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#96 2023年11月に読んだ本【読書日記】

こんにちは☺️

当記事は、僕が11月に読んだ本の中から12冊をまとめたものです。
それぞれの本で、読んだきっかけ、このような方にオススメ、感想、印象的なフレーズを書きました。読む本を迷っている方にとって、参考になっていただけたら幸いです。


1.『正欲』(著:朝井リョウ)

📖読んだきっかけ
朝井さんの作品といえばメッセージ性の強さ。本作はそれが色濃く出ているような気がして、以前から気になっていました。また、11月公開の映画の前に読みたいとも思っていました。

📖このような方にオススメの本です
・近年メディアで取り上げられている多様性という言葉の使い方に違和感を抱えている
・自分が見ている世界の狭さを痛感させられる作品が読みたい

📖感想
世の中は、無数の欲が存在しています。具体的な名称では表しにくい欲もあります。自分が見ている世界の狭さをこれ以上なく痛感させられました。
どんな言葉も軽く感じてしまうほど、心にドスンと突き刺さる1つ1つの表現。そして、本作のキーワードとなる「繋がり」という言葉が頭から離れない構成に引き込まれました。
「正しさ」と「正しくなさ」は表裏一体なのかもしれません。
あってはならない感情はない。完全に理解はできなくても、他者への想像は忘れないようにしたいです。
本作を読んだからこそ、多様性についてわかった気になってはいけない、単なる消費として扱ってはいけないと思いました。
僕が今年読んだ本の10選に入る作品ですね。プロローグは1番だと思うほど印象的でした。だからこそ、映画はどうなるのか若干不安です。

📖印象的なフレーズ

多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。時に吐き気を催し、時に目を瞑りたくなるほど、自分にとって都合の悪いものがすぐ傍で呼吸していることを思い知らされる言葉のはずだ。

『正欲』

「はじめから選択肢奪われる辛さも、選択肢はあるのに選べない辛さも、どっちも別々の辛さだよ」

『正欲』

「あってはならない感情なんて、この世にないんだから」
それはつまり、いてはいけない人なんて、この世にいないということだ。

『正欲』


2.『太陽の坐る場所』(著:辻村深月)

📖読んだきっかけ
久しぶりに辻村先生の作品を読みたいと思っていました。爽やかさの色が濃い青春小説ですが、本作は闇のような暗さを感じてその点にそそられた感じです。

📖このような方にオススメの本です
・心の闇の部分が描かれている青春小説が読みたい
・スクールカーストについて描かれている小説が読みたい

📖感想
青春は、爽やかさだけではありません。些細な出来事で立場が変わる不安定な場所に立っている感覚。誰しもが自分の物語を生きているという自意識。複雑に絡まった感情を1つ1つほどくように言語化されている点に心が揺さぶられました。こういった人間心理の闇の部分が描かれた作品ってホラーよりも怖いと感じるんですよね…。
辻村先生の青春小説を読むと思うのが、当時のクラスメイトはどんな感情で日々過ごしていたのか。本作はその思いが特に強くなった作品でした。
闇の部分が強いと思っていたら、太陽の光を浴びているような終盤の仕掛けに魅せられました。
さらに物語の舞台となった高校に見覚えがあると思ったらある作品と同じで、その点でもワクワクしました。

📖印象的なフレーズ

同じ教室の中で過ごしていても、見ている景色はまるで違う。島津には島津の物語が、彼女たちには彼女たちの物語がある。

『太陽の坐る場所』


3.『美しい本屋さんの間取り』(出版社:エクスナレッジ)

📖読んだきっかけ
YouTubeチャンネル「ほんタメ」で紹介されていたのを見て気になった1冊です。僕は本屋に住みたいと思うほど本屋が好きで、本屋を開く予定はありませんが、経営などの裏側も知りたいと思っていたので今回手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・本屋を開きたいと考えている方
・本屋が好きで、色んな本屋を見てみたいと思っている

📖感想
本屋を開きたいと考えている方に向けた1冊。
開業するために必要なもの、お客様を引き寄せるための空間づくりや日焼け対策など、本屋を運営する大変さが分かりました。
また、本作で紹介されている本屋の魅力が間取りや説明から伝わってきて、行きたいお店が増えました。本の部位の名称などの用語集もあり、本に関する知識も深まります。
本が好き、本屋さんが好きな方にとってはたまらない1冊だと思います。
だからこそ、タイトルが惜しい!

