20231220「水の灯火」
火を灯せ
まだ薄暗いから
よく見えないのなら
辺り一面の知らなさを
感触を持って
聞き耳を立てる
素知らぬ眼差しまで
遠目近目に焦点を合わせ
合致できない範疇までも
曇らせた眼を
その現象にして
仄かな明かりを
自分の中に写す
夜の間に何が起きたのか
まだ知られていない出来事までも
包まれつつ開かれている
もう眠くはない
着火される暗さまでも
戦ぐ知らせはここにも届いている
在るもので組み立て
無いものまでも加担させ
でっち上げるその空想までも
差異を絡ませ
強度を増して折り重ねる
交差した眼差しまでも
意味を重奏化させ
膨よかな黒さの濃淡を
疎らに折る
エッジの仰角
零れる俯角
問いの眼差しまでも
喜んんで差し上げよう
引かれた残りで
交換してしまい
零になるが
そのあらましの近辺では
既にその次を準備させている
澪を眺めて一息つく
漁からの出来高を休み
不知火はその咆哮として
届けられる空白の手紙
与えられたとして
ちぎった断片を燃やす
熱を孕み
夜の帳を開く
覗かないようにと
言われた筈なのに
遅りの後退で
漣は揺れる
風位をあやし
宥めつつ大波を期待して
板切に乗っての
滑空までも
その見つめる先では
押し寄せる次を
なだらかに鎮めている
浮かび上がる水の灯火
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