#小説
【短編小説】ポニーテールを眺めるだけの夜があったっていいのに
頭のてっぺんに近いあたりで髪を結んでいる、華奢な体が目に入った。ポッキーみたいな足がショートパンツから生えている。
体の線とは裏腹に快活そうに、少女は親らしき男性と喋りながらアイスを選んでいた。羨ましいとまでは思わなかったけど、選べば誰かが買ってくれるのってすごいことだよな、と改めて感じる。
少女はこっちの視線にも気が付かず、一瞥もされなかった。父親(多分)との距離が近く、仲の良さそうな雰囲気
【短編小説】この世に無駄な事なんてない
ラジオを聴いていると、「この世に無駄なことはない!」と聞こえてきた。
それを実感するためには自分の足で歩いていくしかないということを知っている僕は、心から絶望する。
希望のある言葉が嫌いだ。
目の前に、人参のように光をちらつかせて、いざ手を伸ばしたら、どうせすぐに消えてしまう。
誰も担保してくれないから、だから僕は、奈落で探している気分になるんだ。
誰か教えて欲しい。
この屹立する現実