私を支える先輩の言葉
後輩育成の難しさ。
毎年のように頭を悩ませているこれ。
一人一人、覚えるスピードも投げかけられた言葉の捉え方も、それぞれの成育環境によって個性があるし、ある人は大丈夫だった言葉も、この人は深く傷つく可能性もあるわけで。
私の場合は、わからないことをわからないと言う事に抵抗がないのと、興味が湧いてプライベートの時間の一部もそのための勉強に充てたり、調べ物をしたりするから、比較的覚えが早い。と思う。
今回の異動後も、ある先輩から「相変わらず順応するのが早い」と言われたから、多分、自己評価と人からの評価にそんなに乖離はないと思う。
ただ、自分は優秀だと思ったことは一度もない。
その時その時の努力の方向が正しかっただけだと思う。
じゃあ、その努力の方法を教えればいいのかというと、そうでもなくて。
他の大先輩には「自分ができるレベルを他の人に求めては駄目だよ」と言われていて、ありがたい言葉な反面、これがなかなか厄介なのだ。
この言葉を言われたのは、7年くらい前になる。
当時の私は、「いやいや、そう言ったってこのくらいはみんな努力してるし、できるんじゃないのか」と思っていた。
その頃は、周囲の人たちも謙虚で人格者で所謂仕事ができる人たちばかりだったし、自己肯定感や自己評価が低かったことも手伝って、割と本気で思っていた。
が、20代の部下を持つようになって状況が変わってくる。
1から10まで全てを教えてもらうことが当たり前だと思っているのか分からないけれど、「自分で調べる」という行為に疎いのだ。
勿論、全員がそうな訳ではない。できる人達もちゃんといる。
ただ、最近の傾向として
分からないことは、分からないままそのままにしておく。
そうしておいても、全然平気で焦りもない。
先輩が教えてくれるのを、ただ待っている。
こんな後輩が目につくようになってきたように思う。
危機感が、ない。
そして、今持っている部下が、その傾向の持ち主なのだ・・・うーん。
当然、業務内容はインターネットに載っていないから、その部分はきっちり教えるけれど、インターネットに載っているような一般的なことまで教えている余裕はない。
ちょこっと過去の資料を開けばわかる事もある。
資料の在処は教えるけれど、「何ページの何行目にあるから読んでおいてね」とまでは言っていられない。
こちらも、後輩育成だけが仕事ではないし、全く別の分野も一人で担当しているから、後輩育成の時間分の業務はそのまま停滞する訳で、業務効率を上げるにも限界があるのだ。
そして、更にことを厄介にしていることがある。
私は、遠回しな言い方は、相手が感じ取って考える力がないと何の進展もないから、あまり好きではない。
できるだけ、趣旨のわかりやすい端的な言い方にするようにしている。
ただ、自覚なしなのが問題なのだけれど、私は核心をついたことを言うから、言われた人は心が抉られるらしい。
だから、一応、相手がへし折れないように、一呼吸おいて言葉を選んでいるつもりなのだけど・・・どうやら、その努力の方向のセンスだけはないらしい。涙
これじゃ、思ったことを本当にそのまま言葉にしたら、ただの破壊神じゃないか。
頭の中で、先輩が言う。
「自分ができるレベルを他の人に求めては駄目だよ」
もしかしたら、本当にそうかもしれないけどさ、先輩。
可能性が本当にゼロの人間なんて、きっといないと思うから
相手に期待しないなんて、失礼だし、勿体無いと思うんだ。
教え方が的確で、人を伸ばす力があるって言ってくれたのも先輩でしょう?
これは、私が成長する機会でもあると思う。
自分の意思で学んで身につけて、それを仕事に活かせた時の面白さを感じてほしい。
だから、自主性を身に付けてほしい。
疑問を持ってほしい。
その後輩を可愛いやつだと思っているから余計に。
世の中は、常に変化していて。
人は、弱い面もたくさん持っていて。
人生は勉強の連続で。
与えられるものだけ享受していればできちゃうだなんて、人生そんなイージーモードなわけなくて。
私だって、私よりも上の世代の先輩方だって、今も変わらず勉強を続けているのは、武器や社会の大波に乗るための船を手に入れたいから。
戦いの先にある面白さを見てみたいからなんだって。
自分を成長させられるのは、他でもなく自分だけなんだよ。
考えることを放棄しないでほしい。
後輩の歩幅に合わせながら、ほんの少しだけ前を歩いて、言葉と背中で見せていけるように、私も努力していこうと思う。
一緒に頑張っていこう。
さて、後輩育成プログラムを再構築しますかね。
頑張るよ、先輩。
素敵なイラストは、オヨネさんの作品をお借りしました。
ご覧いただき、ありがとうございました。
またお会いできる日を楽しみにしています。 緑川