「君が泣いた夜。」
君の悲しみを全部背負ってあげられたらいいのに、と過呼吸になりながら呻くように泣き続ける早希の背中をさすりながら考えていた。深夜2時を過ぎ、少し開いた窓からは夏にしては少し冷たい夜風が入り込んできた。狭い4畳ほどの寝室を埋め尽くすようにダブルベッドが置かれており、その上で早希が膝の間に顔を埋めて顔を隠すように体育座りをしている。なぜ早希がそれほどまでに激しく泣いているのか、僕にはまだよく分かっていない。だって、まだ知り合って2週間しか経っていないのだから、分かるはずがないのだ。