20240515「いなだま」
ひとつ掬い
もひとつ掬う
ひとつひとつ
元気になれと
あなたは思う
言葉にはしない
それでいて
伝わってくるもの
そしてその先にあるもの
その向こうにあるもの
運ばれて流れる
わたしを経由しては
また出て行く
いっとき留まり
もうさよなら
せめてもの何かを呟く
一粒拾い
もひとつ拾う
一粒一粒それぞれ違う
けれども一緒くたにして
それらを纏め蓄える
毎日のいつもの光景
その先では
既に田植えが終わり
また別の所では準備の最中
季節を待って
季節を送る
今年のそれは
きっとまた違いをもたらすだろう
ああんと口を開けて
もぐもぐして飲み込む
あなたはまた元気になるのだろう
杓子を作って
杓文字に書かれた
見えない祈り
食べ続けなければ
生きられないのなら
その一椀で美味しさをいただこう
一粒研いで
一掬い
一人の時も
大勢の時も
わたしたちは待っている
誰かの手から誰かへの食卓へ
わたしたちを経由して
地表をかき混ぜ
水面を反射させる
風はまだ柔らかさを得ている
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