汐谷悠

おもったこととかかんがえたこととか。Twitterで短い文章をあげています。

汐谷悠

おもったこととかかんがえたこととか。Twitterで短い文章をあげています。

記事一覧

短歌まとめ4

色のせた爪の先から腐りゆく 眠るだけの生き物になれたら ともにみた景色を思い出せないのはきみのことだけ見つめてたから 恋じゃない愛でもないよ嫌いでも名前つけたら…

汐谷悠
1年前
1

短歌まとめ3

静寂のあかるい雨の降る朝に 笑って、 今日はさよなら日和 地底湖の青い静けさひたひたと あたしの心はここにおいてく 傍にいて、少しでいいの ため息が白く凍って星にな…

汐谷悠
4年前
3

短歌まとめ2

忘れては時々思い返したら君の名の花窓辺に揺れる いつまでもかわらずにいられたとして 生きているって言えるでしょうか 塩、醤油、粉末だしとめんつゆが あなたのつくる…

汐谷悠
4年前
7

都々逸まとめ2

レースカーテン窓辺に揺れて ひかりは透けてゆらゆらと ふたり並んでくすくす笑う 裏切らないのは記憶だけ きみはちっともやさしくないが ふいの気紛れで存える 52ヘル…

汐谷悠
4年前
1

都々逸まとめ

いえなかったこと いいたかったこと ぜんぶいうから ねえ、きいて 夕日がやけにひかっていても 涙もいつか枯れるんだ きみのしらない人になってく さびしくたってもう泣…

汐谷悠
4年前

短歌まとめ

爪を切る ぱちんと弾くその音に 君を知る細胞がまた死ぬ いつかまたわらってきみと会えたなら 言い残してたさよならいうよ 見た夢をだれにもいえなくなったから 夕暮れの…

汐谷悠
4年前
1

裸足の指を舐めるのがすきな猫の話

 猫が死んだ。いつもふわふわとあたたかかったお腹は、わたしがようやく家に帰ってきた頃にはもうしっとりとつめたくなっていた。  その日は職場の先輩と飲みにいく予定…

汐谷悠
4年前
6

短歌まとめ4

色のせた爪の先から腐りゆく
眠るだけの生き物になれたら

ともにみた景色を思い出せないのはきみのことだけ見つめてたから

恋じゃない愛でもないよ嫌いでも名前つけたらなくしてしまう

きみがいた夏の鼓動を忘れたい
さみしさだけがつのる雪夜は

春になる 君はここからいなくなる
白木蓮がやさしく香る

雨音に閉じ込められて梔子の香るやさしい地獄に生きる

渇いても渇かなくても想ってる幸福色の未来のこと

もっとみる

短歌まとめ3

静寂のあかるい雨の降る朝に
笑って、
今日はさよなら日和

地底湖の青い静けさひたひたと
あたしの心はここにおいてく

傍にいて、少しでいいの
ため息が白く凍って星になるまで

私だけあの雨の日から進めない
君はどこかで幸せになる

いやになるほど澄み晴れた空の下
さみしいよっていえていたなら

かわらない街並みと匂い
ふるさとはつんとすまして素知らぬ顔で

いまはただ泣きたくないと唇を噛みしめ空

もっとみる

短歌まとめ2

忘れては時々思い返したら君の名の花窓辺に揺れる

いつまでもかわらずにいられたとして
生きているって言えるでしょうか

塩、醤油、粉末だしとめんつゆが
あなたのつくる料理のすべて

「わすれて」ときみは言ったがほんとうは
きみに呪われたかったんだよ

真夜中の知らない街のバス停で
来るはずのない人を待ってる

「さよなら」と手を振ったなら颯爽と振り返らない女になりたい

透明なガラスの向こう、秋風

もっとみる

都々逸まとめ2

レースカーテン窓辺に揺れて
ひかりは透けてゆらゆらと

ふたり並んでくすくす笑う
裏切らないのは記憶だけ

きみはちっともやさしくないが
ふいの気紛れで存える

52ヘルツの瞳に映る
ひとりの空はうつくしい

どこでもいいよ。なんでもいいよ。
くりかえしては目を逸らす

たったひとりの世界で生きて
「恋」の言葉をわすれたい

「夢を見たよ」と彼女が言って微笑む、
そんな夢を見た

やまない雨が頭の

もっとみる

都々逸まとめ

いえなかったこと
いいたかったこと
ぜんぶいうから
ねえ、きいて

夕日がやけにひかっていても
涙もいつか枯れるんだ

きみのしらない人になってく
さびしくたってもう泣くな

夢で会えても話したいこと
もうなくなってしまったね

星と歌えば月影冴えて
小指の糸を引き千切る

声も忘れて姿も消えて
残るはかすか、匂いだけ

夢でも会えなくなってしまって、
これがほんとのさよならね

さよならするため

もっとみる

短歌まとめ

爪を切る
ぱちんと弾くその音に
君を知る細胞がまた死ぬ

いつかまたわらってきみと会えたなら
言い残してたさよならいうよ

見た夢をだれにもいえなくなったから
夕暮れの街、声の残響

散る花の幸福論を語らない
南の空にスピカが光る

夕闇が八畳半に忍び込む
ひとりさみしく死んでいく、夏

夢だけは許されたいと願う朝
角砂糖ふたつ紅茶に落とす

靴擦れの滲む血、痛み、目をそむけ
背筋伸ばして歩いたお

もっとみる

裸足の指を舐めるのがすきな猫の話

 猫が死んだ。いつもふわふわとあたたかかったお腹は、わたしがようやく家に帰ってきた頃にはもうしっとりとつめたくなっていた。
 その日は職場の先輩と飲みにいく予定だったのだけど、母親からのラインを見て動揺したわたしは「猫が死んだので今日は遠慮させてください」と馬鹿正直に言い残してすぐに家に帰った。職場から出て地下鉄に乗り、乗り換えをして最寄り駅までつくまでの間のことをわたしはよく覚えていない。元々身

もっとみる