📖印象的なフレーズ

一冊の本の価値は、どこでどういう出会い方をして、どんな気持ちでその本と向き合ったかによって変わります。

『美しい本屋さんの間取り』


4.『列』(著:中村文則)

📖読んだきっかけ
武田砂鉄さんがパーソナリティーを務めるラジオ番組「武田砂鉄のプレ金ナイト」がきっかけです。11月3日放送のゲストが中村さんで、本作を紹介していたのを聴いて気になりました。

📖このような方にオススメの本です
・誰かと比較してしまうタイプだ
・独特の世界観の小説(純文学)を読みたい
・人と猿の関係に興味がある

📖感想
ほとんどが列の描写なのに、社会全体や自らの心の葛藤が見えてくるようでした。
人は、意識的にも無意識的にも列に並んでいます。様々な列がはっきりと見えやすくなった現代でどう生きるかが問われている気がしました。正解のない社会の中で、楽しくありたいですね。不気味さがありながら、不思議と心が軽くなるような読了感があります。
人と猿の関係も興味深いものがありました。知性があることの残酷さ、抗えない欲望。列の前にいる時の余裕、後ろにいる時の焦り。独特の世界観の中で心を見透かされている気がしました。
比較をやめようと言うのは簡単だけど実際は難しい。人生において、「列」は切っても切り離せないものなのかもしれませんね。

📖印象的なフレーズ

あらゆるところに、ただ列が溢れているだけだ。何かの競争や比較から離れれば、今度はゆとりや心の不安の、競争や比較が始まることになる。私達はそうやって、互いを常に苦しめ続ける。

『列』

5.『彼女が言わなかったすべてのこと』(著:桜庭一樹)

📖読んだきっかけ
YouTubeチャンネル「ほんタメ」で紹介されていたのを見て気になった1冊です。コロナがない世界とコロナ禍の世界にいる2人がやり取りするという展開が気になりました。
(そういえばきっかけが「ほんタメ」のケースが多いな)

📖このような方にオススメの本です
・自分の抱えている想いは少数派で、それにより孤独感を感じている
・闘病生活を送っている方への世間の見方に対して、モヤモヤしたものを感じている
・人生の波間にいる30代の方

📖感想
病気の治療中だがコロナがない世界にいる波間さんとコロナ禍の世界にいる元同級生の中川君。別の東京を生きている2人がやり取りし始めて物語が進んでいきます。
それぞれの視点によって見える世界は違う。誰もが傍観者であり、当事者にもなりうる。何気ない一言が相手を傷つけているかもと心に刺さりました。同じ世界にいるけど、実は1人1人がパラレルワールドを生きていて、みんな色んな想いを抱えていて、でも相手や社会のことを考えるあまり言わないでいることがたくさんあって、なんか、その、当たり前のように日常を過ごせているって奇跡だなって。
……と、こんな感じで波間さんの心情を表しているような一文の長さも印象的です。 主人公の名前でもある波間を漂っているような感じの物語で、感動や切なさとは違う不思議な感情になりました。だけど、大切にしたい、推したい作品です。 30代の方、自分の抱えている想いは少数派で孤独感を感じている方に響くと思います。

📖印象的なフレーズ

わたし、さいきん、こんなことを思うんです。パラレルワールドってじつはどこにでもあるんじゃないか、って。だって、こんなちっぽけなわたし一人にも、"向こうの世界に住んでいる健康なわたし"と、"友達の目から見た、こっちの世界にいる健康なはずのわたし"と、"こっちの世界にいる、じつは病人のわたし"と、"兄から見たわがままなわたし"と、"仕事関係の人から見た働くわたし"と……もうごっちゃごちゃに、無数のパラレルなわたしが同時に存在していて。しかもどれも幻じゃなく、このパラレルなわたしというものはじつは隣りあって一緒にリアルに生きている。

「今日コンサートを見てて思ったの。これからのわたしにはこういうヒーローが必要なんだなぁって。そんなの変かな?だけど復帰してくれてありがとうって心から思えたから。もちろん、まず自分のために復帰して自分のために歌って自分のために踊ってるんだと思うけど。それはわかるけど。それにわたしも自分のことを考えながら応援してたし。なんかね、不思議な感覚だったの。人のことを応援することと、自分のために祈ることが、混ざりあって、同じことになっていって、ステージの応援をしながら、むしろ自分が応援されてるみたいに体の奥から力が湧いてきて。なんだろうね、これ。初めての気持ちだったな。わたし、きてよかったなぁ」


