アチャール(ピックル) - グローバルの動向
こんにちは、尾道でアチャール(ピックル)の製造をしているアートオブピックルのneko-chanです。日本ではまだ認知が低いアチャール(ピックル)ですが、世界ではどのくらい認知されているのでしょうか。インドからの輸出状況など正確なデータを集めながら深めていきたいと思います。
インドから世界への輸出状況
まず、インドがアチャール(ピックル)の世界一の製造拠点であることは間違いありません。それでは、インドからの輸出の数を追えば、各国でどれくらい消費されているか市場の規模がわかるのではないでしょうか。International Trade Centre(国際貿易センター)のデータを見てみましょう。
グラフの説明
このグラフは、インドの輸出における各国の重要性と市場成長率を示しています。横軸は「2023年時点でのインドの輸出に占める割合」を表し、右に位置するほどインドにとってその国が主要な輸出先であることを示します。縦軸は「2019~2023年の各国の世界全体からの輸入成長率」を表し、上に位置するほどその国の市場が成長していることを示しています。バブルのサイズは「各国の世界輸入におけるシェア」を示しており、バブルが大きいほどその国がグローバル市場で重要な位置を占めています。また、バブルの色は、青が「インドの輸出成長率がその国の輸入成長率を上回る」、黄が「インドの輸出成長率がその国の輸入成長率を下回る」ことを表しています。
インドの伝統的な保存食であるアチャール(ピックル)は、世界各地で需要を拡大しています。その輸出動向を分析することで、今後の成長市場や新たなビジネスチャンスを見出すことができます。
主要市場の現状
2023年のデータによると、インドの主要な輸出先はアメリカ、イギリス、ドイツであり、これら3カ国がインドの輸出総額の大部分を占めています。特にアメリカは25%以上のシェアを持ち、インド製ピックルの最大の市場となっています。しかし、アメリカ全体の輸入成長率は低調で、今後の成長が見込みにくい状況です。一方、イギリスやドイツは歴史的・文化的な背景もあり、依然として安定した市場であることがわかります。
新興市場への注目
注目すべきは、カナダやオーストラリア、UAEなどの国々です。これらの国々は世界全体の輸入成長率が高く、新たな消費者層への訴求が鍵となるでしょう。特にカナダとオーストラリアでは、多文化社会の特徴を活かしたマーケティングが効果的です。さらに、ポーランドのように急成長を遂げる市場も見逃せません。同国の輸入成長率は20%に達しており、新しい輸出先としての可能性を秘めています。
アメリカのアチャール(ピックル)事情
アメリカはインドからの輸出量でトップを占めていますが、国産のアチャールブランドも存在感を増しています。その代表例がブルックリン・デリー(Brooklyn Delhi)です。同社はアメリカ産の野菜や果物を使い、現地の味覚に合わせたアチャールを製造しています。
今ニューヨーカー達の間では、アチャールを使った米印折衷料理が人気を博しています。例えば、ガーリックのアチャールとクリームチーズを組み合わせて卵とレタスとアボカドを挟んだサンドイッチなどが紹介されています。これは、インドの伝統的な味とアメリカの食文化が融合した新しいスタイルの料理と言えます。
他国でのアチャール(ピックル)と折衷料理の広がり
アチャール(ピックル)はアメリカだけでなく、他の国でも現地の食文化と融合し、新しい料理が生まれています。
イギリスの事例
イギリスでは、インド系移民の影響でアチャールが広く知られています。現地の食材を使ったアチャールが開発され、フィッシュ&チップスにアチャールを添えるなどのユニークな組み合わせが登場しています。
オーストラリアの事例
オーストラリアでも、多文化主義の下でアチャールが浸透しています。バーベキューソースの代わりにアチャールを使った料理や、アチャールをピザのトッピングにするなど、新たな食べ方が提案されています。
南アフリカの事例
南アフリカでは、インド系コミュニティが持ち込んだアチャールが現地の料理と融合しています。たとえば、南アフリカの伝統的なパン「バニー・チャウ」にアチャールを加えることで、味のアクセントを生み出しています。
日本市場に目を向けて:アチャール(ピックル)の可能性を探る
では、日本はどのような立ち位置にあるのでしょうか?
日本市場の現状と課題
データを見る限り、インドから日本へのアチャール(ピックル)の輸出量は2023年時点で約90トンと控えめな数字で、インドの輸出先としては22番目となっています。この背景には、日本特有の食文化や消費者の嗜好が影響していると考えられます。アチャール(ピックル)は在日のインド人やネパール人が主な消費者であり、日本人の認知度は全体的にはまだ低い状況です。
新しい可能性へのアプローチ
しかし、この現状は新しい可能性を秘めています。日本の伝統的な漬物は塩分が高いものが多いですが、アチャール(ピックル)はスパイスやオイルの組み合わせで保存性を持たせ、塩分を抑えることができます。この特性を活かせば、健康志向の日本人消費者に新しい選択肢を提供できるかもしれません。また、キムチのように海外発の漬物が日本で広く受け入れられている例もあります。アチャール(ピックル)も適切なマーケティングと商品開発により、競合商品としての地位を築くことが可能です。実際、アナン株式会社と共催している「アチャール&ピックル展」での好評を通じて、日本人の味覚にも確実に浸透していくことを確信しています。私は日本人なので納豆がや豆腐が好きですが、納豆+レモンのアチャールや豆腐+柚子のアチャールなんてすごく美味しいです。
まとめ
アチャール(ピックル)のグローバル市場は拡大傾向にありますが、日本ではまだその認知度は低いのが現状です。しかし、他国での成功事例や折衷料理の広がりを参考に、日本でも新たな市場を開拓する余地は十分にあります。塩分控えめで保存性が高いというアチャール(ピックル)の特性を活かし、日本の素材を組み合わせた商品開発や、和食との新しい融合料理を提案していきたいと思います。
今後も世界の動向を注視しながら、日本から新しいアチャール(ピックル)の可能性を探っていきます。
小さな瓶の中に広がる無限の可能性を
アートオブピックルの始まりは、私自身が住む尾道市という日本の地方で、地元の素材や文化を活かしながら新しい仕事や挑戦の形を作りたいという思いからでした。地方ならではの豊かな自然や季節ごとの恵みを活かし、ピックルを通じてその魅力を多くの人に届けたいと考えました。
このnoteを書く中で、改めて自分の活動を振り返りながら、世界に目を向けることで気づいた新しい可能性について考えています。海外の市場や文化に触れる中で、ピックルという存在がさまざまな文脈で受け入れられ、異なる価値や需要を持つことを実感しました。それは、私にとって大きな希望を感じる瞬間でもありました。
これからも、地方に根ざしながら、世界に目を向けて挑戦を続けていきたいと思っています。地方の可能性も、世界の広がりも、どちらも同じくらい価値があり、その両方を大切にしながら前に進んでいきます。ピックルという小さな瓶の中に広がる無限の可能性を、これからも追いかけていきたいと思います。
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