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20241101「誰かの恩恵」

その人の名前も知らないけれど
すれ違ったその瞬間に
何かを得ている
気づけないまま
遠のいて
けれど含みの要素を
直に含み
お互いの機微を交換している
わたしを渡し
誰かを受け止め
違いの角度で
丸くなったり
尖ったり
いつかの攻防は
もう既に終わっているのだと
そう思ったりもする

何もないなら
ないでいいけれど
少し寂しいのだからと
ふと思ってしまうが
だからと言って
悲しませるようなことは
少しずつ減らしていこう
自分ごとの範疇を拡げ
あるいは見えない姿形を投げ
分身の影を踏みながら
合わさったその濃さを
二重に折り合わせ
存在の在りかを問うている
誰もが尊いというのなら
何がそうさせているのか
どうにもわからなこともあったりする

べらぼうだけれども
どうにも意味を見てしまうから
大方を捨象しつつ
曖昧な間合いで
距離感を取って
越えられない柵に手をついて
向こうを見ているように
羊の群れの一匹は
どこへ行こうとしているのか
膨大なそれぞれの瞬間を記録しつつ
廻りながら季節を転化させ
各々の存在を示している
わたしもそう
あなたもそう
きっと知ってるに違いない
けれどそれを忘れているだけだったりする

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