【キーエンス、freeeといった高成長企業の次のキャリアにDatableを選んだ3つの理由】「SaaS」歴10年以上の私が「SaaS for SaaS」に挑むというダンコたる決意
「俺は・・・・・・俺は今なんだよ!!」
2022/10/1 株式会社Datableに一人目のビジネス職として入社した鈴木眞理(しんり)です!
Datable(データブル)は2022年9月にシードで2.25億円を調達し、プロダクトリリースしたばかりのスタートアップ企業です。
SaaS企業向けに他プロダクトとの連携機能を埋め込む”SaaS for SaaS”プロダクトを提供しています。
Datableのビジネスについては下記Newspicsさん、Keppleさんの記事がわかりやすいので、ぜひこちらも読んでみてください!
今年41歳を迎えた私が、なぜ今Datableに転職したのか、どんな判断軸で企業選びをしたのか、参考になる人もいると思うので書いていこうと思います!
今後自分がどうやってキャリアを築いていけばいいのか悩んでいる若手の方、 勢いのあるSaaS業界へ飛び込みたいと考えてる方、経験ある人を中途で採用したいけどどうやって採用すればいいのか悩んでるSaaS企業の経営層の方々にはお役に立てる内容だと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。
2022年9月末まではfreee株式会社にお世話になってました。freee入社直前の2016年6月期の売上高が5.6億円で2022年6月期の売上高が143.8億円だったので、所属させていただいた6年間で25倍に売上成長しており、状況が目まぐるしく変わる中、チャレンジングな環境で楽しく働かせていただきました。
この変化が非常に早い環境は、今まで所属していた企業にはないもので、自分の中の価値観も良い方向に変わりとても感謝しています。
中でも、私が大きく影響を受けたのはfreeeの価値基準のうち下の2つです。
freee入社前からユーザーのためになる営業をしたいと思ってはいましたが、数字に追われる中で最優先事項にしきれていないというのは感じていました。
そんな中、転職して間もないころ、当時の上司に「その提案ってマジ価値じゃないだろ!(ユーザーのためじゃなく自分たちのためだろ)」と言われ、ガツンと頭を殴られたようなショックで、自分が妥協して本当にやるべきことをやらずに楽なほうに逃げていることに気づかされました。この経験から、自分は何のために仕事をするのか考えるようになり、マインドが変わったことで、よりユーザーに価値を届けるために営業が出来るようになり、提案の質も向上しました。
また、私はもともと現実主義で実現可能性を重視して積み上げで考える癖が染みついてたので、freeeの理想ドリブンで考えられたギャップが大きすぎる目標、リスクが多い施策に不安になることも多くありました。
しかし、とりあえずどうやったら達成できるか考えながらやったら何とかなったことが多く、それが自信につながりました。
また結果うまくいかなかったこともあり、当時はどうしようか悩み暗い気持ちになる事もありましが、今振り返ってみると大したことなかったなと思う事が多く、理想起点で考えて行動したり、リスクを取って始めることのハードルがだいぶ下がりました。
そんな自分を成長させてくれたfreeeにはとても感謝していますが、なぜ今、卒業してシード期のDatableに転職してチャレンジしようと思ったのか、詳しく書いていこうと思います。
なぜシード期のベンチャー企業なのか
送別会や転職報告で飲みに行ったさいに「シードに転職なんて怖くない?」、「家族に反対されませんでした?」とよく聞かれたのですが、今回は全く怖くなかったし、反対もされませんでした。
以前の私であれば、ビビってもうちょっと安定したところを選ぼうと考えていたと思います。しかし、冒頭に書いたとおり、freeeでの実体験で価値観が変わり、リスクを取ることへの抵抗感が下がったので迷わず選択ができました。
またfreeeのオウンドメディアで田端さんとお話しさせていただいたことがあるのですが、この時に
と言われ、「リスクがないように見える方向にも、別のリスクが必ずあるということ」に改めて気づかされたというのも、大きかったと思います。
『チーズはどこへ消えた』という世界的名著を読んだことがある人も多いと思います。この話では2匹のネズミと2人の小人が出てくるのですが、迷路内のチーズステーションに大きなチーズがありました。2匹のネズミは食べ終わるとすぐに次のチーズを探しに迷路に行きます。一方、2人の小人はチーズがまた出てくるはずだと思い、迷路に戻る怖さからチーズステーションで待ち続けますが、結局チーズは出てこず2人は仲たがいして1人だけ迷路に入って次のチーズを見つけるという話です。
この話は、一度うまく行っても環境変化に合わせて自分も変化適応していかないといけないという事を教えてくれますが、もう一つ、本当は自分でも動かないといけないというのに気付いているのに、恐怖心であえて見ないようにしているケースがあるという事も気づかせてくれます。
昨今、私が就活していたころ人気企業だったメガバンク、マスコミなど大企業でもリストラのニュースを見ることが多くなりました。ここ数年調子のよかったGAFAでもリストラを行うという話が出ています。
どこにいてもリスクは確実にあるので、今では自分自身がリスクに対応して変化していけるという事を目指しています。
そのうえで、なぜシード期ベンチャーなのか?
