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「きみのお金は誰のため」の手触りとは、こういう事なのかもしれない。

「凄いね!!頑張ったね!!今度、ばぁばも食べてみたいな」

電話越しに聞こえる「ばぁば」の声を聞いて、ニッコリ笑って震えながらガッツポーズをする長男。

あぁ、喜んでいる。
喜びに満ち溢れている…。


お店屋さん、目覚める


冬休みの最終日前夜。
突如、小2の長男が「明日の夕飯は僕が作りたい!それでお店屋さんごっこをしよう!」と言いだした。

日々、「今日の夕飯何にしようか?」と悩む私にとって非常に有難い申し出だったので「いいね!いいね!」と即反応した。

翌日は朝から「お店屋さん」についての作戦会議が始まった。

こちらのレシピ本を開きながら各自が食べたいモノを言うと長男は次々に付箋をつけていった。

てっきり付箋を付けた中から厳選するのかと思いきや、全て作ると言う。

・お好み焼き
・納豆うどん
・目玉焼き
・ハムステーキ
・鮭定食

お好み焼きを作って家族で分け合って食べる…で十分なのになと思いつつ、長男が全て作りたいというので買い出しへ。

買い出しを終え、昼食を終え、中々長男が動き出さないのでソワソワして声をかけると「そうだ!お店の準備をしなきゃ!!」と言って、最初に取り掛かったのは「段ボールの店構え」だった(笑)

そこの上部に「目玉焼き」「お好み焼き」などのメニューを書いたヒラヒラした紙をセロテープで接着していた。

「あの工作だけで時間が過ぎて、結局ご飯が作れないというオチでは…?」とヒヤヒヤしたものの、なんとか18時頃には「お店屋さん」が開店した。

どの料理も1人~2人分しか作らず、時間差で食べるしかないというお店屋さん(笑)

だけど、これと言ったトラブルもなくどの料理も上手にできていた。


今まで冷凍うどんを解凍してトッピングを乗せる・・・程度の料理しかトライした事がなかったので、一気に大躍進である。

料理が好きになってくれたら良いな…という思いも込めて

「凄いね!美味しいね!」
「良いレストランだね!」

等と積極的に口に出していたら、震えながら喜んでいた。


だけど翌朝になると「昨日、誰も目玉焼きを注文してくれなかった…」と寂しそうにつぶやきはじめた。

確かに、お好み焼き、ハムステーキ、鮭定食で各自が満足して誰も「目玉焼き下さい」と言い出さなかった。
時間がなかたという事もあって注文しなかったけど、それがとても寂しかったらしい。

という事で、翌週の「放課後に予定がない日」に再びお店屋さんが開店する事になった。

この日は「鮭定食」「納豆うどん」が「目玉焼き」に変更される形となり、付箋を付けたレシピは全てコンプリートした。

再び「美味しいね!」「最高だよ!」等と言っていると、長男が「毎週休みのどちらかは僕が作ろうか?」と言い出した。

最高だ。
最高すぎる。

「それイイね!」と賛成し、土曜日の昨日3回目のお店屋さんが開かれた。
実に1週間で3回。
中々のハイペースである。

アイディアが止まらない


土曜日は、お店のメニューを壁に貼るスタイルではなくメニューブックを作りたいと言い出した。

「それいいね!あと、お店の名前も決めたら良いんじゃない?」と言うと、張り切って作り始めた。

私が家事をしている間に、長男は黙々と「メニューブック」の作成にとりかかり、完成した本の表紙にはこう書かれていた。

「〇〇(名前)のウキウキレストラン」

芸が細かいので、レストランの名前が1文字1文字違う色で書かれている(笑)

下には雲のような絵が5個位描かれていた。

「この絵はなに?」と聞いてみると、「よくあるじゃん!漫画とかで。楽しい時に出てくるマークみたいな…」と熱弁していた。

どんなマークか分からないけど、彼なりの「ウキウキの表現」なのだ。

肝心のメニューは。

カレーライス 小 500円
カレーライス 中 1000円
カレーライス 大 1500円

おかわり無料

等と書かれていた。
何とも大胆な値段設定!

正直「おかわり無料」なら、カレーライス小500円を注文して何度もおかわりするのが良いのでは?と突っ込みたくなるが、黙っておく(笑)

メニューの横には、イラストも描かれていた。

更に、「定員を呼ぶベルを作る」と言って、紙コップとビー玉でアナログなベルを作っていた。

お店屋さん。
めちゃくちゃ満喫している。

嫌いな事を頑張れる理由


このお店やさんごっこは、色々と驚く事があった。

2回登場したお好み焼き、土曜日に登場したカレーライス。
これはいずれも長男が「好きではないご飯」だった。
せっかく作ったので自分でも食べるのか?と思いきや、長男は毎回「ハムステーキ」を食べて、他の物には一切手をつけなかった。

更にはメニューブックには、自ら沢山のメニューを書いていたけど、宿題や勉強で文字を書く事は面倒くさがって嫌いなのだ。

ついでに言えば、メニューブックに書かれたイラストも驚きだ。
宿題の絵日記等になると書くのを心底嫌がって取り組ませるのにいつも苦労している。

文字もイラストも、人に強制されると気が乗らない。
だけど、自ら「書きたい!」と思ったら放っておいても書く。


学びってこういう事なんだろうな。
「こうなりたい」というゴールがあり、そこに近づく為に工夫したりアイディアを出したり、努力ができる。

特に土曜日はカレーライスを作ったので、野菜の皮むき、包丁で野菜をカット、火の取り扱い等沢山のハードルがあった。

だけど、怖がりながらも頑張って取り組む事ができた。


家族で「美味しいね」「良いお店だね」と言いながら食べていた時、長男はとても嬉しそうだった。

そして「次はこうする…」と、またアイディアを出していた。


これが、「きみのお金は誰のため」に出てきた「手触り」というモノかもしれない。


頑張ってご飯を作ってくれた人が見える。
頑張って作ったご飯を食べてくれた人が喜んでいる。

お互いの顔やリアクションが見える事が嬉しい。

私達は、頑張って美味しいご飯を作ってくれた人に対価としてお金を払う。

最近では「省力化」「人手不足」もあり、注文や会計、食事の配膳まで機会が担う事があり、人と人の触れ合いや感謝の言葉を伝え合う瞬間も減っている。

これは仕方がない事だと思う一方で、田内さんが警鐘していた「お金の奴隷」になりかねない社会なのかもしれない。


働き手不足で、これから益々「人と人の繋がり」を感じる場面が減っていく。
これは致し方ない部分も多い。

だから、せめて家庭の中では「豊かな会話」「温かい会話」「喜びを伝えあう事」を大切にしたいと思う。

そして有難い事に健在な祖父母や、子供にとっての従妹たち。
こういう「広義の家族」と共に、楽しく過ごしていきたい。

そんな事を考えた年の始めだった。

<あとがき>
私は普段、カレーの具材を小さく切るクセがあるのですが、レシピ本の通り大きく切ってみたら美味しかったです(笑)
自己流を改めるのにも良い機会になりました。

**「昨日読んだ本」コーナー**



オンライン読書教育「ヨンデミー!」に、毎日「感想提出」をしている子供達が昨日読んだ本を紹介するコーナー。

<読み聞かせした本>

「きみがいるからおもしろい」良い表現だなぁ。
あとがきが素晴らしいです。

<次男>

<長男>

今日も有難うございました!


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なんでもやってみる母
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