6.『ファーストラヴ』(著:島本理生)

📖読んだきっかけ
始めから何かしらの大きなきっかけがあったわけではありませんが、SNSで島本さんの名前はよく目にしていました。書店に行った時にふとそのことを思い出して目に留まったのが本作でした。

📖このような方にオススメの本です
・家族について考えさせられる小説を読みたい
・愛情とは何か考えさせられる小説を読みたい
・自分自身の内面に問いかけるような小説を探している

📖感想
右も左も分からない幼少期は様々な出来事や環境に対して受ける影響が大きく、何よりも怖いのは、自らの心の歪みに気づかないでいることです。人によって物事や出来事の受け取り方が違うように、おかしいと感じることも違うと思います。環菜さんたちの過去を通じて、おかしいことをおかしいと言えない辛さに胸が締め付けられました。
「今」を生きる一人一人が、「過去」を背負って生きています。自分自身や相手の「今」を大事にしながらも、「過去」を想像することを放棄せず、寄り添える人でありたいと思いました。尊重、尊敬、信頼を持って由紀に接している本作の我聞さんのように。

📖印象的なフレーズ

今を変えるためには段階と整理が必要なのだ。見えないものに蓋をしたまま表面的には前を向いたようにふるまったって、背中に張り付いたものは支配し続ける。
なぜなら「今」は、今の中だけじゃなく、過去の中にもあるものだから。

『ファーストラヴ』


7.『心をととのえるスヌーピー 悩みが消えていく禅の言葉』(著:チャールズ・M・シュルツ、 監修:枡野 俊明、翻訳:谷川 俊太郎)

📖読んだきっかけ
僕は「スヌーピーミュージアム」に行ったことがあったりと、スヌーピーは以前から好きなキャラクターです。スヌーピーに関する本を読みたいと思っていたところ、目に留まったのが本作でした。

📖このような方にオススメの本です
・心が軽くなるような本が読みたい
・禅とスヌーピーの関係に興味がある
・SNSを利用していて疲れを感じることがある

📖感想
世界的に有名なスヌーピーは、可愛くて癒されるだけではない。そのスヌーピーでおなじみのピーナッツのコミックの中には、短い言葉でありながら心に響き、大切な教えを説く禅語に通じるものがあります。読みながら、心が軽くなるような感じがしました。全てに付箋を貼りたくなるくらい、どの禅語も、そこからの教えも響きます。押し付けがましくないので、心にスッと入る感じがしました。定期的に読み返して、目に留まった禅語を書き留めようと思います。何かと喧騒に包まれている今の世の中を生きていく上で大切にしたいですね。
ピーナッツを翻訳している谷川俊太郎さんの詩も素敵でした。スヌーピー以外のキャラクターたちもとても個性的で愛おしくなりますね。もともとスヌーピーは好きですが、本作を読んでさらに好きになりました。

📖印象的なフレーズ

世の中はほんの少ししか変わらない
きみが居眠りしてる間に
だからきみは安心してられる
あらゆる科目に落第点をとったって
生きることの喜びと悲しみに落第はない
きみの無知がきみの力

『心をととのえるスヌーピー 悩みが消えていく禅の言葉』
谷川俊太郎さんによる、ペパーミント・パティへの詩


8.『##NAME##』(著:児玉雨子)

📖読んだきっかけ
第169回芥川賞候補作として、書店の店頭に並んでいるのをよく見かけます。僕は、特徴的なタイトルが目に留まり手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・すぐには言語化できない感情を抱えている人に関する小説が気になる
・清々しさがある純文学を探している
・前略プロフィールやリアルを利用していたことがある

📖感想
不穏そうな出来事に対して「闇」と名を付けることは僕にもあります。しかし、外側からは見えない光があることを知らずに、勝手に蓋をしたり、踏み込んでしまっていなかっただろうかと、本作を読んで胸に問いかけました。文字などを通して見る事実と、当事者が実際に目にしていたものや感じていたことは違う。すぐには言語化できない感情を抱える人はいて、当事者の気持ちを考えずに発言することの危険性を感じました。
ラストは清々しさを感じさせます。新たな一歩を踏み出すフレーズがスッと心に入りました。
前略プロフィールとリアル、懐かしいなあ。