リスクがあるならやりたい事をやったほうがいいと思いました。
完全な自己満足ではあるのですが、私は自分が生きたことで社会に与えるインパクトを最大化したいという思いがあります。
この思いは娘が生まれたことでより強くなり、大人になるころの世の中が、今より少しでも良くなることに貢献したいと思っています。
会社を通して自分が世の中に与えられるインパクトは「会社が世の中に与えるインパクト」×「自分が会社に与えるインパクト」だと思うのですが、仕組みが出来上がった会社では自分が会社に与えられるインパクトは限定的になってきます。
一方、シード期のベンチャーであれば自分の行動が会社に与えるインパクトがとても大きく、その行動を仕組化して他の人でも出来るようにしていけばインパクトは二次関数的に大きくなります。それによって、会社が成長して世の中に与えるインパクトが大きくなれば、自分が世の中に与えられるインパクトも合わせて大きくなっていきます。
では、自分で起業して会社が大きくなればもっとインパクトを与えられるのでは?と思うかもしれません。
しかし、わたしは斬新なアイデアが浮かぶ天才タイプではありません。どちらかというと、誰かのアイデアに乗っかって実現させていく方が自分が価値を発揮できると思っています。
大きなリスクをとり、自分のアイデアで起業する人達は本当にスゴイと思っていますが、セカンドペンギンとしてそういった人たちを支援して一緒に頑張ることが、自分が世の中に発揮できる期待提供価値(価値の大きさ×価値を提供できる確率)を最大化することなのかなと考えました。
シード期ベンチャーの中でDatableを選んだのはなぜなのか?
これには3つの理由があります。1つ目が「向き合う市場の魅力」、2つ目が「自分が価値を発揮できる可能性」、3つ目が「共に働く人たちの魅力」です。
順に見ていきます。
1、SaaS連携が生み出す価値(市場の魅力)
この6年間私はfreeeでガッツリSaaSプロダクトによる業務改善提案にたずさわってきましたが、実は前々職のSAPがいくつかのSaaSプロダクトを買収していたので、SaaSプロダクト提案歴は10年以上になります。
SaaSに長くたずさわってきて、最近特に実感しているのがSaaSはお客様のビジネスを通して世の中のあり方を変える力を持っていることです。
10年前と比べるとSaaSプロダクトの使い勝手が向上し、種類も大きく増えています。前職のfreeeも現職のDatableでも社内システムはSaaSだけでまかなうことが出来ており、SaaSを組み合わせればすぐにビジネスが始められる世の中になってきました。
元々、本稼働まで1年かかるようなエンプラ向けオンプレシステムを営業していた身からすると驚きのスピード感です。このスピード感がよく言われるSaaSのメリットであるアジリティ(機敏さ、変化への対応スピード)をうみ、企業を強くしていくと思ってます。
日本の競争力は63ヵ国中34位
日本の競争力が落ちているという話をよく聞くようになりました。
下に貼ったIMDが発行している「世界競争力ランキング2022」によると、今年の日本の競争力ランキングは34位(63ヵ国中)だそうです。
私が小学生から中学生頃は、1989年から1992年までが1位、1996年まで4位以内だったのでいまだに日本て強い国だというイメージが残ってしまっています。しかし、改めて現在の順位を見るとめちゃくちゃヤバいなと感じます。
娘が成長した頃の日本はどうなってるのか不安でしょうがないです。
今、比較的不自由ない生活を遅れているのは、親の世代ががんばってくれたおかげだと思うのですが、このままだと親の世代の貯金を食いつぶして子の世代に苦労かけてしまいそうなので、何とかしなければと思っています。
ではなぜ、競争力が落ちてきているのかもう少し深掘りしてみたいと思います。
この調査では様々な統計データをもとに、経済状況、政府の効率性、ビジネスの効率性、インフラの4つの大分類で評価しているのですが、一番足をひっぱているのがBusiness Efficiency(ビジネスの効率性)で、なんと63か国中51位と衝撃的な順位をたたき出しています。
