見出し画像

20240113「その沙汰を聞く」

わたしの手はぶらぶらしてて
掴めるのに
掴もうとしていない
必要ならそうするのだろう
それでいて歩いては
立ち止まり
ここがどこなのか
探している
そこに居るのに
地面が遠く
足元を見つめて
前を向く
振り返りたいのはやまやま
けれども追って来るようで
逃げてしまうのは
往還運動の行き帰り
生き返りの水を含ませ
もう少し先に出る
持っていないのに沢山を見ている

持ち合わせがないから
だからといって何もないわけでもない
その手で施し
道を進めば誰かが次に通るだろう
誰も違う風景を過ごし
それでいて何かを認め
何かを繫ぐ
どうあってもいいし
どうなってもそれでもいい
わたしを巻き込み
わたしをわたしたちに繋ぐ
何れらの媒体を以って
隣合うも袖振り合って
余韻の香りを残し
過ぎ去って行く
目の前のことが信じられない
けれども確かに残っている
また始めればいい
ひとつひとつ繋いで戻って来る

どうにもならない
それでいてまたどうしても
振り返りつつ先へ進む
少しだけもう少しだけ休んで
また働きを続け
道を明け
誰かが通れるように
瓦礫を片付ける
お山を拵え
ひとつひとつ分解して
また別の光景を見出す
気休めのため息さえ必要
持ち前はないのに
まだ動けるから
それらを片付け
わたしを忘れて
別の真言あるいは陀羅尼
ひとつの冬の慈悲心鳥
翻る羽がそこここに降って来る

この記事が参加している募集

読んでくださってありがとうございます!サポートいただいた分は、noteの他のクリエーターのサポートに使わせていただきます😁