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ゆこたか雑記帖
2021年1月26日 18:05
谷崎潤一郎はながらく「無思想の作家」と称されていました。これについては、いや『春琴抄』のように美に殉じる姿勢や、『痴人の愛』や『瘋癲老人日記』のようなマゾヒズム、フェティシズムだって「思想」と呼べるのではないか、と言い返すことができるでしょう。しかし、久々にこの『細雪』を読み返して思ったことは、無思想であるがゆえの傑作ではないか、ということでした。大阪船場の旧家、蒔岡家の四人姉妹を主公として物