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20241203「いい気になって」

砂遊びの真ん中で
いくつもの塔を建て
いったん満足したら
そのどれもを壊し
なきものへと戻す
構成されたのは
ほんの一瞬
それでも
そこに在ったのであれば
いいということにしておこう
見られた光景は
漣のように
揺れながら
本当に在ったのかどうか
知らないうちに風が肌をさす

滑らかなカーブ
その形になぞって
下へと降る
そしてもう一度
高さを上げて
更に速度を上げる
怖いくせに
もうちょっとなら
行けるだろうと
足元を見ていないから
いい気になって
滑りながらその速度を
身体で覚えていく
突っ伏したのも
また次のことに繋がるだろう

前後を通し
軸から伸びて
その鎖は軋みながら
速度を速めている
重力の軸をバランスよくして
落ちないくらいに
足で漕ぐ
握り締めた鉄の匂いと
その色を手のひらに着けて
越えられない域を越えようと
更に加速する
円弧の軌跡を誰が見て
誰が見ていないのか
その残像を落とし
いつかの声がまだ聞こえている

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snufkinsmile
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