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東風、季節はずれの 【詩】

(むかし 神無月の頃に
 春の詩を詠んでいたら
 師匠に叱られたものだった)

わたしは春の化身
藺草の椅子に座って居眠り

(日の光は清らかにして翳りなく)

筑波山ではそろそろ梅がほころぶ頃
わたしの頭の中はいつでも春でいっぱいだった

(なまこ壁という言葉を知ってから
 いろんな場所を探し歩いたが
 ずっと見つけることができないでいる
 咲く花と散る花の入り混じる城下町で)

東方から風が吹いて
世界はとつぜん春になる
暗がりに住んでいたボクらは
竜の鳴き声を脳天で聞いた
痩せっぽちのあひるにかぶりつく社畜たちに
調理人は満足気に

(天は迷迷 地は密密
 北京の春を堪能していただきたい!)

さわやかな竹風が吹いて
袖のないOLたちがさざめいている
彼女らは天界に頭を突っ込んでいて
すでに頭の半分がとけている
禽獣は光風のかなたを走り
野に仕掛けられた罠は茫漠としていた
春雷がばちばち天地をたたくので
鳥たちは慌てふためいて飛翔する
為政者は都市になまこの壁を張りめぐらし
地上のボクらは環状鉄道に身を任せる

(萬世 萬世 萬世 みな春になった)


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