YA「未来の鐘(かね)」(9月号)
塩野達也は緑ヶ丘中学校の制服姿のまま、たった今、追い返されたばかりの新聞店の窓ガラスに張り付いている。
「お願いします。アルバイトさせてください。オレ、一生懸命に働きます。絶対に遅刻しません。体も丈夫です」
達也は、面接で力説した言葉を繰り返す。背中から夕日をうけて、首筋が焼けるように熱い。短髪の毛の根本から、汗がふきだす。
「た、達也くん、やめてくれ。人が見ているじゃないか。とりあえず、今日のところは帰ってくれないか、な?」
中年の男性店長が飛び出してくる。
「アルバ