とびきりの無為を愛した日々と、夢追い人が集う町の話
はじめての一人暮らしを始めたのは、ご多分に漏れず大学進学のタイミング。18歳の時だった。
第一志望だった京都の私大に受かったのは良かったが、かなしいかな、当人を含むだれもが合格を確信できていなかった。
そのため、合否発表の直後から突如、新生活に向けてのあわただしい日々が始まった。
母とともにネットで様々な物件を見漁り、実際に京都へ足を運んで部屋を決めてから、家電をそろえて家具を見つくろい、引っ越しを終えるまではあっという間だった。
正直、感傷にひたる暇すらなかった