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戦争が始まり、晩秋の内地を慌ただしく出、常夏の南方戦線に降りたってから、ともすると祖国…
「殺す!」 ガラス戸が震えるほどの物騒な怒鳴り声が、朝早くから兵舎内に響いた。それぞれ…
けたたましく響く、鍋の底を叩いて敵襲を知らせる警報音で、暑さを逃れて椰子の木陰で一服し…
巡る季節のない南の島である。活発に噴煙を吐く火山が灰を降らし、芋の葉はそれでも陽に手を…
日が落ちてからしばらくの間も、純矢は前進を止めなかった。杉本もついていくのが精いっぱい…
息苦しさを感じて、杉本はくしゃみと咳とを同時にし、息苦しさに混乱しながら目を開けた。そ…
連日、敵基地への空襲を続けている。米豪の遮断やラバウル航空基地の防衛のために、どうしても攻略しなければならない場所があるのだ。そこには連合国軍の基地があって、開戦以降、米国は豪州に拠点を置き、基地はその拠点の最後の防衛地点であった。 一式陸攻が、基地への投弾のために、たくさんの爆弾を腹に抱えて飛ぶ。それを零戦隊が守るのである。 熱帯の木々が黒々と覆う高い山が背骨のように横たわる島の海岸に、敵はいる。ここのところ、敵は零戦と直接戦うことを避け、弱い立場の爆撃機である陸攻ば
現場では、敵爆撃機が一機、小さな鳥に囲まれた怪鳥のように飛んでいた。 「ちぇ、大きい獲…
全身に圧し掛かる熱波に、体中の水分が吸い出されていく。風呂上がりでも、これほど皮膚から…