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小説あれこれ

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#チェスタトン

チェスタトン「新ナポレオン奇譚」

「ブラウン神父」シリーズで知られている英国の作家、チェスタトンの最初の小説。
写真では「チェスタトンの1984年」と大きく書かれているのは、小説の舞台が1984年のロンドンであるからだけではなく、私がもっているこの改装版が出たのが1984年であるからです。現在はちくま文庫版が入手しやすいと思います。

本作が執筆されたのは1904年なので、当時から80年後の未来が描かれているのですが、さて、チ

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G.K.チェスタトン『ブラウン神父の童心』

G.K.チェスタトン『ブラウン神父の童心』

いわずとしれたシャーロック・ホームズ、「灰色の脳細胞」を駆使するエルギュール・ポアロ、強靭な論理で難事件を解決する、エラリー・クイーン、「密室講義」で名高いギデオン・フェル博士などなど、推理小説の黄金時代を彩った数々の名探偵のなかにあって、ひときわユニークな輝きを放っているのが、一見冴えない風貌をもったブラウン神父です。『ブラウン神父の童心』はシリーズ最初の短編集で1911年に刊行されました。

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G.K.チェスタトン『詩人と狂人たち』

G.K.チェスタトン『詩人と狂人たち』

「この世界は上下逆さまなんです。僕らはみんな上下逆さまなんです。僕らはみんな天井を這っている蠅で、落ちないのは永遠に続く神の御慈悲なんです」(「風変わりな二人組」より)

チェスタトンによるミステリといえば、まずは何をおいてもブラウン神父シリーズをあげねばなりませんが、それ以外にも一読忘れがたい印象を残すミステリを多数残しています。中でも私が偏愛しているのが、詩人で画家のガブリエル・ゲイルが探偵役

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