📖印象的なフレーズ

また、闇だ。自分の知らなかった領域やそこにいる人々に出くわした時の、手に負えない現実を見切る時の呪文であり、未知に遭遇した興奮にはしゃぐ時のかけ声のようで好きじゃない。闇が深い、すごい闇、貧困の闇、業界の闇、児童ポルノの闇、どちらとも呼べない闇、と憤ったり憐れむような表情を浮かべたりしながら、割引シールを貼られた高い惣菜を見つけるように探している。

『##NAME##』


9.『マチネの終わりに』(著:平野啓一郎)

📖読んだきっかけ
若林正恭さんのエッセイで、平野さんの作品が取り上げられていたのを目にしました。それがきっかけで平野さんの作品が気になり、今回はその中で代表的ともいえる1冊を読みました。

📖このような方にオススメの本です
・美しさを感じさせる恋愛小説を読みたい
・生と死について考えさせられる小説を読みたい
・(繊細な不安を感じさせる年齢の)40代前後の方

📖感想
「未来は常に過去を変えてるんです」
序盤の蒔野の一言で物語に一気に引き込まれました。過去は変えられないとはよく目にするもの。僕自身も思っている中で目に留まった言葉です。物語でもそれを感じさせる場面があり、その度に響きました。
何よりも、蒔野と洋子が胸に秘めた想いを全身で浴びているような感覚でした。切ない2人のすれ違い、幾多の苦悩。容赦なく付きまとう現実に胸が締め付けられました。そして、中盤から二転三転する中で、夢のような美しさのあるラストに目頭が熱くなりました。
繊細に揺れ動く心情の中での2人の振る舞いに、心が打たれるものがあります。様々なテーマも組み込まれていて、生と死について、芸術文化の力についても考えさせられました。
恋愛小説の中でも忘れられない1冊になりそうです。

📖印象的なフレーズ

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

『マチネの終わりに』


10.『な~る な~る な~る なんとかなる なるようになる なんとでもなる』(著:遠藤麻理)

📖読んだきっかけ
僕がラジオを聴くようになったきっかけの1つが、遠藤麻理さんがパーソナリティを務めているBSNラジオ『四畳半スタジオ』です。時に優しく、時に毒あり?の内容にいつの間にか聴き入っていました。その麻理さんが最新エッセイを刊行するということで、発売日に購入して読みました。

📖このような方にオススメの本です
・前向きになれるエッセイを探している
・ラジオが好き、よく聴いている
・新潟県に馴染みのある、興味がある

📖感想
新潟日報での連載がまとめられた遠藤麻理さんのエッセイ。
笑える話、感動する話、考えさせられる話など、心が動かされるお話がぎゅっと詰まっています。前向きで自然体で、色んな方との出会いを大切にし、ほんのり毒?もあってお酒好き。そんな麻理さんの生き方に元気がわきました。
FM PORTの閉局前後に掲載された話が印象的です。どうにもならなかったことを数多く経験されているからこそ、「なんとかなる」という言葉が強く響きました。
「なんとかなる」は魔法の言葉。それを麻理さんから教わったと思っています。どうにもならないことがあるからこそ、「なんとかなる」と自分自身に唱えていきたいですね。
あと、Amazonの概要欄(笑)

📖印象的なフレーズ

つまり私の場合は、思い通りにいかなかったことに育てられて今があるのです。人生最初の経験は、高校受験失敗でした。15歳にして、人生が終わったと、当時は絶望したものです。
毎年この時期に書いていますが、もしもあの頃の私と同じような気持ちの誰かがこれを読んでいるなら伝えたいです。「大丈夫、大事なことは思うようにならなかった結果じゃない。今ここから、自分の心次第で、未来はどんなふうにでも作っていけるよ」と。

『な~る な~る な~る なんとかなる なるようになる なんとでもなる』


11.『リカバリー・カバヒコ』(著:青山美智子)

📖読んだきっかけ
最近、どこか踏んだり蹴ったりでうまくいかない。心が疲れている感じがして、優しさを感じられる小説が読みたい。そんな思いがある中で真っ先に思い浮かんだのが青山美智子さんの作品でした。

📖このような方にオススメの本です
・人との繋がりの素敵さを感じられる小説が読みたい
・心が優しさで包まれる、温かみのある小説が読みたい
・最近、何事も上手くいかずに落ち込んでいる

