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「アロスタティック負荷」と免疫力低下の関係とは❓【これからの免疫力を高める習慣25】

日頃のストレスにうまく対処することで、これからの免疫力を高める生き方、今日から始めてみませんか?

前回、変化に直面したり、困難な状況に陥ったりした際に、「体がいちばん必要とするところにできるだけ多くのエネルギーを送る」という「アロスタシス」について述べました。


しかし「免疫力の低下」という観点から問題になるのは、ブルース・マキューアン氏が「アロスタティック負荷」と呼んでいる、「ストレスでボロボロになった状態」です。

アロスタティック負荷は、ストレス自体が長く続くか、ストレスがなくなっても体が順応できないか、ストレス反応を解除するプロセスが機能しないかのいずれかの理由で、体がアドレナリンやコルチゾールに長い間さらされることから起こる。

ブルース・マキューアン『ストレスに負けない脳』 桜内篤子 訳 94‐95頁
ブルース・マキューアン『ストレスに負けない脳 心と体を癒すしくみを探る』


つまり、この「アロスタティック負荷」は、分かりやすくいえば、慢性ストレスによってストレスホルモン(アドレナリン、コルチゾール)のバランスが崩れることから起こるのです。

しかしそもそも、脅威にさらされて「闘争か逃走か」というストレス反応が起きるのは、肉食動物に襲われたり、予想外の事故に遭ったり、想定外の自然災害に巻き込まれたりするなど、命の危険を感じた時です。

精神科医のアンデシュ・ハンセン氏が『ストレス脳』のなかでいうように、脳が最優先にするのは、生き延びることなのであり、そのために、ストレスホルモンの働きによって、危機に対処するためにエネルギーが体が一番必要としているところに送られるのです(1)。


しかしながら、肉食動物から逃れることが出来た草食動物は再びのんびりと草を食むように、もしくは嵐が過ぎ去った後は青空が広がるように、ストレス≒命の危険を感じる危機的状況は、本来、一時的なものなのです。

それゆえ現代社会において「ストレス」というものが問題となるのは、マスメディアの情報に接するたびに自分の将来やお金のことで不安になったり、子育てや親の介護のことで悩んだり、親や教師から叱責されたことを想い起したり、過去の失敗を悔み続けたりするなど、身体的なものというよりも精神的なものであるかもしれないのです。


つまり、目の前に命を脅かす危険がないにも関わらず、いつまでも安心できず、あたま(脳)の中でストレス状態を作り上げてしまう、もしくはストレスを解消できずに溜め込んでしまうことが問題となるのです。

そしてそのような「アロスタティック負荷」が免疫力の低下と関係してくるのです。

ちなみにこのことに関しては、ブルース・マキューアン氏は『ストレスに負けない脳』のなかで、

困難な状況に直面したとき、奮い立つどころか、かえって気持ちが弱まるようなら、コルチゾールがうまく機能していない可能性がある。コルチゾールはストレスに対する最初の反応のときからすでに過剰に分泌されたり不十分であったりすることがあるし、危機的状況が過ぎたのに放出されつづけることもある。その時点でストレス反応はアロスタティック負荷になる。

とし、さらに、

コルチゾールは免疫に対してブレーキのような働きをするので、出すぎると免疫機能を抑える。慢性的にストレスにさらされている人が風邪をはじめ、いろいろな感染症にかかりやすいのはそのためだ。一方、コルチゾールが少なすぎると免疫が過剰に反応して、炎症やアレルギー、自己免疫疾患になりうる。

と述べていることが参考になります。


ブルース・マキューアン『ストレスに負けない脳』
ブルース・マキューアン『ストレスに負けない脳 心と体を癒すしくみを探る』 早川書房


次回へと続きます😊

注釈

1 『ストレス脳』 アンデシュ・ハンセン 著 久山葉子 訳 新潮新書

HPA系の役割というのは脅威にさらされた時(ストレス)、あるいは脳が恐ろしいことが起きそうだと感じた時(不安)にエネルギーを筋肉へと動員することだ。では何百万年もの間、私たちにとって一番脅威だったものは何だろうか。どんな状況で、進化の賜物であるHPA系がエネルギーを動員したのか。それは月払いの支払いや仕事の締切、苦労の多い人生ゲームにおける心理・社会的ストレスではないはずだ。HPA系は私たちの命に対する脅威だったもの、つまり肉食動物、事故、感染症に対して進化したと考えるほうが理にかなっている。

(181頁)


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます💛💛💛


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