さらに内訳を見ると、変化に対する柔軟性と適応性、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は最下位の63位です。
同じくIMDが出している「世界デジタル競争力ランキング2022」を見てみましょう。
こちらでは日本が29位なのですが、Opportunities and threats(機会と脅威への素早い対応)、Agility of company(企業の敏捷性)は最下位の63位とこちらでも改めて日本企業が環境、市場の変化に素早く対応出来ないことが浮き彫りになっています。
SaaSの導入が変化対応力を高める
2020年にメタップスさんがおこなったSaaS利用実態調査によると、日本企業の平均利用SaaS数は8.7個だったそうです。これに対してアメリカ企業の平均SaaS利用数は80個(別の調査によるとエンプラ企業では1社で288個のSaaSを使っているらしい)にものぼるらしいです。
SaaSプロダクトが企業のアジリティを高めるとすると、このSaaS導入数の差は日米間の変化対応力の差を生んでいる大きな一因なのではないでしょうか。(もちろんSaaSの導入が進まない背景として、価値観、企業文化、リテラシーなど更なる根本的な要因もありますが)
でも日本でのSaaS導入のスピードも上がってきてます。
私がお客様に提案していた肌感としては、上の調査から2年弱がたち現在は1社あたりのSaaS利用数がどんどん増えてきていると感じます。スタートアップを担当していたのもありますが、2桁以上のSaaSを使っているお客様がザラでした。
こちらitmediaさんの連載記事は、様々な企業が使ってるバックオフィスSaaSの記事ですが、こちらに載っている企業の事例では多くがSaaSで完結出来ているのがわかります。
SaaS導入だけでは解決しない問題
私自身がSaaSの導入に取り組んでおり、日本での利用数も増えてきているので、このまま日本のSaaS普及に貢献していけば競争力もあがるので、そのまま続ければいいんじゃないの?と思われるかもしれません。
しかし、お客様にSaaS導入していただいてきた中で、それだけでは解決出来ないと感じている点があります。
それはシステム間のデータ連携(転記)問題です。
freeeは統合型ERPを目指しており会計ソフトに債権債務管理、請求書発行、WFなどを搭載しており、それが統合されている事で、請求書を発行するとその情報をもとに自動的に仕訳が作られ、売掛金の管理レポートにも反映します。
また人事労務ソフトでは人事マスタ、勤怠、給与計算、労務手続きが一つのプロダクトで完結できるようになっているため、マスタが共通になっており、例えば従業員の部署が変わったような場合でも一つのマスタをメンテすれば済みます。
SAP時代にはよく「One Fact, One Place」といっていて、基幹業務に必要なシステムを一つに統合することで二重入力やマスタの分散をなくすコンセプトをアピールしていましたが、freeeに入社したとき発想が似ていると感じていました。
人がわざわざソフトに入力する時間をなくし、入力間違えも減らすことが出来ます。freeeを導入いただいたお客様の大半も統合に価値を感じていただいていて、辞めた今でもとても素晴らしいソフトだと忖度なしで思ってます。
しかし、私が担当していた中堅企業、IPO準備企業だとfreeeだけでは完結できないケースも多く、併用している販売管理ソフトやプロジェクト管理ソフトから手入力したり、毎回データを加工してインポートせざるを得ないことも多かったです。結果、導入いただいたお客様からはある程度の効率化で感謝もいただいた一方、自分の中ではお客様への提供価値を最大化しきれてないと感じる事もありました。
現在せっかく各領域で素晴らしい機能を持ったSaaSプロダクトがでてきているのに、同じ情報を複数のシステムに入力する作業は残ってしまっています。
SaaSと別のシステムが簡単に連携できるようになれば、SaaSプロダクトの与えられる価値はより大きくなります。
SaaSに他システムとの連携機能を埋め込めるというDatableの話を聞いたとき、これこそが私が感じてた問題を解決できるサービスだと感じました。
