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Pilot's note NZ在住Ashの飛行士論

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NZ在住のパイロットAshによる飛行士論です。パイロットの就職、海外への転職、訓練のこと、海外エアラインの運航の舞台裏などを、主に個人的な経験に基づいて事実と意見を織り交ぜ、毎回…
自分が訓練生だった時に、こんなレポートがあったらよかったな!と思えるような内容を意識しています。自…
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#ニュージランド

Pilot's noteの有料記事を全て「返金可能」としました!

いつもAsh のnoteをご覧いただきありがとうございます。メインで「運航」しております有料マガジン「Pilot's note」についておしらせします。 この度、有料マガジンご購入者の方々の利益を守りつつ、より多くの方に私の有料記事を読んでいただくために、有料マガジン「Pilot's note」に格納されている全ての有料記事について、本日ご購入分から「返金可能*」としました。同時に、各記事の価格の改定も行なっています。 ほとんどの記事でちょい値下げしました。 有料記事の

減点主義と集団内での比較に苦しんでいる人へ

たまに、飛行機の訓練をしている方から相談を受けることがあります。 ぽつぽつと相談を受けているうちに、訓練がうまくいかない学生の状況に、ある共通点があることに気がつきました。それはどこかに正解があって、それを100点満点で取りに行くことが訓練の目的になっていることと、自分のパフォーマンスを誰か他のパフォーマンスと比べてしまうことです。 そして、100点を取れないことに苦しみ、周りと比べて自分の「点数」が低いことに苦しむ。そして、その裏返しで他人が100点を取れないと安心し、

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ATPLテストレポート(後編)

前編はこちら シナリオ上でやったアプローチもVORアプローチでしたが、これはFMSを使ってやった言ってみれば「イージーモード」でした。今回のは「本当の」VOR/DMEアプローチで、何が違うのかというと、計器から、縦方向のガイダンスがなくなることです。 さっきのは、紫の十字の中心に真ん中の四角を合わせるように操縦すれば、下記のチャートに引かれたルートぴったりに降りていくことができました。 チャートの見方はこちらを見てね! しかし、今回はこれが使えません。特に、ピンクの四

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ATPLテストレポート(前編)

DHC-8(Q300)での全ての乗務が終わって、クルーと記念撮影をして、あとはATRの機種移行を待つばかりだったのに、ここからさらにQ300の勉強をたくさんする羽目になりました。 それもこれも、機種移行する前に滑り込みでATPLの実地テストを予約したからですが、それでも移行したばかりの慣れない飛行機でフライトテストを受けるより100倍マシなんですね。 くわしくはこちらの記事に書きました。 私の会社は、NZの航空局(CAA)から国家試験であるATPL実地テストを社内で行う

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ニュージーランドのATPL(パイロットライセンス)が3日で届いた件と、ライセンスの書き換えについて

ATPL(Airline Transport Pilot Licence)は、PPL (Private Pilot Licence)、CPL (Commercial Pilot Licence)の次に現れる、パイロットライセンスの最高峰。このほどライセンスが届いたので、まずはどんなやつか見てください。 左がATPLで、右がCPL。 まったく同じライセンスに見えます。事実、デザインは同じですが、その重みは全く違います。右下のInitial Grantに注目。CPLのライセン

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ATPLを取得し、ATRへ機種移行します!

こちらの記事で少し説明した、ニュージーランドのパイロットライセンス。最終形態の「Air Transport Pilot Licence」を覚えているでしょうか。 何を隠そう、あの記事やこの記事は、私自身がそのATPL取得のためのフライトテストが決まって書いたものでした。先日、フライトテストがあって無事にパスし、ついにパイロットライセンスをコンプリートしました。 そして、この度、入社以来親しんだDHC-8(ダッシュエイト)からATR72に乗務機種が変わります! DHC-8

