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【蒸留日記vol.86】フランス産ラバンジン'Gros Bleu'を蒸留する!

さてさてさてこんばんは。
ラバンジンラベンダー蒸留編の第3幕、正しく評価してあげたい超園芸向きのフランス産ラバンジン’Gros Bleu’になります!

毎年ウチではほぼ最後のラベンダー収穫となるこの遅咲きラバンジンの’Gros Bleu’ですが、、、
今年は7月後半から雨の日が煩わしいほど多く、例年よりも早めの収穫・蒸留実施となりました!

蒸留実施日は23年8月16日になります!
Distilled day of 16.08.2023!

23年度ラバンジン'Gros Bleu'の蒸留実施日

コチラは昨年度'Gros Bleu'の蒸留(8/24)記事⤴︎⤴︎

■Lavandin 'Gros Bleu'のプロフィール!

7月末開花が始まったラバンダン・グロブリュの花穂
好きな品種なのでさらに花穂の写真!

▶︎Gros Bleuはフランス産ラバンジン!

まず先に大事なことを述べておきます。
調べてみるとれっきとしたフランス産ラバンジンでした!
日本の苗木流通の現場ではアルファベット名をそのまま読んでグロスブルーと表記されていますが、「Gros Bleu」はBlue(英)とは異なるスペルからもわかる通りフランス語の品種名なんです…!!

今年のエフゲニーマエダはフランス語を多少扱えるようになったので仏語圏情報での調べが深まりました!

"Gros"仏語の大きいや太いなどを意味する前置詞で、ドイツ語のGroß(大きい、偉大な)とスペルが同じなので誤読しがちですが、英語のGrosには蔑視的な単語しかないのでフランス語で確定。読みは「グロ」

"Bleu"は見ての通りBlue=青なんですが、フランス語を知らない初見だとスペルミスを疑う程度でスルーしてしまいがち。読みは「ブリュ」
ということもあり品種名'Gros Bleu'はしっかりフランス語でした!

しかし栽培史上にはあまり登場することがなく…(後述します)

当ブログではスーパー→シュペールのように敬意を込めて
ラバンダン グロブリュと仏語表記することにします。

Lavandin 'Gros Bleu'の仏語発音/表記

▶︎’Gros Bleu'は開花期が長く、かなりの遅咲き品種!

コモンラベンダーの収穫時期からひと月後だが開花期の真っ盛りにあるLavandin 'Gros Bleu'
度重なる雨を受けて残念なことに花穂の色がくすんでしまっている
23年は多雨な夏後半となっていたので花穂の色はすっかり褪せているが開花は続いている

わがラベンダー研究園ではラバンジン系統品種だけでも8品種栽培しているが、その中でも最も遅い時期に開花期が来るのがこのラバンダン グロブリュ。
ウチならではの品種多数を集めて比較栽培し、その上で判明した品種特性ですね。(ラバンジンはあまり力入れてないんですけど!)

ラバンジン品種を総当たりで調べればまだまだ遅咲き・開花期間が長いラバンジンもいるのでしょうが、8種集めたウチでの現状だと結果的にGros Bleuが最遅の品種となっています。

時期参考までに、2022年度(去年)のGros Bleu収穫日はなんと8月末の8/24でした!

▶︎HAL scienceでの'Gros Bleu'探索結果。

HAL Scienceというフランス語およびフランス国内で書かれた論文をまとめているサイトがあるんですが、そこで仏語検索かけると(当然)わりと1950年代や1960年代のラベンダーに関する論文が多数HITするんですよ。
読むのは大変なんですけど、品種名で検索するといつの時代にどんな品種がオイル採りで扱われていたか等を知れるおもろいツールなんですね。

ところがところが、GrossoやAbrialsやSuperなんかはわりかし様々な論文で目にする品種なのですが、どうもGros BleuはHITせずなのです。
くまなくラベンダー論文を探せばいずれかにLavandin 'Gros Bleu'が登場するのでしょうが、おそらく園芸色の品種として誕生したためにオイル生産史にはほぼ主として扱われない観賞用のフランス産ラバンジン品種だったのかもしれません。(現状判断では!)

■Lavandin 'Gros Bleu' Photo

ポツポツと花が咲きはじめたLavandin 'Gros Bleu'の花穂(7月末)
ラバンジンはコモンとは異なり、開花がゆっくりと進み一斉開花とはならない。
Lavandin ’Gros Bleu'の花穂①
品種名の意味する通り、ラバンジンの中でも特に花穂の色が濃い
Lavandin ’Gros Bleu'の花穂②
どちらかというと赤みの強いディープパープル色なLavandin 'Gros Bleu' Calyx
ヒロハの性質(小ぶりな花穂が脇芽からも伸びる)をしっかり引き継いでいるグロブリュ
開花シーズンを迎えたLavandin 'Gros Bleu'

■収穫&蒸留準備!

8/16収穫当日のグロブリュの花穂
若く小さめの花穂はまだ色が残っている

例年通りだと収穫タイミングはまだ伸ばせたんですが、何度も書いている通り今年はとにかく7月後半からの雨が多いシーズンだったのでご覧のように花穂の劣化が早く進んでしまっていました。

色褪せ・劣化が進みすぎると精油の品質と保持量にも影響が及びそうだったので8/16時点で収穫を実施してしまいました!

旧花壇5号機に残るグロブリュ5株

収穫完了の図。

収穫重量は664グラムとなりました!

ちなみに去年の同じ株数:5株からの収量は今年よりは少なく328g。
というのも、去年はより徹底的な花穂のみの選り分け収穫を行なっていたので収穫物に対する花部分の割合がすこぶる高くなっているのでした。

このように、今年はやや葉茎部分を含んだ収穫となっているのでその分重量が増しているのだと思います。

■蒸留結果は…!?

今年は蒸留法をやや変えて時間を60分に限っています
去年は抽出量7mLと記録され、今年は足しても2倍量には増えず…

今年はさらにオイル収量が増えるかな〜と期待したんですが、そうはいかなかったみたいです。
グロブリュの植え替えを途中で諦めていくらか根っこにダメージが及び、それが花穂のバイオマス量(収穫体積)に影響した可能性もありそうですね。

30mLバイアルの半分量15mLに達していないことから今年の収油量は5mLと見積もって計算してみます。(合計12mL)

1.収油率

去年の収油率は比較的高収率の2.134%でした。では計算してみましょう。

抽出量[ 5mL ]÷ 素材重量[ 664g ]x 100 = 0.753%

8/16開花後期のLavandin 'Gros Bleu'蒸留の収油率

ありゃりゃま1%切っちゃったよ…コモンラベンダー並の%に落ち込んでしまっていました。
収穫時期は例年より早め。

うーん・・・多雨のせいか??笑(思考停止)

ちょっと去年と今年ですごい収率の上下差となってしまっているので時間作って原因究明してみたいと思います。
雨がすんごい影響してそうなんですけどねぇー…

2.香りとか

まっててね!


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エフゲニーマエダ(平成林業。)
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。