Datableが目指すコンポーザブル
SAPのようにカバー業務を広くして一つのシステムで完結するようなサービスを作っていくという考えもあります。しかし、すべての領域で完成度高いソフトを作るにはベンダーとしては膨大な開発コストがかかりますし、ユーザーとしては設定を変えるたびに影響範囲が大きく、変化する際にも多くの時間とコストがかかります。
結果、変化を躊躇してせっかくのSaaSの強みであるアジリティを活かすことが難しくなります。
こういった問題を解決するために、海外では必要なサービスを組み合わせて利用し、状況の変化に合わせて組み替えられるコンポーザブルが注目を集めています。
上の記事では、Gartnerが2,000 人を超える CIO を対象調査で、「企業は 2022 年にビジネス コンポーザビリティを採用する必要があることが明らかになった」と書かれています。その中のComposable Technologyという項目でビジネスコンポーザビリティを実現するためにはテクノロジーがコンポーザビリティでなくててはならないと書かれています。
コロナ以降VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代という言葉を聞く機会が増えました。先が読めない世の中になったと感じている人が増えたのだと思います。
また新しいテクノロジーの普及スピードが大きく加速しており、アメリカでは電話の普及率が50%を超えるのに70年かかりましたが、携帯電話は10年と大幅に早くなり、スマートフォンにいたってはもっと早く、iphoneが出た2007年の10年後にはスマホ普及率が90%を超えていました。
ビジネス環境の予測が難しくなり、いかに早く対応できるかが重視されてくると、システムがコンポーザビリティで組み換え可能なことは今後さらに重要度を増していくと思います。
このコンポーザブルは優れたSaaSがたくさんあるだけでは実現出来ません。
間を繋ぎ、必要なものを付け替えた時にすぐ稼働できるプラットフォームが必要です。
DatableではiPaaS、ETLとしてシステム間連携の効率化をはかることはゴールではなく、コンポーザブルな社会の実現のための第一歩として捉えています。カジュアル面談で話したさいに、連携の先に考えている具体的なロードマップを話していただき、世の中にインパクトを残すことができそうだと思いワクワクしてとても魅力に感じました。
リターンが見込める市場
ここまで世の中のためにとか日本のためにとか、キレイゴトと思われるようなことを中心に書いてきたので、利他的で志が高い人なのかと勘違いされるかもしれませんが、そんなことはありません(むしろ昔はどちらかというと自分さえ良ければいいというタイプでした)
渋沢栄一の「論語と算盤」の冒頭「論語 と 算盤 は 甚だ 遠く し て 甚だ 近い もの」という一節で、↓のような文章があります。
世の中の進歩は、欲望、利益がなければただの理想論になって成し遂げられない。とはいえ、お金を稼いでも道理にそってなければ永続出来ないというような事が書いてあります。
私の仕事に対しての向き合い方はこの考えに近く、やりがいと経済合理性のバランスが重要だと思ってます。
冒頭、働くモチベーションとして「自分が生きたことで世の中に与えるインパクトを最大化したい」という話を書きましたが、このやりがいと同じぐらい企業としても個人としてちゃんとリターンがあるのかを重視しています。
企業としてはリターンがなければそのビジネスをより良くするための投資が出来ず長く続けていくことは難しくなります。40代になり子供がいる身としては、自分のやりたい事だけでやってるわけにはいかず家族を守らなければならない以上、個人としてもある程度のリターン(必ずしも短期的なものだけではなく中長期も含めて総合的に)が無ければ仕事に集中することが難しいです。
シードのスタートアップ企業がどうやってリターンを生むかというと高い成長率になると思います。成長しているという事は金銭的なリターンもですが、変化も大きいのでより大きな仕事にチャレンジできるというリターンも多く発生します。
SaaS企業のバリュエーションはこの1年で大きく落ちました。
