見出し画像

#18 古書街から歴史と文化を辿る(神田神保町/東京)|写真とひとり散歩

昨今の東京の再開発は、大規模なものも多く、景色が目まぐるしく変化している。
確かに、便利で綺麗になるのは、多くの人にとって望ましい部分があるのだろう。

一方で、歴史を感じられる建物や場所がなくなっていくのは悲しいと感じてしまうのは、自分が年齢を重ねたからだろうか。

だが、自分は、今あるそのままの姿を確かにそこに存在したものとして残せる。
カメラを持ち、写真を撮っている者の特権だ。


神田神保町を歩く

都会の中にある歴史を探そうと訪れたのは、神田神保町。

お供は、PENTAX KFだ。
久々にキットレンズのsmc PENTAX-DA L 18-55mm F3.5-5.6 ALをつけて持ち出した。

巷では、なかなかなことを言われているレンズだが、自分はこの広角から標準をカバーする画角と何よりその軽さが気に入っている。

神保町駅からスタート!

記憶が正しければ、神保町には来たことがないはずで、初来訪。
都内に住んで、すでに10年以上経つが、意外に行ったことがない場所は多い。

目指すは専修大学方面

今回の来訪のきっかけは、レトロ建築。
調べてみると、このあたりにはレトロ建築が多いようなのだ。

建築自体には全く詳しくないのだが、実際目にして調べてることが最近の楽しみのひとつでもある。

駅から出ると都会らしい景色だ

街角のレトロ建築

神保町駅A1から出て、さくら通りの方へ歩くとすぐそれは見える。
うなぎ屋の今荘という店だ。

ここだけ時代が違う

この建物は、1933年(昭和8年)に竣工、千代田区景観まちづくり重要物件にも指定されている。

千代田区の資料によると、この建物ができた1930年頃は、帝冠様式という洋式建築に和風の屋根を冠したデザインが流行っていたそうだ。

玄関は唐破風、上部には丸い飾り窓のようなものがあり、洋風とも和風とも取れ、それがまた時代背景を写し出しているように見える。

丸窓と看板
屋根が別にあるので向唐破風というものらしい

そして、その正面には、成光という中華料理屋があり、ここもなかなかレトロな佇まいなのだ。

歯飾りが施された洋風建築なのに
赤い看板に漢字となんともいえないバランス
正直こういうの好きだ(笑)
住居一体型なんだろうか

中華屋としての創業は1977年(昭和52年)らしいが、それ以前は日本蕎麦店として営まれていた様子。

本当は、ランチをここでと考えていたのだが、あいにく祝日のこの日は定休日だった。
かなり美味いと評判なので、次回行くことがあればリベンジしたい。

無念さを残して…

古書街は歴史が詰まっている

神保町といえば、古書街だ。
多くの店が軒を連ねており、連日ここにしかないたった1冊の本を求めて、人が訪れる。

どう考えても映えスポット
歴史的に価値がありそうな本がたくさん置いてある

自分は残念ながら、読書が極端に苦手な方で、これまで活字を読むのは必要最小限にとどめてきた。
しかし、現在は文章を取り扱う仕事をしている。
なんとも皮肉が効いていると、自分で思う。

ここだけ時間がゆっくり流れているような気がする
お気に入りの1冊は見つかっただろうか

神田古書店街は、靖国通り沿いに約450mほど続いている。
歴史は古い。
明治以降この周辺には多くの学校が開校され、学生向けにオープンしたのが始まりと言われている。
それではなぜ、古書なのかというと、学生たちが教科書を売り買いしていたかららしい。

古びた本が並んでいてまるで宝探しのようだ

確かに、上級生が使い終わった教科書を下級生に譲り、それが代々…というのはよくある話だ。
周辺に学校が多かったのであれば、それが文化として根付くのも想像に容易い。

積まれた本を覗いてみると、名前が書いてあるものがあって、もしかするとそれは昔の教科書だったのかもしれない。

そこから少し歩くと神保町ブックセンターが見えた。

岩波書店の原点である古書店があった場所

この神保町ブックセンターは、広辞苑で知られる岩波書店の前身である古書店があった場所だ。
ここでは多くの人が本を楽しんでいた。

神保町の老舗紹介もされていた

この図を見ると分かる通り、古書店はすべて南側に建ち、北向きになっている。
これは、日光で本が劣化するのを防ぐためらしい。
なるほど、よく考えられている。

カフェではなく喫茶店

古書街で本を見つけた後は、おそらく喫茶店に行くのが定番コースなのだろう。
古い本と雰囲気のあるレトロさで人気のようだ。

きっとレコードを聴きながら
おいしいコーヒーを楽しむ空間が広がっている
こちらも人気で並んでいる人がいた
ここも多分コーヒーが美味しいと思う 雰囲気的に

カフェではなく、喫茶店と呼びたい雰囲気である。
「さてん」でもいいかもしれない。

他にもあるノスタルジック

有名どころの古書店や喫茶店を見てきたが、実はこれ以外にも街を散策しているとたくさんのレトロ建築を見つけることができるのが神田神保町だ。

例えば、文房堂。
明治20年創業のようで、商品ラインナップは外から見ると現代的だが、明らかに建物は歴史を感じられる作りだ。

宮沢賢治の注文の多い料理店の一節が
窓ガラスに書かれ 入り口にはネコが…
これは身包み剥がされていくということ?(笑)
1990年(平成2年)に外観はそのままに
建物は建て替えられたようだ

この文房堂ビルも千代田区景観まちづくり重要物件に指定されており、1922年
(大正 11年)竣工。
The洋風な建物という見た目で、大正ロマンが感じられる。
袴にブーツの姿の人が似合いそうだ。

通りを少し入ると、また味のある建物に遭遇。

Googleによると営業していそう?

2階部分の装飾が、蔵を連想させるデザインで、シンプルながら歴史を感じられる。
また、店名が石のようなものを切り出してできていて、扉は木製の硝子店らしく硝子張りなのもいい。
どのくらい前からここにあるのかはわからなかったが、こういう建物は後世にも残して欲しいと思った。

神田須田町編に続く。


📷PENTAX KF

いいなと思ったら応援しよう!