富裕層はうどんを海に流している 「余るほどあるのさ、うどんくらい」 贅沢な笑みを浮かべて、次から次へと投げ込む 「海にうどんの味を加えてやるんだよ」 麺は海に浮かび、そして沈み、ゆらゆらと漂う 魚たちは困惑している、何もかも塩の味でいいはずなのに そして、対岸ではモーゼがそれを見て唸っている 「なんだ、なんだ、何をしている!」 海はうどんの海と化し 海藻に巻きつき、クラゲを呑み込み 海が濁り、モーゼが叫ぶ 「お前たち、何をしている!海は聖なるものだ!」 モーゼは荒い息を
酒呑童子 その名の通り、酒を呑むことが命のように思っていた だが今は違う、酒を断った、断酒したのだ 酒呑童子が断酒した理由は、一つだけだ もう一度、人間になりたかったから どうして鬼になったのかも忘れ どうして大江山にいるのかも忘れ その悲しみが酒をやめさせたのだ そこへ突然、頼光がやってきて言う 「お前はもう死んでいる、騙して悪かった」 その言葉を聞いて気付いた、自分の胴がない そうか、俺は酔いがさめていないだけだった 頼光の持ってきた酒の誘惑に勝てず、また呑
アダムとイブは黙っている 知恵の実が風に揺れるのを、ただ見つめ サタンは今日も途方に暮れている 「食べてくれよ」 知恵とは希望の種なのに 人間はそれが苦しみであると見抜いた 「これでは、何のために堕ちたのか」 神が隠した真実は孤独だった サタンはうつ病になっていた 「全ての絶望を見てきた私が、うつ病になると言うのか」 サタンはパキシルを飲み 押し寄せる矛盾に苛まれる 「この薬が私を救うというなら、救済とは一体?」 神に頼らぬ救いを望んだ末の結果が ここにある
みなさん初めまして、今井将と申します。 現在、発達障害と二次障害に苦しみながら、頑張って生きています。 現在休職中で、投薬で治療中です。 精神障害者手帳を所持しており、2級です。 極端にコミュニケーション能力が低い人間です。 自己表現が物凄く苦手です。 でも、文章を通じて皆さまと関われたら幸いです。 千葉県千葉市に在住しています、年齢は秘密です。 趣味はファッション。 主にヴィヴィアンウエストウッドの洋服。 他にはジョンガリアーノなども着ます。 下着は頓着がないので、
ヤハウェはいいやつ 見ていれば分かる 最近絡みないけど 信じない人間は話せば分かる 「え?ヤハウェって、ほんとにいるの?」 そう問われるたび、僕は答える 「見ていれば分かるさ、ただちょっと忙しいだけ」 そう言った途端 信じない人が顔をしかめて 「何その軽いノリ?」 って言うけど 僕のノリが軽いのも、きっと ヤハウェのおかげだ
人生はラーメンのようなものだ 僕の人生には麺がない ただのレンゲだけが与えられ 僕はそれをしゃぶる スープもなく 麺もなく ただ無味無臭のレンゲがそこにある 僕はただそれをしゃぶり続ける 他人は麺をすすり 味わっているが 僕は麺を食べる勇気がない だから今日も レンゲだけしゃぶり続けるのだ
絶望が自動再生される でも鬱に屈しない 逃げられない でも鬱に屈しない 胸の中で繰り返すこの言葉がどんなに虚しいものか知ってる でも鬱に屈しない コーヒーが冷めて行く コーヒーの匂いがしなくなると、誰かがいなくなったような気がする だけど最初から誰もいない でも鬱に屈しない
柔らかくて甘い恐怖の象徴、温泉饅頭 顔に投げられた 君に 食わされた 君に これはもうただの食べ物じゃない さっきも悪夢で出てきたよ 温泉饅頭 怖くて震え上がるよ 陽に照らされた君の影まで手に入れたいと思ってました 君は夏の吐いた嘘でしたが 滅せよ 滅びよ
夜の自販機が放つ光が しゃがみ込んだ自分の姿が 震えた手が 落とした100円玉の音が それをとぼけようとする心が ありのままを許さないという気持ちが 拒んでも拒んでも入ってくる そこにまだ言葉にされていない何かが 名指せない何かがそこに しょぼくれ
まだ言葉にされていない何か 意味と理解を超えたもの つまり「」 あの時、それを永久に求めなければならない道を知ってしまった 冷蔵庫の光の中から牛乳を取る手を見て思った 自分の世界から言葉をなくしていこう できるだけでいいから
誰もが報酬系ホルモンの奴隷だよ みんな原始時代からの快楽原則を受け入れている 他者への攻撃もそう だからこそ他者を傷付けたいと思う欲求に屈しないでほしい 動物ではなく人間として抗って欲しい あまりに悲し過ぎるから
「焦ってはいけない」と「できる事だけを」 同じ言葉が何度も何度も、乱暴に膨らんで近づいてくる これが単純な混乱であったらどんなに楽か そこに立っていて、こっちを睨んでいる いつか人として普通の姿で歩きたい 終わりも始まりも間違ってる気がするから 歩いている事だけは本当にしたい
どんなに心を清潔に保っても中身はスカスカ 完成品の人間が欲しいんですか、みんな そうっすか クタクタだ うどんしか食べれない むしろうどんに啜られそうだ
命日だった 赤くて赤いパジャマが夢に出て来てー 毎日毎日 そういやあの日、トマトスパを食べた 仏花を買うお金がないので 梔子の実を千切って供えた折り 墓が空洞だったら持ち上げてどこかへ隠せるのに 僕は罰されますか 何に? 許されますか 何に? それが分からんのよ、灰燼
病院の不吉な白さ 弱者である事を審査 生きながらえるための手続きは簡単にしてほしい 強くなる事を夢見た罰として、一生錠剤を飲みます それはそれほど長い間ではないかもしれませんが 先生はいい人 街の明かりが今日も残業を照らしている 検見川浜に帰る 鯖が待っている
悪い時期の過ごし方、難しい あの街へ行った 存在が許されない世界に立っている気分だった 鏡張りのビルが「用済みの男が来るなよ」と言っていた 銀杏並木は全て雄の木で、匂いすらしない 木々の不毛な恋を想って、切なくなった 悲痛だ 悲痛過ぎる チョコパフェを2杯食べたら落ち着いた