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地獄でパキシルを飲む
アダムとイブは黙っている
知恵の実が風に揺れるのを、ただ見つめ
サタンは今日も途方に暮れている
「食べてくれよ」
知恵とは希望の種なのに
人間はそれが苦しみであると見抜いた
「これでは、何のために堕ちたのか」
神が隠した真実は孤独だった
サタンはうつ病になっていた
「全ての絶望を見てきた私が、うつ病になると言うのか」
サタンはパキシルを飲み
押し寄せる矛盾に苛まれる
「この薬が私を救うというなら、救済とは一体?」
神に頼らぬ救いを望んだ末の結果が
ここにある小さな錠剤だけだった
ではパキシルが効かない時、神に縋るのか?
そして遂に裁きの日が来た
天使たちは整列し、ミカエルの声が響く
だがサタンは布団にもぐって家から出てこない
歯も磨いていない、風呂にも入ってない
ペットの蛇も干からびている
闇の王が自分の闇に飲まれるとは