20240815「記憶の果て」
フィルターが染められて
濁りを湿し
澄んだ黒色を落とし
更に馴染む
捨てられるあるいは燃やされる
そんな運命だとしても
少しくらいは役に立つだろうと
熱さを和らげ
焦げ茶の鍋敷きで
難を免れる
それでもダメージは蓄積され
いつかには崩壊の予兆を孕み
そのいつかを待っている
どこの誰かの手仕事の延長
わたしの一部では
既に香料に近い眼差しで
其処らを散見している
カーブにつられ
双子葉の片方を千切り
または伸ばし
黒色を付す
どれもが壊れるのなら
せめてもの時間を延長させ
わたしの側に置いておこう
どれも要らないものばかり
それなのに消えて欲しくないそれら
わたしを潜ってから
新しいそれらに会う
もう元には戻れないとしても
これからのことは
ゆっくりとそして冪乗の疾さで
物ごとを掻っ攫う
撓みの撓りで
その時に応力がうねる
外され打ち捨てられた物ものを
更に加速させ
錆の栄養を募らせる
汚いのはそれはそう
綺麗だとしても
本当の所は見えてないのなら
見えてない所までも見ておこう
月日の連続する毎日までも
汚れつつ再生され
記憶の年輪は更に
意味の強度を付与されるだろう
そんな気持ちもないだろうけれど
誰かが与えた何ものかを
また他の誰かが受け取っている
脆いが失われないそれぞれの意志
固有の分節を開閉して
寂の影がゆらゆらと熱を発している
更に焼かれ遠い空を見回して旋回する
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