ずしも自分の意見を積極的に出すことばかりではありません。
なかなか発言ができない生徒さんには、グループの中で司会役、あるいはタイムキーパー、書記などの役割を担ってもらうことで、グループへの貢献実感を生み出します。
自分の意見を考えるのがとても苦手という子もいますし、その場で良い意見が出せなくても、他者の意見を聞いたり議論の様子を観察するだけでも学びはあります。
そして他者の意見をただ聞いているだけではなく、自分がなんらかの方法でその場に貢献できたという実感は、次への自信に繋がります。
「いいペースで進んでいるね!もうちょっとここ深めた方が良さそうだから、◯◯さん残り時間を考えてタイムキープしてみてくれない?」
「今すごくいい意見出てるのに書き留めていないのもったいないよ!◯◯さん、ちょっと書記として記録残してみたら?」
のように、積極的に介入して生徒に直接役割を与えてあげることも有効な場面があります。
生徒やグループの特性を見極めて、みんなで意見を作り上げるための声かけをしよう!
以上3点、私たちの取り組みから得た学びをご紹介しました。
ポイントとして、発言の少ない生徒に直接的なアプローチをするばかりではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
もちろん、生徒のタイプやその時の状況によっては、発言していない生徒に対して直接的に「何か意見はある?」と聞くことが有効な場面もあります。一方で、考えはあるのに発言できない、場に貢献したいけれどどうしていいかわからないという生徒さんも多くいますので、議論に参加できないことを本人のせいにして本人に解決策を求めるのではなく、グループ全体でさまざまな視点を取り入れることのメリットを感じてもらったり、メンバー全員が班の議論に貢献しているという実感を持ってもらうことが重要なのではないでしょうか。
先生自身も実践を通して学ぶ姿勢を生徒に見せよう
生徒が自由な発想で独自のテーマを探究できるカリキュラムが徐々に整ってきています。
その一方、これまでの教室で一方通行の講義をすることだけでなく、生徒1人1人と深く関わり、個別に丁寧な対応が求められることに対して、不安な気持ちをお持ちの先生も多いかもしれません。
しかし、先生自身も実践を通して学んでいく姿勢を見せることこそが、生徒にとって1番の学びになるはずです。
この記事でご紹介したポイントも、私たちリディラバが実践を通して失敗を繰り返しながら身につけてきたポイントです。
どうか失敗を恐れず実践し、自分なりの声かけ方法を見つけていただけたらと思います。
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