アメリカの金利が上昇したことにより、リスクをとって将来性に期待した投資ではなく、安定した投資にお金が流れてるなど様々な要因があると思いますが、SaaS企業への期待値が膨らみすぎて株価が高くなりすぎていたというのもあると思います。
ではSaaSは終わったのかというと、そんなことはないと思っています。
現在、人間の生産性を上げる方法として効果が発揮できる領域が広いのはITだと思います。まだまだ手作業、紙が多く残っており、課題にマッチするシステムを選び、ちゃんと運用できれば効率があがります。
そして、今更オンプレミスのシステムを導入することは考えにくいので、これからシステムの主流がSaaS(クラウド)になっていくのは間違いないと思います。
そんな中でDatableが取り組んでいるSaaS間連携は、SaaSの導入が増えることに合わせて、その2倍以上のスピードでの成長が予測されています。
下の記事はグローバルでのSaaS市場の2021年から2025年のCARG(年平均成長率)の予測記事ですが12.5%で1.6倍になると予測されている。
一方、SaaS間を連携するiPaaSの市場は2021年から2026年のCARG(年平均成長率)で30.3%で3.7倍になると予測されています。
このように成長が見込める市場だという事は、企業としても個人としてもリスクに見合ったリターンが得られる可能性が高いと思いました。
この市場の魅力がDatableを選んだ要因の一つ目です。
2、自分の得意分野、キャリアとの整合性
ここまで書いてきたように、仕事を選ぶ上でまずは市場やビジネスモデルの魅力を重視していますが、同じくらい自分が価値を発揮できるのかも重視してます。どんなに素晴らしいと思う企業に入社できたとしても、自分が価値を出せず足を引っ張ってしまうのであれば意味がないし、別の企業に入ったほうがいいと思います。
企業にとって価値が発揮できるかを考えるためには
自らのスキルの棚卸
その会社にが必要としてる(足りていない)事は何なのか?
の順で考えます。
まずは自分は何が得意なのか過去の経験から振り返ってみたいと思います。
世の中には、アラスカのエスキモーに氷を売れるような、何でも売れる営業がいて、私が過去に所属してきた会社にもそういった人たちがいました。自分の正しさを信じられる強い意志を持っていて、喋りもうまくて懐に入るのがうまい汎用的なコミュニケーション能力が高いタイプです。
私はそういったタイプではありません。
私はそれをやることが客観的に考えて、少しでもお客様にとって価値がない(もちろん様々な価値はトレードオフになる事が多いので、全ての面で最高という事はないですが)のであれば提案したくありません。
昔はコンプレックスもありました。
しかし、状況によっては自分の方が価値を発揮できた経験などから、人には得意不得意があり必ずしも土俵で戦う必要はないという事に気が付きました。
では自分が得意なことは何か。
過去を振り返ると「新しいことを理解したり覚える速さ」、「構造的に整理して重要なポイントに絞って伝える」の2点は周囲と比較して得意でした。
そのため、「自社プロダクト、競合プロダクトを深く理解して差別化する」、「お客様の業務を整理してボトルネックがどこにあるか洗い出す」ことが得意です。メリットが複数あり、お客様の課題によって価値が出せるポイントが違うような複雑なプロダクトを提案していくほうが価値を発揮できると思います。
営業としての得意、不得意でいるとこのようなスキルになります。難易度の高いプロダクトを提供している企業であれば成果を出しやすいと思います。また、今までと近い業界であれば経験、知識も活かすことができます。
今までの社会人生活で経験してきたことも棚卸ししたいと思います
2005年~2011年 キーエンス
工場向けの制御システム(PLC、タッチパネル、サーボモーター等)の営業。
生産技術のお客様からどんな制御を行いたいかを聞いて、どんなラダープログラムで実現できるかアドバイスして導入してもらうのが得意だった。難しい装置の案件が得意だった。
イーサネットユニットを使ってソケット通信でPLC間のデータ連携なども作ったりしていた。
