
恋と愛の違いについて、または万葉仮名に見る古代人のセンス⑤〜授業中の雑談 これがホントの教養だ!05〜
前回の授業終わりの雑談で、恋の本質がジコチュウであると気づきそれをテーマに小説を書いた明治時代の作家は誰だとみなさんに聞きましたが、その後、考えてくれた人いますか? はい、いませんね、このクラスいません、ありがとうねどうもね。あのね〜、きみたちね〜、もっとこうね、興味とか好奇心とか、考えるとか、、、、、まあいいです。本題に戻ります。
恋の本質はジコチュウであるとたぶん誰よりも早く気づいて、小説のネタにし、文学たらしめたのは、夏目漱石です。
6 漱石は、なぜ不倫ばかり描き続けたか?
漱石、知ってるよね? 知らない人、いる? いる? 、、、、、、いるわけないと。名前だけはみんな知っていますね。だってひところ千円札の人にもなっていたしね。
漱石というと何の作品挙げますか? 誰か言ってみて。
そうそう『吾輩は猫である』やら『坊ちゃん』 うんうん。あとは? え?なになに? 『ビジングサ』? ちげえし、ビジングサじゃねえし。そういうところにきみたちのね、試験での弱さが露呈するわけよ。あのねえ、「実力」というのはだね〜、、、、、あ、いやいいや、本題に戻ります。それ『虞美人草』ね。はいはいそれから『草枕』うんうんよく出てきました。あとは?
もうでない? でないか? え? おう!『三四郎』な、よく出た。それからほら、長いやつで一番有名そうなやつ、ほれ。はいはい、『こころ』ね。
まあね、きみたちね、今あげてくれた作品の中で、『こころ』を除いたものは、漱石の作品群のメインとは言えません。漱石文学の真髄といえば、6つ、作品があります。第一の三部作、第二の三部作、計6作。これ、定期考査では必ず聞かれるでしょ? 入試ではまあ出ることはほぼないけど。何? 言って。第一の三部作から。ほれ。
もういい加減憶えなさい。黒板に書きます。
第一の三部作は『三四郎』『それから』『門』
第二の三部作は『行人(こうじん)』『彼岸過迄(ひがんすぎまで)』『こころ』
はい、今この場で憶えてください。後でやろうと思わないこと。後でやろうと思ってやったことある? ないでしょ。はい今やる。
さて、それでですね、これらの6作品ですが、いずれも三角関係またはかなりヘヴィーな不倫を描いています。大体はドリカムね。知らない?ドリカム。とにかく男2名に女1名というね、もう現代の小説や映画の設定も基本これがベースですね。漱石は明治時代にこのドリカム体制で小説の長編成を保ちつつ、かつ、恋の本質、人間の本質をえぐっていったんです。ちなみに、みなさんの中で将来作家やシナリオライターになりたい人いたら、登場人物の三角形の組み合わせでどんどん長編へと展開できますから、憶えておくといいのではないでしょうか。
漱石は、人間が本当に自分の心に正直に生きてしまったら、多くの場合、社会的には禁止されている行為をしてしまうということを、不倫を描くことで表現しています。
つまり、
恋の本質はエゴだということです。エゴイズムね。
自分の気持ちに正直になる、と言うとすばらしいことのように聞こえますが、本当に自分の気持ちに正直になれば、周りから見たら多くの場合、ただのわがまま野郎になります。
明治時代になって「恋愛(自由恋愛)」という概念と共に、「自律した個人」としての女性という概念が日本に入ってきたとき、まさに近代知識人そのものだった漱石は、恋の本質が求めること、エゴイズムだとたちまち理解したんですね。
みなさん、
恋は求めること、欲すること、エゴイズム
なんです。
恋の真ん中にはいつでも自分がいて、相手の幸せを願う気持ちに偽りはないとしても、自分が幸せかどうかが恋のテーマなんです。
明日の授業の終わりの話は、今度は愛について話すから。愛な、愛。
愛しあってるかい?
の意味をだな、語るから。あと、この前の古文単語テストも返します。まあまあでした。
ただぁ、っぱしぃっ、ぁい変わらずぅっ、なヤツがいるよ、わかるよね誰たちだか、わかるよね?え? おい、ちょっ、やるべきことはやれよ、あ? や・っ・て・く・だ・さ・い・よ!
今日はムカついてるからあいさつなんかしない。だれのせいだ?おう?な、やることやれや。古文単語の10や20憶えて来いや。あとな、何部とは言わないが、おい、顧問の前でもそ〜ゆ〜ダレた態度とってみせろよな。
以上!
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