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オリジナルのYA短編読み切り小説(フリー素材:発表済み)

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愛知県教育雑誌「6年分」(紙媒体)の連載読み切り小説です。朗読、歌、動画の原作などの二次使用につきましては無料です。©️白川美古都の記載だけお願いします。また、使用にあたり必ずしも…
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#教育雑誌

YA「ここじゃないどこかへ」(3月号)

 中学校は春休みに入ったばかりだ。もうすぐ二年生になる宮間俊一は、一歳年上の従兄の筒井圭…

YA「オオカミになりたい」(2月号)

 服部典子は制服姿のまま、スーパーのバレンタインデーの特設コーナーの前で一人、頭を抱えて…

YA「温かい雪」(1月号)

 年が明けて三学期の始業式の朝、一年A組の教室には、女子のアケオメの声が飛びかっている。…

YA「サンタクロースにお願い」(12月号)

   島田幸子は長い黒髪を一つに束ねて、更衣室で白い胴着に着替えて、剣道場に向かっている…

YA「ジュラ紀の茶わん蒸し」(11月号)

 本田良助は中学校の授業が終わると、クラスで一番大きい体を揺らして、ダッシュで家に帰った…

YA「ハチミツレモン」(10月号)

 後藤彩はさっきから何度も、一年A組の教室の時計を見ている。あと五分で、夕方の臨時ホーム…

YA「未来の鐘(かね)」(9月号)

 塩野達也は緑ヶ丘中学校の制服姿のまま、たった今、追い返されたばかりの新聞店の窓ガラスに張り付いている。 「お願いします。アルバイトさせてください。オレ、一生懸命に働きます。絶対に遅刻しません。体も丈夫です」  達也は、面接で力説した言葉を繰り返す。背中から夕日をうけて、首筋が焼けるように熱い。短髪の毛の根本から、汗がふきだす。 「た、達也くん、やめてくれ。人が見ているじゃないか。とりあえず、今日のところは帰ってくれないか、な?」  中年の男性店長が飛び出してくる。 「アルバ

YA「サイテーなあいつ」(7月号)

    まぶしいくらいの日の照りつける土手の上を、スポーツバックを振り回しながら、剛裕は…

YA「降水確率八十パーセント」(6月号)

  緑ヶ丘中学校の校門へ続くアスファルトの斜面を、竹村純子と武田優は傘をさして歩いている…