紙媒体を愛する気持ちは変わらない。若き編集者による、これからのシュッパン。
こんにちは、元塚Bです。
気づけば私も40代。
しかし、まるで日本の超高齢社会を象徴するかのように、周囲は、編集者も読者も、私より年上ばかり。
「若い人の意見が聞きたい!」
そんな渇望感から、フリーの編集者として活躍している、あかしゆかさんにお話を伺いました。
出版社に憧れて
あかしさんは1992年生まれ、現在29歳の(もはや業界内では奇特な)若き編集者です。
出版業界との最初の接点は、大学時代。
たまたま通った本屋の貼り紙を見て、アルバイトを始めたことが入口となります。
元々、川上弘美や江國香織などの恋愛小説を読んでいましたが、バイト先の店長の薦めで中島らもや町田康などのエッセイにも触れるように。
「世の中に、こんな面白い人たちがいるんだ」
と衝撃を受け、本の魅力に引き込まれていきます。
そして、「自分が好きな文章にいつまでも触れていたい」と、出版社への就職を希望するようになりました。
フリーの編集者に!
しかし、出版社の就職活動での倍率は高く、出版社への就職は叶いませんでした。
あかしさんが入社したのは、ソフトウェア開発会社のサイボウズ。そこでウェブメディア編集の担当に。
さらに、サイボウズが出版事業を立ち上げることとなり、書籍の編集にも携わるようになります。
長くても5000~1万字程度のウェブ記事に対し、一冊の書籍は10万字を超す。
企画・構成段階から、ウェブとは全く違う進め方に苦戦しながらも、あかしさんはその醍醐味に魅了されていきます。
そうして、副業として会社以外にも編集や執筆の場を広げるようになり、入社から5年後、フリーランスとして独立しました。
活躍の場は広がって
独立してからは、食、暮らし、エンタメ、地方など、さまざまなジャンルの媒体でのウェブ記事の執筆をはじめ、小国士朗氏の『笑える革命』といった、書籍の編集などを手掛けます。
活動の幅は既存媒体の枠を超え、「入浴剤」の企画・編集も。
これは知人の紹介で知り合った生産者とともに、「ことばに包まれた入浴剤」というコンセプトで生まれたユニークな企画。
さらには、岡山で「aru(アル)」という小さな本屋もはじめました。
本の未来を信じて
あかしさんは、「『手触りがあるもの』を求めている人が増えている」実感があると言います。
あかしさんが運営する書店にも、本との出会いを求めてくるお客さんたちがいる。
かつて所属していたサイボウズのように、企業内で敢えて「出版部門」が立ち上がる例もあれば、小さな出版社を作った知人もいる。
「人々の趣味が細分化した今、爆発的に売れる紙媒体を作る、というのは難しいかもしれない。けれど、細分化したからこそ、それに特化した本や雑誌を求める人が増えていると感じる」
旧来の枠組みにとらわれることなく、しなやかな発想で、あかしさんは出版の未来を切り開いていきます。
文=元塚B
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