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青春の後ろ姿のその先95 〜熱愛〜
前回の『鍋の中』に収められている短編が『最愛』です。バイクでツーリング中に起きる出来事を描いていて、文芸雑誌に掲載されたのを読んだのが最初でした。その後文庫化してからまた何度か読みました。
次々に迫り来るブラインドカーブや、バイクを走らせながら一緒に走る相手のことをさまざま考えたりペースについて考えたりする描写がリアルです。バイクは何台で走ろうと、圧倒的にひとりになれる乗り物で、でも一緒に走る人とのつながりも感じることができる独特な距離感を味わえる乗り物です。その雰囲気がうまく描かれている点が秀逸だと思います。
そして、誰もがツーリングの際にほんの少しだけ抱えている寂寥感と不安感。友達、新田が突然消えたことでその感覚が爆発的に広がっていく様子が、まるで都市生活をしている誰もが抱えている寂寥感と不安感にそっくりです。
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