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【蒸留日記 vol.106】そのへんに生えてる雑草を蒸留してみる!

字面と絵面ともにこの蒸留日記マガジンで最も下らない回が、ついにやってきました!

いやね、いやですね。。。

蒸留はじめたての頃、いつかはやってみたいと思ってたビッグタイトルなんですよ実は。
そのへんの草地をとりあえず無心で刈り込んでその雑草を釜に詰め込んで蒸留してみるチャレンジ。
3年前ぐらいから思い続けてた企画なんですよw

今回は植物のプロフィールなど小賢しいことは抜きで、本当にそのへんのなんの変哲もない雑草を蒸留にかけてみます。
果たして精油と呼べるオイルが採れるのか否か…やってみましょう。

■雑草とは言っても…。

雑草は、まぁエフゲニーマエダ感覚ではその土地その土質その気候に適した植物の集合体といった印象を抱いています。
だって物知りな人にとっては道ばたの雑草の中にいくらかの薬草なるものを発見することだってできるワケですしね。
人によってはセイタカアワダチソウやオオヨモギなんていうのは紛れもない「雑草」だと思ってます。

まぁ、役立つもの役立たないものやその土地の気候情報などさまざま織り混ざった群体というのが「雑草」だと思うのです。

さて雑草について長々と持論を語っても仕方ないので、戯言はこのくらいにしておいて話を進めましょう。


■世界一ラクな素材調達。

空き地にある防火水槽まわりの刈り込み跡地

地域の防火水槽まわりが定期草刈りを施されていました。
この時点で2日たってしまっているのですが、乾いて萎びて土に還ってしまう「雑草」がまだ新鮮な状態で溜まっていますね。

さすがに上記の草の量は蒸留器に収まらないので、その隣にあったひと抱え分くらいの雑草にターゲットを定めます…

イネ科多め?

はい、ものの2、3分で材料調達は完了です(笑)
過去イチ楽な蒸留回ですね。

とはいってもこのままじゃ蒸留器にうまく収まらないので、多少なりハサミで刻んで細かくします。北海道人よろしく牧畜のエサ作ってる感覚だわ…

とりあえず収めました。
グラス(イネ科)多めなのでレモングラスとかを蒸留する絵面にも見えますが、現状単に湿った干し草っぽい香りしかしてません(笑)

蒸留時間はとりあえずの1時間半としました。

精油が出るとは期待していないとりあえずの時間設定です。笑

■結果は…!?

まさかの油玉が浮かんでいる…いやマジか…w

精油成分持った何かしらの植物を巻き込んでいたということがわかった。
とはいっても明らか道端ハーブ的なみてわかる植物はヨモギの小さな葉っぱ数枚程度しか混ぜていなかったので、、、

25L分の雑草から出てくるオイルはせいぜいこの程度。
(ラベンダーとかミントなどのハーブは収油率がかなり高い部類の植物)

とはいっても雫1滴分も採れればその香りを確かめることができるので、雑草から数滴分の精油が採れたことは度肝を抜くほどの驚きだった…

■雑草から得た、その香りは。。。

えー先んじて今回蒸留した雑草の芳香蒸留水の香りをまずは、、、
蒸留したての時はまだThe干し草!の香りがする蒸留水だったのですが、時間経過とともに明らかな鼻を詰まらせるような青臭さがする蒸留水に変わっていきました。
アレです、スイセンを蒸留した時を思い出すようなまさに青々とした草だけを蒸留した匂いです。草だけに臭いだけでした。

で、で!!!

驚くのはここから。

5mLの保存ビンに0.3mLほどGETできた精油を手の甲に垂らしてかぐってみると、、、うっすら青っぽさがした次になんとスイートオレンジのような美味しい柑橘の香りがするのです!!!ww

雑草を蒸留するとわずかながらオレンジの香りがする精油が得られる。

これには想像だにしないとてつもない驚きをぶっ食らわされました…
いやまじか…雑草からなんでオレンジの香りが採れてしまうんだ。

何度精油の香りを嗅いでも、若干の干し草のような香り&ミカンやオレンジのような香りがして本当におもしろいのです。

マジでその辺の雑草を蒸留することの意義について大マジに語ってみる。

牧畜の発酵飼料=サイレージを作っているような気分
釜蓋を開けると干し草の香りがする湯気が立ちこめた

結局のところ、この蒸留マガジンをはじめ各国にある精油蒸留所って、先人の道の先にあるもんなんですよ。ようするに、「先人がこの草から精油採れたわ!」の経験をもとに香料生産って行われてるんですよね。

となると、後をゆく人は別の土地であれ同じ植物をみっければいいわけですから「先の発見」があればなんら苦労なく精油をGETできるんですな。

しかし、「まだ見ぬ香料植物をみっけたい」となると話は変わってきます。
化学調査が進んだ21世紀現在、都市圏の動植物ってのはほっとんどの動植物種が網羅されてると思うんですよね。
そんな中で香料・精油を生み出せるとは知られてなかった植物を見つけるための方法論の一つとして、とりあえず漠然と目の前の草地の草を全部蒸留してみるという方法が挙がります。
全数調査といって、生えてる植物を1本1本確かめるより、まずは全体をまとめて調べちゃえ!って方法ですね。
まずは決まった範囲中でオイル・精油が出るか出ないかを調べるわけです。

よく工場の不良品検査なんかで、1000個あるうちのどれかにあるエラーを見つけるために一人が1000個を調査していてはとてつもない徒労です。
なのでどこかに当たりをつけて20個分をラインの何箇所か、といった形で抜き打ちチェックをするのです。

その自然調査方法にならっていたのがこのつまるところの「雑草蒸留」になるわけです。


…で、雑草蒸留1回目はなんとオレンジの香りがするオイルがわずかに得られた!でした!


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若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。