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とっておきの京都手帖8 【後編】 むす美


夏至げし/ SDGs新たな風呂敷の世界へ>




2人の姉弟、日々の通勤は自転車。

風呂敷に自転車、その日常は地球に優しい。




弟の山田芳生(よしお)社長はアウトドア派だ。

それが証明される日焼けに、また何とも親近感が湧いてくる。


フットワークも軽く、東京の展示会へも自らハイエースを運転し奔走する。

めちゃくちゃパワフルだ。


人との出会いを大切に、人と人をむすぶ姉弟の二人三脚。

時代は変われど新たな挑戦を忘れず、時代が求めるものへと風呂敷を優しさと知恵で変化させゆく素晴らしいスタッフ。


だからこそ世界に広がる「むす美」さんの風呂敷なのだろう。


「むす美」公式サイトの社長挨拶で、昨年は今までになく様々なイベントを開催したことが綴られていた。


そのイベントの多くが初挑戦だったそうだ。


日々、風呂敷の魅力を発信する努力を怠らない。

日々、前進する気概にあふれている。



「ふろしき SDGs LIFE 2024」


今年開催した「ふろしき SDGs LIFE 2024」では、3日間で総勢1,809名が来場し昨年を上回ったそうだ。

数十名は昨年からのリピーター参加だった。

楽しいところには人が集まる。


海外からの参加は1割にも及ぶ。

アメリカ、ヨーロッパ、台湾が多い印象だったそう。



会場内には風呂敷をツリーに見立てた「ふろし木」、巨大シンボルツリーが飾られた。

天井を仰ぎ見ながら、風呂敷のデザインを眺め、発想の面白さと、「映える」写真になるとシャッターを押す人も。

海外からのお客さんにはやはり、「浮世絵」の風呂敷が目を引いた。

日本らしさを見つけて撮影する人が多かったそう。




イベントでは、山田社長により、風呂敷の様々な活用法が紹介された。

もはや、和文化、風呂敷の伝道師である。





「心」


山田社長が「むす美」公式サイトの中で、代表者として綴っている箇所にとても印象的な一文がある。



「1300年もの時を経て、ふろしきが使われ続けているのは何故なのか。

そこには、道具としての利便性だけではない‟大切な価値”を感じているからだと思います。

ふろしきに包まれたモノには、特別な‟何か”を感じます。

それは、中身を大切に扱いたいという『心』であり、贈る人を敬う『心』が包まれているからではないでしょうか。

変わり続ける時代にも、変わらない『心』を届けたい」だ。



包み方、使い方を日々研究される風呂敷屋さん。

風呂敷を取り扱うプロは、人に対して、地球に対して、未来に対して、謙虚で誠実だ。

風呂敷の固定概念を取っ払い、「風呂敷だからできること」を探し求め、進化し続けておられる。

京都文化博物館でプレゼンする山田社長(本年3月)




大切な時を寄り添う風呂敷



介護の先輩である友は昔から「むす美」さんの風呂敷ファン。

友は、介護をしながらの日々に、ふっと立ち寄った風呂敷屋さんが「むす美」さんだった。

その時、若かりし頃の母をイメージして購入したという風呂敷。

見ていると顔がほころんだ。


「まさか、この風呂敷で両親を包むことになるとは思ってもいなかった」

母に次いで父も、この風呂敷で包んだ。

冬の寒さ厳しい時に亡くなった両親を思うと、一般的な白布ではなく、暖かな色味の風呂敷が良かった。


たった1枚の風呂敷。

一緒に居られる大切な時を、愛着ある風呂敷がそっと寄り添ってくれた。


今もその風呂敷は健在だ。

部屋に置いているだけでも粋な空間になると言う。

思い出の風呂敷でほっこりティータイム

北欧インテリアとは違った「和」の楽しさがある


むす美新作展【TRAVELING】まもなく始まる


山田社長のリーダーシップのもと、東京、京都での新作展の準備が進められている。

なんと山田社長は、自らウェルカムドリンクを提供する予定だ。

そのために、バリスタを目指して特訓中らしい。

おもてなしの心にもまた、ほのぼのとした「むす美」さんの温かさを感じる。



新作展のコンセプトは、「【TRAVELING(トラベリング)】MUSUBIExhibitionお気に入りの一枚を見つけて一緒に旅に出かけましょう!」だ。



私のお気に入りは、撥水加工が施されている「アクアドロップ」。


雨の日に、傘をさしていても鞄が濡れてしまう…、そんな時に雨から荷物を守る風呂敷で、なおかつその柄も楽しく、誰かに見せたくなるアイテムなのだ。



6月11日放送のNHK「あさイチ」ツイQ楽ワザ “雨の日の装い”お悩み解消SPでも取り上げられていて、視聴しながら嬉しくなった。




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一昨日、京都もようやく梅雨入りし、平年よりも2週間以上遅れていると報じられていた。


私の「アクアドロップ」はすでに活躍している。

雨天の新しい過ごし方として、自分の楽しい一面の見せ方として、出番も多く包み方も勉強中だ。


蛇の目傘、レインコート、レインブーツ、そして「アクアドロップ」。



雨の日ファッションの新たなスタンダードに、あなたも個性光るデザインの風呂敷を加えてみてはいかがかな?




<参考・協力>「むす美」山田繊維株式会社HP
       「むす美」Instagram


<(c) 2024    文 白石方一 編集・撮影 北山さと 無断転載禁止>

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