【蒸留日記vol.41】北海道ラベンダーの代名詞、ラベンダー3号濃紫の蒸留!
こんちわこんちわ!!
蒸留マガジンもついに40回台へと突入しました。
そして本日はいよいよ大本命の3号濃紫ラベンダーのオイル採り回です!
2019年の春に「世界でラベンダーは穂が短いやつと長いやつの2種類しかいない」と思い込んでたくらいの無知スタートを切り、、、
初年度にこの3号濃紫ラベンダーを52株植えてからというもの、4年目の7月10日ついに初蒸留を迎える運びとなりました!!
【家の隣の空き地にいきなりラベンダーを植え始めた当時のnote⤴︎⤴︎】
まぁ述べたように、ラベンダー栽培を無知の状態でスタートしたので、単純計算、同じ品種が52株も生まれることになってしまいました。
なので収穫作業もまず一人では1日で終わるわけがありませんでした。
炎天下酷暑の中、ひたっすら同じラベンダーを丁寧に摘み続けた男の活動レポートをご覧くださいませ。。。
●ラベンダー3号濃紫ってー??
北海道で育つラベンダーには2大巨頭がおります。
ひとつを4号オカムラサキ(L.angustifolia 'No4 Okamurasaki')。
この品種は1940年代に南フランスからタネでやってきた中のうちの1種で、オイルの香り・量が良いことから1967年に栽培奨励品種に認定され、遅咲きナンチャラという試験名から4号オカムラサキという作物名称が与えられてラベンダーオイル生産用品種として栽培されました。
現在では中富良野のファーム富田にて、精力的に栽培保存されている品種のラベンダーです。
ファーム富田の象徴的品種と言っても差し支えないでしょう。
そして3号濃紫(L.angustifolia 'No3 Noushi')。本記事の主役!!
呼び名は「ノウシハヤザキ」だとか「コイムラサキ」だとかいろいろありますが、私エフゲニーマエダは3号濃紫(サンゴウノウシ)と呼んでいます。
この3号濃紫もオカムラサキと同じく1940年代フランスからやってきたタネの中にいたラベンダー品種なのですが、オイルの質が比較的低レベルだったらしく、栽培奨励品種には認定されませんでした。
しかし1990年代、オイル品種としては不遇だった早咲き2-3(旧名)は、ファーム富田が脚光を浴びて北海道ラベンダー観光が盛んになると、花を咲かせる前(つぼみ状態)から濃く紫色を呈するために鑑賞価値が高く評価されたことから、3号濃紫という名をあてられ園芸品種としてめちゃくちゃ出回ることになりました。
おかむらさきに比べて紫色の穂が詰まって丸っこく、紫色の絨毯を作るので園芸向きだったんですね。
結果として現在、北海道の街中あちらこちらで見かけるラベンダーのほとんどはこの3号濃紫である場合がほとんど。
そして北海道で育つラベンダーの中で真っ先に開花を迎える品種だったりします。
(最速は"さきがけ"という品種に譲る)
▶︎エフゲニーマエダにとってのラベンダーは3号濃紫のイメージ!
だったんですよ。
どうやら人生で初めて見たラベンダーが4号オカムラサキではなく、この3号濃紫だったから、らしいです。
なので香りとかアロマ的要素を除けば、自身のラベンダーイメージに最も合致するのはこの3号濃紫だったそう。思い入れが強いみたいです。
なのでこのラベンダーを最初大量に植える!
という凶行に及んだ模様です。
(北海道で植栽数No.1だとか香りはあまり好まれないとかはのちに調べてわかった事)
●収穫作業のようす。
上のリンクは去年の収穫のようす。
去年までは、収穫したラベンダーは全てドライフラワーにしていたので、めちゃくちゃザクザクと刈り込んでいます。
しかしオイル作りをはじめる今年!!
収穫方法をかーーーなり変えているんですよ。
(というか今までのラベンダー蒸留記事で全部方法が違うw)
ファーム富田の蒸留所へ見学に行ったり、詳しい人はフランス現地の蒸留所の様子を思い起こすと、蒸留釜へラベンダーの花束をそのまま突っ込んでいる景色が目に浮かぶと思うんです。
がしかし、ひねくれ者のエフゲニーマエダはそこをこう変えています。
まぁ見ての通り、刈り取って花束にはせず、茎葉っぱ(Leaf, Flower stalk)とキレイな紫色の花頭(Flowering Top)をあえて切り分けます。
みてわかるように物量の差がすごいんですよ。
結果的に25Lバケツを先に満タンにしたのは葉っぱと茎の方。
オイルの詰まっている花穂部分は半分程度の10L分くらいにしかなってませんでした。
そんなバイオマス体積比になる感じです、はい。
で、結果5時間くらい炎天下のもと摘み続け、、、
素材重量1キロ以上を達成しました!!
いやーこの瞬間はホントよくやった俺!と思いました。
3号濃紫のちっせえ紫の花頭部分だけを1キログラム以上も稼いだのです!
