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キューブリック監督の描く幼子とニーチェの哲学 ~『シャイニング』のダニー『2001年宇宙の旅』のスターチャイルド

とても興味深い記事を読みました。
キューブリック監督が『2001年宇宙の旅』で描こうとしたのはニーチェの哲学を映像にしたものだという考察です。


今日は、一作さんの『心の成長には、必ず痛みがともなう』というニーチェの三段階の成長の解説文を読み、とても分かりやすく面白く学べました。

人間の精神の成長過程をニーチェは

重荷を背負った駱駝から

勇敢な獅子を経験し

そして自由な幼子へ

という三段階をもって表現し

幼子のような心が一番高い精神の状態であって、

自由で喜び溢れる創造性を持つ

人間として成熟した存在

としたようですね。

大人になっても幼子の精神を生きることが
一番人間として精神性が高い状態

と考えたということでしょうか。

以前より、わたしはキューブリック監督の『シャイニング』で描かれたダニー坊やの輝き

輝き=シャイニング

が素晴らしいなと思っていました。

シャイニングで生きる闘いに勝つのは子どもであるダニー坊やです。

キューブリック監督はニーチェに強く影響を受けているという話も聞いたことがありました。

ニーチェもキューブリック監督も
『人間の可能性』を幼子の中にみたということなんでしょうか。

胸がいっぱいになります。

ダニー坊やは狂気にとらわれた父親に命を狙われ

怖かったでしょう…苦しかったでしょう…

でも、勇敢にも、父親と対峙して

「ママをいじめないで」と言っていました。

そして逃げるにしても

『頭をつかって』『機転をきかせて』

いたんです。相手をよくみていたということなんですね。

本当に知恵と勇気のある子どもです。

『2001年宇宙の旅』のスターチャイルドの意味はどういうことだろうと考えていましたが、

幼子

という存在に対して、キューブリック監督が
特別な思いを持っていたのだろうなと

今、あらためて感慨深く考えます。

絶対的な悪 

人類絶滅を企むような絶対悪に対して

人類が生き残るには

人間は『進化』しなければならない

とキューブリック監督は語ったそうです。

その進化した人間をキューブリック監督は

スターチャイルドやダニー坊やという存在で

示してくれたのでしょうか。


既成概念にとらわれない自由な心
自分を信じる心

大人がもう一度この心で生きていくことが
絶望的な状況を打破していく力になる

そんなメッセージを感じます。

三島由紀夫もニーチェを
深く読んでいたそうですね。

三島由紀夫の『美しい星』では人類滅亡を企む絶対的な悪が宇宙人として登場します。


❄️

哲学書って読みにくいだろうなという懸念を振り払って少しずつでも読もうと思った秋の夜です。

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