📖感想
青山美智子さんの作品は心温まる展開になるのが分かっているのに、今回も良い意味で騙されました。
痛みを経験するからこそ、分かることがある。少しずつ、自分のペースでリカバリーしていけばいい。 人生の向き合い方、人との向き合い方にハッとさせられ、絡まった糸がほどけていくような感覚。そして、同じ屋根の下の狭さと年代を超えた広さがある素敵な繋がりの「青山ワールド」に心が優しさで包まれました。
リカバリーとは「回復」ではなく、実は「適応」なのかもしれない。青山先生の言葉の捉え方、表現にはいつも新鮮な発見があります。不安になりがちな僕にとっては「不安も立派な想像力」という一言に力をいただいたような感じがしました。
印象的な話は、第3話とある真相が分かる第5話ですね。青山先生の作品には珍しい猫の登場が少ない本作ですが、読了後は装丁のカバが何倍も愛おしくなります。

📖印象的なフレーズ

「不安っていうのも立派な想像力だと、あたしは思うね」
「……想像力?」
「そうだよ。不安っていうのは、まだ起きていないこととか、他人に対して抱くものだろ。それを思い描けるっていうのは、想像力がある証拠」

『リカバリー・カバヒコ』

「人間の体はね、回復したあと、前とまったく同じ状態に戻るというわけじゃないんだ」
「えっ」
「病気や怪我をしたっていう、その経験と記憶がつく。体にも心にも頭にもね。回復したあと、前とは違う自分になってるんだよ」

『リカバリー・カバヒコ』


12.『保健室のアン・ウニョン先生』(著:チョン・セラン 訳:斎藤 真理子)

📖読んだきっかけ
11月5日の読書会に観覧者として参加した時に紹介されていた本で、その紹介を聞いて気になり手に取りました。
(紹介したのは学生の方だったのですが、伝え方がすごく上手かったです!)

📖このような方にオススメの本です
・SF作品が好き
・韓国文学の中で読みやすい作品を探している
・心地よい読了感に包まれる小説が読みたい

📖感想
養護教諭のウニョンがBB弾の銃とレインボーカラーの剣を手に、漢文教師のインピョとM高校で起こる怪奇現象に立ち向かう物語。
怪奇現象といってもホラーのような怖さはありません。SF要素がある物語で、その不思議な世界観や登場人物の微笑ましい掛け合いに惹き込まれます。ラストは心地よい読了感に包まれる感覚でした。
思わずツッコミたくなる場面や独特の表現も印象的です。一見頼りがいがなさそうに見えるウニョンとインピョの2人。しかし、読み進めるうちに、一種の生徒思いの姿のように見えてカッコよく見えました。
10の短編の中では「大好きだよ、ジェリーフィッシュ」「ムシ捕り転校生」がお気に入りです。
韓国文学の作品は初めてでしたが、本作は読みやすい印象でした。チョン・セランさんの他の作品も気になります。韓国文学ハマりそう?

📖印象的なフレーズ

「後から来る者たちはいつだって、ずっと賢いんだ。この子たちなら僕らよりはるかにうまくやれる。

『保健室のアン・ウニョン先生』

「ダッチコーヒーみたいに鈍くて冷たくてカフェインレス」

『保健室のアン・ウニョン先生』


11月の振り返り

11月は、

  • 心にドスンと突き刺さった『正欲』

  • 個人的に推したい『彼女が言わなかったすべてのこと』

  • 美しさと余韻が凄かった『マチネの終わりに』

以上の3冊が今月のベスト本です。

また、今月は名フレーズ・迷フレーズを読んだ本の中から選びました。

名フレーズ

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです」

『マチネの終わりに』

迷フレーズ

「ダッチコーヒーみたいに鈍くて冷たくてカフェインレス」

『保健室のアン・ウニョン先生』

読書会がきっかけで読んだ本も2冊ありました。
どれも素敵な作品で、特にチョン・セランさんは他の作品も読みたいと思いました。自分で探すだけではまず手が出なかったであろう本と出会える。それが読書会の魅力の1つなのかなと思います。

1年の最後の月である12月は「感謝」の月にしたいです。
2023年、無事に過ごせたことへの「感謝」、出会った方やお世話になった方への「感謝」、そしてこれから出会うかもしれない方や起こるかもしれない素敵な出来事への「感謝」。
まずは身の回りの物事や出来事に「感謝」しようと思います。

12月に読む本は何冊か決まっていますが、今は予想できない素敵な作品に出会えたらいいな😌

11月も色んな本に出会えたことに感謝😌


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