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月ノ島中学校は校舎を囲むように桜の木が植えられている。 正面の校門から裏門まで立ち並…
五木詩音は新築マンションの最上階のベランダから、街の光を眺めている。去年は嵐のような一…
月ノ島中学校には発足二年目の雅楽部がある。 杉山玲子は発足当初に入部した一人だ。きっ…
「大晦日、もうすぐだね」 川本幸樹は、同級生の池下由奈にペチンと頭を叩かれた。一人、足…
月ノ島中学校と小学校の間の橋の上に、松岡美智は立っている。ギザギザした細い落ち葉と小さ…
月ノ島中学校の十月は、球技大会で盛り上がる。 今年、三年生になった岩崎涼は三回目…
夏休みが終わり九月になった。 月ノ島中学校は本日、授業参観日だ。一年二組の教室の後ろに親が集まっている。教室内の空気が僅かに緊張している。 高橋木葉は自分の席から恐る恐る視線をやる。父親の姿はまだない。 前回、一度目の授業参観は、両親共に仕事で忙しくて来られなかった。 二度目の授業参観は、やっぱり仕事で忙しい母に代わって、父が行くと言いだした。 「別に来なくていいから」 木葉は断ったのに、父は行くと言って譲らなかった。 しかし、今日は晴天だ。 父は土木
田村健斗は朝からもう何度も空を見上げている。 晴れた。 天気予報では降水確率0パ…
夢も希望もありゃしません! 七夕祭りの短冊に筆ペンで書き付けられた文字だ。輪郭は震え…
月ノ島中学校一年生、貴田周は傘をさしたまま通学路でつっ立っている。たった今、女子に…
今日は、毎年恒例の月ノ島中学校のマラソン大会だ。 全校生徒が参加する。 中学校の…
月ノ島中学校は入学式、始業式と終えて、通常の授業に入った。 如月魁人は二年生の授…
月ノ島中学校の裏門のそばに、楕円形の花壇がある。 今、五十本ほどのチューリップは満開…
浜島瑠衣は、最寄りの駅のさびれたフェンスにもたれている。コートのポケットの中には入場券が入っている。瑠衣は電車には乗らない。 ベンチには、親友の佐伯幸助が、どかっと腰かけている。基本、この駅には普通電車しか止まらない。一時間に数本のみ、準急電車が止まる。その準急を待っている。 幸助は、月ノ島中学校の二年生にならずに転校する。 瑠衣が幸助の転校を聞かされたのは昨日だ。 しかも、ポストイットで。 水色の薄っぺらな紙には鉛筆で、俺、転校するから元気でな、と書かれ