5時間もかけるとさすがに水分も何%かは飛んで軽くなってるハズ。。。
ということで、ラベンダー花の重量1033gを蒸留するといったいどれだけのラベンダーオイルが得られるのか。。。
いざ、蒸留です!
●3号濃紫を1キログラム蒸留してみる!
当然のことながら、部位を分けて収穫したので最後の最後で混ぜて蒸留なんてことはしません。あくまで花部分のみからオイルを採ります。
つい毎年恒例のコレを思い出す光景。
いつもなら花部分だけを煮詰めてラベンダーシロップにしてましたね。
贅沢にも1キロのラベンダーが蒸しだされた蒸気が登ってきました。
セパレータの排水路からしこたま甘い香りが溢れ出してきます。
この香りをそのままジンとかリキュールにできたらなぁ〜とか思ったり。。。
そして3号濃紫ラベンダーの芳香蒸留水とラベンダーオイルが2層に分かれて抽出され始め。。。
セパレータに蒸留水が溜まり始めたばかりからもしっかり見えるくらいのラベンダーオイルの層が!
出だし好調!ジャバジァバと抽出されるよう!
そしてセパレータから蒸留水がポタポタし始めてものの10分程度で、この分厚さのラベンダーオイルが溜まってました!
ここから注目していただきたいのがラベンダーオイルの色!
開始10分20分程度では無色透明感が強いラベンダーオイルなんですが、、、
蒸留終盤、ポタポタ開始から1時間が経過した頃のオイルの様子なんですが、黄色味が強くなってるのがわかりますでしょーか!
ずーっとへばりついて観察してた感じだと、だいたい30分を経過した頃から黄色感が強くなってきたように感じました。
オイルに色がつくということは抽出される物質の種類が変化したということなんですよね。
無色の物質は構造が小さいモノテルペン類(炭素数10コ)である場合が多く、黄色になる物質はβカリオフィレンをはじめとするセスキテルペン類(炭素数15コ)である場合が多いようです。
杉やヒノキの木材オイルなどはセスキテルペンが主体なのでかなり色のついたオイルになるのが代表例だったり。。。
●蒸留結果は…!?
こういう蒸留結果になりました!!
想定では歩留まり1%越えを期待していたので、30ミリバイアルを用意していた甲斐がありました。
30mLビンの半分値に届かなかったくらいなので、少なくとも10mL以上15mL以下の範囲ということでしょう!
めーーーっちゃ細かく見ていくと、13mLほどでしょうか。
これで歩留まりを計算してみると。。。
で、蒸留が終わったあとのラベンダー残渣はそのまま土には返さず、乾燥させて再利用を図ります。これこそハピエコ!
まぁこんな感じで蒸留後は洗濯ネットにつっこんで暑い場所で吊って干しておきます。
乾ききると製粉器にかけて微粉末に。線香とか作れますからねbb
●総論!!
結局寝坊して昼前から花を摘み始めたので、涼しい早朝からやり始めてたらまだ歩留まりは向上していたのかもしれません!
・・・明日やろうか!笑
えーで、半年間ラベンダーの蒸留に関する論文を読み漁ったところ、やはりコモンラベンダーのオイル抽出率はどの国の研究でも1%に収束するみたいです。
でおいら氏は各記事で「最大3%」と書いてたりするのですが、実は3%まで抽出率を達成できるのは、かの有名なラバンジン(Lavandula x intermedia)というハイブリッド品種の持ち味なんですナ。
あのラバンジン グロッソとかが類される、ラベンダーオイルの中でも比較的リーズナブルな価格帯になる品種≒系統種です。
で話戻して、3号濃紫をはじめとする新鮮なコモンラベンダーを蒸留してオイルが1%も得られなかったり、3%近く取れてしまっている場合は管理上の問題を疑ったほうがよいかもね、という結論が導かれたりします。
あとは、2万円をドブに捨てる覚悟で島津製GC-MSを持ってる検査機関にオイルサンプル投げ込んでみたりとかですかね!
とまぁ、こんなところでしょうか!
もっと効率よくラベンダー採集できればよいのですが、Blooming out(咲き終わり)までの時間勝負だったりするので、ひとり頭でのラベンダー栽培は品種をとっかえひっかえしたりするのが無難なのかなぁと思ってみたり。
同一品種のオイルをとにかく大量に採りたい!って場合は機械化も視野に入れないとだよねーというテキトーな事書きなぐって筆を置きたいと思いますw
ではでは、明日早起きして次なるギモン解消チャレンジしてみたいと思います!
4000文字超えのバケモノブログ読んでくださりあじゃした!
ラベンダー農夫エフゲニー大感激!!
らぶきゅんきゅん!!ww
(実は続きがあったり。。。)
●切り分けた25L分の茎と葉っぱはどうした?
ちゃんと残された葉っぱ&茎からもオイル、採ってやりましたよ⤴︎⤴︎⤴︎⤴︎
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。