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続・離陸の難しさ

離陸は着陸より考えることが多くて難しい。そういう話を前回しました。 今回は、その具体例としてロトルアRWY18の離陸とデパーチャーを見てみましょう。前回の記事でも登場した、デパーチャールートをもう一度。 矢印の向き通り飛ぶのは、オートパイロットを使えばいいので簡単、だけど、文字で書かれた5.9%というクライムパフォーマンス(坂道)を達成できるかどうかは、特にシングルエンジンになったら厳しい、と言う話でしたね。 V1カット飛行機は、離陸滑走してトラブルが起きた時に、滑走路

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離陸の難しさ

離陸と着陸はどちらが難しいでしょうか。 飛行機は、滑走路の端からフルパワーを入れて、脚をつかってステアリングしながらまっすぐ滑走路を走って行き、ある速度に達したところで操縦桿を引けば、浮かび上がるようにできています。 その後、浮かび続けられるかどうかはまた別の話ですが、少なくともこれで「浮かび上がる」ことはできます。 それに比べて、着陸は速度と高度と方向と降下率のバランスを同時に取りながら、滑走路の一点に向かって飛行機を機動させていく繊細な作業です。小型機の訓練でまだ着

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実戦で活きる知識の習得方法、パイロットの私の場合。

先日、飛行機の免許の話をしました。 免許を取るにはテストに合格しなければなりません。しかし試験は関門の一つに過ぎないことも忘れてはいけません。試験に合格することは確かに大事ですが、パイロットが勉強をする目的は、もちろん、その知識を実際のフライトで「使う」ためです。 いっくら長い時間机にかじりついて勉強しても、時速数百キロでぶっ飛んでいるコクピットの中で、必要なときに必要な知識がぱっと出てこないのならば、それは勉強していないも同然なのです。だから、気を付けていないと勉強して

ニュージーランドのパイロットのライセンスの種類と取得の道筋(と雑談)

飛行機のライセンスには、大きく3つあります。 Private Pilot Licence1つ目は「Private Pilot Licence: PPL」自家用操縦士です。このライセンスを取ると、人を乗せることができます*。ただし、お金を取ることはできません。 Commercial Pilot Licence2つ目は、「Commercial Pilot Licence: CPL」事業用操縦士です。このライセンスを取ると、人を乗せて、お金を取ることができます**。また、エアラ

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チェックの結果

無事パスしました。あぁ、よかった、ビールがうまい。 前回もそうだったけれど、今回もシングルエンジンになったときの飛行機の操縦が安定していたので、細かい取りこぼしはあるにせよ、全体がまとまってきている気がします。やはり「飛行機を飛ばすこと」の重要性は、強調しすぎることはありません。 「飛行機を飛ばすこと」が大事なのは、どんな飛行機でも変わらない原則ですが、その中でも私が飛ばすターボプロップでは、パイロットが手と脚で飛行機を飛ばす技術がまだまだ必要とされていると感じます。

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直近のシムチェックノートから

今日はちょうどシミュレータトレーニングがあって、ホテルで振り返りノートを書いたので、それをそのまま、編集なしで載せます。 インターネットにそのまま流せるようなものではないので、有料の鍵かけます。悪しからず。 明日のチェックに向けて、自分の良かったところ、ダメだったところを書き出して備えます。 ちなみに今回のトレーニングの主テーマは、「Fly the plane」。飛行機を飛ばそう、ってパイロットだから当たり前だろ、と思うかもしれませんが、これには深い意味があります。

続続・天気が悪い時のパイロットのプランニング:アプローチの方式によって異なるミニマを選択肢に

だいぶ前に、天気の悪いときのプランニングの流れを説明したnoteを書きました。これと、これです。 当該記事では、スタンバイで呼ばれてロトルアへいく便をやることになり、天気予報を見ると天気が悪かったので出勤する前にどんなことを考えて、プランニングするときには何に注意するのか、その思考の流れを紹介しました。 温泉の街 ロトルアロトルアは湖と温泉の街。例のウイルスが流行る前は日本人観光客にもとても人気のある観光地でした。何度か日本人観光客がたくさん乗った便をやったこともあります