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ささぶね【ゆったり共同運営マガジン】

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「ほんとうに素敵だなあ」という方たちといっしょに運営しています、ちいさな文芸部あるいは同好会みたいな場所です。 マガジンに入れてアップしたら、お互いにコメントをそっと無理なく送…
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2023年9月の記事一覧

おやすみ、シューシュー【童話】

おやすみ、シューシュー【童話】

「ねえ、ママ。お話しして?」布団のなかで、娘が言った。

「えっと、それじゃあ……積み木の国の王子様は旅に出ました。積み木の国に、バスを誘致するため、シエーバス王国に向かったのです」

「ねえ、ゆうち、ってなあに?」

「うーん、来てください、ってことだよ」

「どうして、来てほしいの?」

「積み木の国にはバスが来ないから、遠くまで移動できなくて、とても不便だったんだよ。昔からね」

「むかしっ

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真夜中のお手紙です。創作への気持ちを素直にしたためて。

真夜中のお手紙です。創作への気持ちを素直にしたためて。

 秋ですね。短いこの季節が、もしかしたら季節の中でいちばん好きかもしれません。物静かで、あっという間で。

 あわててたくさんのことをしようとしない方が良さそうですが、心はもうウズウズしています。美味しいもの食べたいし、読みたい本もたくさんある。でも、やっぱりいちばんなのは、書くことなんだと思います。

 しばらく書いていない詩や小説を、できればこの秋に、ひとつでも満足のゆくかたちで出来上がらせる

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日々は泡

日々は泡

ときどき海の夢を見る。
青くてしずかな海。とぷん、と行くときもある。


゜。

泳ぎたいな、と思って、水につかった。
水はやわらかくて、水泡がゆらゆらとのぼっていって、魚のようになって泳いだ。

水のなかにいると、お腹のなかにいたころとか、生まれるまえのこととか、魚だったことをうっかり憶い出しそうになる。

存在の深いところで相手を呼んでしまう歌。私も一介の水泡だと思う。

水のなかは、夢のな

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絵画 『ふわり』

絵画 『ふわり』

泡のように ふわりと

浮かんで 消えてゆく

そんな日々でも

文通は幽かな花か 香りするふみが行き交う こころとこころ

ふわふわと漂うように過ごしてる 君のことばを読み返しては