2011年~2015年 SAPジャパン
ミドルウェア、CRM担当のインサイドセールスとして入社。
ETL、EAIなどのシステム間データ連携にまつわるツールを担当していた。当時SOAブームの終盤で実現するためのプラットフォームとしてBPM(ESB)も担当。
その後エンタープライズ向けAEとして、素材、化学、石油業界などを担当。ERP、CRM、SCM、SRMなど企業が使うシステムを幅広く提案。
2015年~2016年 OPENTEXT
エンタープライズ向けECMのSAP OEM担当。
OEM、パートナーセールスとして直販ではなく、代理店経由での売上拡大に取り組んだ。
2016年~2022年 freee
大手会計事務所向けパートナーセールス。短期間だがカスタマーサクセスも担当、マネージメントを経験。
スタートアップ向けセールスチームのマネージメント。
ミッドマーケット向けセールスチームのマネージメント。
セールスイネーブルメント。
API連携、セールスフォース連携などfreeeと何かを組み合わせた難易度高めな商談の相談が来ることが多く得意だった。
SaaSプロダクト、幅広い領域の企業向けソフトウェア
システム連携
製造業の製造工程
経理業務、給与計算、労務
データ連携、ミドルウェア、DBなどテクノロジー領域
OEMセールス
SaaSの営業組織のマネジメント、The model型組織でのKPI設計、マネジメント
セールスイネーブルメント
整理するとこの辺りは他のビジネス職の人と比べると知見があって強みになります。
Datableが取り組もうとしているSaaSと他システムの連携というドメインは相性がよく、価値を発揮できる可能性が高そうです。
次にその会社に必要な事は何でそれが自分にマッチするのかを考えてみたいと思います。
もともとBPMやETLを担当していたこともあり以前からiPaaSには注目していました。海外では数千億円の時価総額がつくような企業も出てきています。
ただ、日本では一時期話題には上がりましたが、そこから数年経ってもまだまだ使っているUserが少なく、うまくいっていないという印象を持っています。
freeeでも連携しているiPaaSがいくつかあり提案したことがあります。しかし、実際に使われているケースは少なくまだまだ普及しているとは言い難い状況です。
ではなぜ日本ではなかなかiPaaSが普及していないのか?
足りないことを考えたときにその一つはセールスだと思いました。
海外ではZapierやIFTTTのようなPLG型(エンドユーザーが営業から提案を受けるのではなく、無料プランなどで試して自分で申し込むようなモデル)で広がっているツールがあります。
一方、日本のiPaaSは同じようなやり方ではあまり広まっていません。
私は直近スタートアップ企業を担当していたので、ITに対してリテラシーが高いお客様が多かったです。それでも一部のお客様がZapierを使って効率化している程度でほとんどのお客様はiPaaSを使っていませんでした。
この理由は、アメリカと日本のIT人材の分布がヒントになると思います。
アメリカではそもそも日本よりIT人材が多いのですが、そのうち65%がユーザ企業にいます。一方、日本ではユーザー企業に所属しているのは28%で72%はITベンダーにいます。
現在の日本においては、ユーザー企業にITの人材が少ないため自社内でシステム連携を完結できる企業は多くありません。ただ繋がるというだけであれば簡単ですが、効果を出すためには今の業務のやり方を変えて、データもただ連携するだけではなく結合、加工等する必要が出てきます。そこまで踏み込んで提案しなければ導入が進みません。
様々なSaaSが何が出来て、どのデータをどう加工してどのタイミングで連携するかを業務プロセスをどう変えていくのかという話までして初めて、本当の価値を伝える事ができるので、求められる営業のスキルは非常に複雑になります。
このような複雑な提案は私の強みなので、日本でSaaSのシステム連携を広げていくというフェーズは、自分が最も価値を発揮できることだと思いました。
3、一緒に働く人たちの魅力
3つ目の理由はDatableで働くメンバーに魅力です。
