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派手でなく、彩り豊か

実家の母が注文したりんごが段ボールで届いた。
王林どっさり🍏
その前は、真っ赤なフジ🍎が届いた。
青森のりんごだ。

 

わたしも実家も、青森県にゆかりはない。
旅行先だったか、頂きものか、母が青森りんごのあまりの美味しさに感動して以来、毎年注文するようになった。
実家から離れて暮らすわたしの家族にも、送ってくれる。
おかげでこの季節、毎日美味しいりんごを食べている。

 

りんご、キウイ、みかん、オレンジ、柿、モモ、すいか、ぶどう、グレープフルーツ。
果物が好きだ。
だけど、一人暮らししていた頃はほとんど果物を食べなかった。


理由は、「高い」とか、「お腹が満たせればなんでもいい」と、どこか食事をおろそかにするわたしの意識からだった。
いや、おろそかというより、食への関心度の順番が低かったのだ。

 

自由に使える5000円があるなら、食事より衣服より化粧品より、映画や本やマンガに費やすほうだった。


あまったお金で安い野菜と肉を買い、なんでもカレーにしたり、なんでも豚汁にするズボラ時短料理のテーブルに、果物はほとんど登場しなかった。
「彩りよく美味しいものを食べたい」より「栄養が摂れればよい」と、食費を抑えて納豆ご飯と味噌汁だけ。


彩りに無関心な食事が日常だった。


とても遅いのかもしれないけれど、食べるものの大切さに気づいてから、果物のありがたさも感じるようになった。
食べ物は光ると、教えてくれる。


あまり実家に帰れていないけれど、帰ると母の料理はすごい。
わたしたちが帰ると肉料理が増えるが、基本的に、いつも野菜中心の健康的な料理がならぶ。

派手ではないけれど、彩りが豊か。


魚の南蛮漬けだったり、煮物だったり、酢の物だったり、ときどき肉だったり。
実家から戻るとたいてい、子どもが「対馬のごはんはすごいね」と懐かしむ。
トマトの赤、りんごの赤、きゅうりの緑、レタスの緑、卵の黄色、パプリカの黄、茄子のむらさき、ゴマの黒、煮物の茶、魚の青。
サラダには、トマトやキャベツや玉ねぎやカイワレ大根など、数種類の野菜がサラダ然としていて、色とりどりだ。
そして果物も、買ってくる。
色がたくさんの食卓に、果物の色も加わる。

スーパーに並ぶりんごやぶどうを手にして母はたまに「高いなあ」と言ったりする。
それでも買う。
食べることの大切さを知っているからだと思う。
食べることの豊かさを知ってるからだと思う。

娘のわたしは、母のマメで健康的な料理にはほど遠く、いまでもなんでも豚汁やなんでもカレーを作ったりする。
栄養を摂る大事さはわかる&めんどくさがりなので、一品に数種類の具材を抱き込める料理にしがち。
サラダは、玉ねぎスライスだけだったりする。白一色。

家族をもってなお、あまり関心の持てないままの料理の腕はたいして上がらない。
外食より映画に行きたい、関心の優先順位は変わらない。


だけど、野菜や果物などバランスの取れた食事の大切さや、彩りのある食事が「よいこと」という価値観は、母のおかげでわたしの内側にも育まれている。
毎日りんごが食べられる有り難さを、当たり前だと思いたくない。

 

ずしりと重い段ボールが届くたび、部屋じゅうがりんごの甘い香りで満ちる。

 

ビタミンCとか、食物繊維とか「りんごで医者いらず」とか。
そういう情報を摂取する以前に、豊かな彩りが体と心に入っていく。

 

段ボールのなかで、りんごが発光している。
果物ひとつで彩りが増える。

 

有難う。

 

 

 

 

 

最新記事「あなたに罪悪感は食べさせない」
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