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[本・レビュー] 習慣の力 チャールズ・デュヒッグ著
「習慣」のもつ力は大きく、敵にまわすか、味方にまわすかでヒトの人生は大きくかわってしまう。
「きっかけ」を見たら「ルーチン」を行い「報酬」を得る。
変えるのが難しい習慣もあれば、簡単なものもある。しかし習慣は変えられる。
脳はなまけもので、すぐに楽をしたがるという言葉を耳にしますが、この本を読んでみて印象がかわりました。脳はなまけているのではなく、習慣としてその行為を意識せずに行う(脳での処理を必要としないほど効率化を果たす)ことで、異なったことへ対処する準備をととのえているのではないでしょうか。
人間は頭の中で同時に二つのことは考えられないといいます。習慣化することで、いくつもの処理を同時に行うことができるようになると考えられます。
心と脳が同じものか別のものかの評価は困難ですが、仮に別のものだとするならば、怠けやすいのは脳でなく、心ではないでしょうか。
車の運転にしろ、タイピングにしろ、初めは操作そのものへの集中が必要で、標識を十分に認識したり、タイプしながらあれこれ思考するなどとても容易にできるものではありません。しかし、次第に操作そのものは意識せずとも行えるようになり、周りへの状況判断や、考察を同時に行えるようになります。
よくも悪くも、習慣がついてしまえば惰性で続けられますが、一度ついた習慣を変えるのはなかなか困難です。
本書では習慣を味方にする方法を、スターバックス創業者やマーチンルーサーキングJr.等の例をあげ、説明してくれます。
その構成から、習慣を変える自己啓発本としてだけでなく、成功モデルとしてのビジネス本としても優良書だと思います。
本書の中ではデータ解析の会社についてもふれられていました。某カードにみられるように、最近はいろいろな場面で同一のカードを使用し、ポイントをためることができるようになりました。お得で便利です。しかしこの背景にあるのは、我々のショッピングの嗜好がまとめてカード会社に知られているという点です。我々がどのような趣味をもち、月にどの程度の金額を使って、どのような生活を送っているかが相手にとっては筒抜けなのです。そこには一定の傾向があり、習慣がみえかくれします。これはカード会社および提携する会社にとってはかっこうの顧客データとなりうるのです。
内容は濃く、読み返すたびに得られるものがあると思います。