先ほどiPaaSが日本で普及してない理由にセールスを挙げましたが、もう一つあると思っていて、それは開発の難易度です。
SaaS間の連携はただAPIで繋がっているというだけでは使われません。
ユーザーの業務を理解した上で、具体的にどのような連携が必要なのかユースケースをシステムに落とし込んでいく必要があります。
その意味でSaaSの理解度が大きな差別化要素になります。
また、APIで1対1で連携するだけであれば、その用途のユースケースに合わせて処理を書いていけばいいだけですが、iPaaSのように複数のプロダクトが連携できるようにする場合、それぞれのプロダクトのデータ構造や持っているAPIが違うため、様々なプロダクトに対応できるようにするにはさらに難易度が上がります。
この開発の難易度から日本のiPaaSでは連携プロダクトが増えるスピードが遅く、ユースケースを満たせないことが多いのだと感じていました。
入社を決める前に、出資しているVCからなぜ出資をしたのかお伺いする機会があり、開発力、エンジニア組織のマネジメント力を高く評価したと聞きました。
DatableのCEO高松、CTO角井はそれぞれ私も知っているSaaS企業でCTOをしていた経験があり、技術顧問として別のSaaSプロダクトの立ち上げもしており、SaaSプロダクト開発の理解が深いです。
CXOの池西はスタートアップでCDO、CXO経験があり、プロダクト開発に置いて重要なUIUXの経験が豊富です。
また他のエンジニアもCEO、CTOが過去一緒に働いてスキルが高いメンバーを集めています。
私はエンジニアではないので、開発力が高いかどうかはわかりません。
しかし、面接の中で海外SaaS、PaaSに対する市場動向やプロダクトの話、中長期的に目指していることの視座などをお伺いして、開発難易度が高いというドメインの問題を突破できるチームだというのは強く感じました。
メンバーのスキルだけでなく、人柄、相性の良さも魅力に感じました。
経験豊富で落ち着いたメンバーが多いのですが、みんな新しいテクノロジーが好きでチャレンジが好きな人たちです。
最終面接の後に食事に行ったのですが、これから先SaaSがどうなっていくのか、どう日本でコンポーザブルを実現していきたいのかアツく語って盛り上がりました。
また、面接の過程では、会計ソフト(freee利用してますw)の試算表や事業計画も見せていただき、何が課題なのかをファクトベースで教えていただきました。その上で事業計画の数字をもとに達成するためにすべきこと等をディスカッションすることができ、とても建設的な面接でした。
きっちりファクトと想いを分けて、ありのまま悪いところも含めて話していただいたことで、ぜひこの信頼できる人たちと一緒に働きたいと想いました。
最後に
Datableに入社してから1ヶ月経ちました。
9月の資金調達、プロダクトリリースがメディアに取り上げていただいたおかげで多くのリードを取得でき、ありがたくも入社2日目から7商談を提案するという充実した毎日を送っています。
またSaaS企業からのリードに関しては7割の企業から提案後に前向きな反応をいただき、お客様の課題に刺さっているプロダクトだと早くも感じてます。
話を聞いていみたい、情報交換したいといSaaS企業の皆様いらっしゃれば、下記ページのフォームか私宛のDMでご連絡ください。
シードフェーズでいろいろなニーズを集めているので、具体的な検討じゃなく情報収集でも全然大丈夫です。
お気軽にご連絡ください!
また、Dataleはコンポーザブルな社会実現のために、一緒に取り組んでいただける仲間を募集しています。
今は特にPoCのプロジェクトをまわせるセールスエンジニア(プリセールス)を求めてます。
セールスエンジニア、導入コンサル、SIerでプロジェクトマネジメントしていた人など、こちらもDMでも下の採用サイトからでもお気軽にご連絡ください!
マーケット的にも、会社的にも今が一番面白いタイミングです!
ぜひ一緒にSaaS for SaaSに取り組みましょう!
おまけ:Datableを取り上げていただいた記事一覧
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