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#13 冷やかしに行ったはずが…聖俗のコントラストを感じる(鶯谷/東京)|写真とひとり散歩
鶯谷。
東京を知らない人からすれば、とてもキレイな響きの土地名だと思うだろう。
しかし、東京を知っている人であれば、あるイメージを持っていると思う。
もちろん、私もその一人だ。
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ということで、そのあるイメージを作り上げている駅周辺を散歩しに行ってみた。
本日のお供は、PENTAX KF。
ちなみに、今回の写真は、久々に撒き餌レンズと言われるsmc PENTAX-DA 50mm F1.8で撮った。
新品でも12,000円ほどで買えるレンズだが、キレイにボケてくれて軽いというなんとも使い勝手のいいレンズだ。
ただ、AF動作のときの音は大きい。
ウィーンウィウィウィのような音が鳴るが、変身しているような音で自分は案外好きだ。
歴史を感じる駅舎
山手線に乗って、鶯谷駅へ。
駅に着くと、お馴染みの光景と共にスカイツリーが見えた。
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駅舎の通路は、歴史を感じるような木造だ。
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ここで、少し疑問に感じたのは、この駅舎は木造で古そうであるにもかかわらず、線路の上に高架されていることだ。
一体いつ造られたのか、気になったので調べてみると、驚くことに、鶯谷駅の開業は 1912 年(明治 45 年)だった。
実に、今から100年以上も前だ。
この時代に、高架線なんて建設できたのが不思議だと感じたが、よく考えると日本橋にある日本銀行本店の立派な建造物は明治の作品なのだ。
それを鑑みると、日本の技術力ならこの高架線建設も可能だったのだと納得した。
懐かしの作品
鶯谷は、聖俗隣り合わせの不思議な街だ。
それというのも、駅の西側は、歴代徳川将軍が眠る「寛永寺」があり、広大な土地に墓地が広がっていて、少し歩けば上野や谷中銀座という有名観光地へ行ける。
対して、東側は歓楽街だ。
私は残念ながら、無宗教を公言しているため、鶯谷のイメージは完全に「歓楽街」である。
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ただ、実は鶯谷にはもうひとつ個人的なイメージがある。
それは、自分の制作物がある場所。
その制作物とは、駅沿線に掲示されている看板だ。
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もはやなんだかわからない状態
大学を卒業後、1社目は広告代理店でグラフィックデザイナーをしていたため、そのときたまたま入ってきた案件で担当したのだ。
ちなみに、当時のメイン案件は、アミューズメント系だったこともあり、一般広告は専門外。
今となっては、デザイン性のカケラもないこの看板に、よくOKが出たなと疑問を覚えているが、懐かしい思い出の看板だ。
橋を越えて散策開始
さて、橋を越えるとすぐにホテル街に着く。
というか、そもそも駅から見えている。
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夜は、なかなか怪しすぎる上に、なんとなく欲に支配された街という気がして、近づきたくはない。
そのため、もちろん今回は日中の明るい時間に訪れた。
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ラブホの外観は、なんとなく昭和を感じる。
そもそもこの辺りに、歓楽街ができたのは、吉原の入口だったからだとか、上野などの都市への出稼ぎや就職のための簡易宿泊所の名残りだとか、さまざまな話がある。
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心配になってしまう
だが、この独特の空間は、ある意味日本ならではというか、文化を感じる部分もあるのだ。
ホテル街の中の日常
ホテル街の中にも、民家が存在している。
それだけで、治安部分に不安を覚えるところではあるが、それ以上に電車の音は気にならないのだろうか。
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ここは人が住んでいるかは分からない
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沿線に住んでいると、そのうち慣れるとはよく聞くが、3分に1回は通る山手線を筆頭に、京浜東北やなんやらと複数の路線がひっきりなしに行き来しているのだ。
立地としては確かに便利だ。
上野に程近いながら主要駅と比べて多少家賃も控えめでメリットはあるものの、自分は住むには厳しいだろうなと感じた。
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そして、この日は、ホテル街の中にある元三島神社で町内子ども餅つき大会が行われていて、そのほのぼのした風景とホテル街のコントラストになんとも面白さを感じたのである。
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景品もたくさん用意されていた
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鶯谷とウグイス
この近辺は、根岸という土地で、実は鶯谷という地名は存在しない。
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鶯谷の由来の発端は、江戸時代まで遡る。
寛永寺の住職をしていた人物が、江戸の鶯の鳴き声は良くないと言い出して、美しいさえずりをする鶯をわざわざ京都から取り寄せてこの近辺に放し、名所になったことに由来するとのこと。
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正岡子規は「雀より 鶯多き 根岸哉」という句を詠んだ。
明治26年頃に詠まれた句であるが、実際に鶯の方が多かったかどうかはさておき、そうだと感じるくらいに鶯の鳴き声が印象的だったのだろう。
確かにあの独特の鳴き声は、耳に残るし、季節を感じるのに欠かせない。
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ウグイスを見間違える
そういえば、鶯で思い出すことがある。
今年の春、梅の時期に湯島天神に行ったときのことだ。
そこでは、梅の蜜を吸っている緑色の鳥がいた。
自分はそれがウグイスだと思い込んでいて、ホーホケキョと鳴くことを期待しながら写真を撮った。
なぜならば、緑色、つまり一般的に言われる鶯色だったのだ。
でも、後々知ったのだが、その鳥はメジロ。
実際のウグイスは茶色っぽいちょっと地味な風貌だ。
しかも警戒心が高く、ほぼ姿は見られないらしい。
正直、マジかよと思った。
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そして、そのとき「梅に鶯」という言葉を思い出した。
鶯色は緑っぽい色だし、昔の人も自分と同じように見間違えたのだろうかと思った。
しかし、それについては、そもそも私が理解していた意味合いが違ったのだ。
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何かというと、梅と鶯は、どちらも春の訪れを告げる縁起物としての美しさを組み合わせることで表現した言葉のようなのだ。
なるほど、観察的事実として言葉を作ったわけではなく、季節や情緒を大切にする日本人らしい発想だ。
そんなことを思い返しながら、そろそろ日暮里駅に到着しそうだ。
歩いてきたところが墓地なので、写真を撮るのは控えた。
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当初は、ホテル街の冷やかしくらいの気持ちで散策を始めたが、なんだか歴史を感じてしまう土地だった。
さて、次はどこへ行こう?
📷PENTAX KF